タブロイドマガジンAdvancedTimeをお手元に
さまざまな価値観を持つ、いろんな人々が一緒に力を合わせて生きる、これからの時代。デヴィッド・ボウイの精神性は私たちの生きる指標になりえるのか。
80年代、デヴィッド・ボウイのオリジナル・アルバム『レッツ・ダンス』が発表されると世界中が熱狂、それに伴う「シリアス・ムーンライト・ツアー」はこれまでにない大盛況となった。ロック好きや流行やファッションに敏感な人に愛されていた特別なボウイが大衆に支持されるようになり、ついたキャッチフレーズが「時代がボウイに追いついた」。
この度、公開されるデヴィッド・ボウイ財団唯一の公式認定ドキュメンタリーに触れ、なんと烏滸がましい考えだったのかと思わざるを得ない。
「スターマン」「チェンジズ」「スペイス・オディティ」「月世界の白昼夢」といった40にもわたる名曲と選りすぐりの未公開映像で構成された超体感型ミュージックオデッセイ、『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』。
監督はザ・ローリング・ストーンズの『クロスファイアー・ハリケーン』、カート・コバーンのドキュメンタリー『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』を手がけたブレット・モーゲン。音楽プロデュースはボウイ、そしてT・レックスもプロデュースしたトニー・ヴィスコンティ。音響は『ボヘミアン・ラプソディ』でオスカーを獲得した音響技術者ポール・マッセイが参加。スタッフに錚々たる顔ぶれが揃い、ドキュメンタリー映画のイメージを軽く凌駕する、画期的な映像作品となっている。
ナレーションと著名人のインタビューで作られたドキュメンタリーは多いが、本作は全編にわたり、ボウイのモノローグで進行する。外側からボウイの人となりを知るのではなく、ボウイの内側、その深淵なる人間性、人生哲学を探求していくような画期的な映像体験はまるでボウイという宇宙を旅する時間である。
ボウイといえば、グラムロック。今でこそ、珍しくない男性のメイクやジェンダーレス・ファッションだが、70年代、ボウイが濃いメイクと中性的なファッションで登場したとき、夢中になる若者たちとは裏腹に世間の反応は冷ややかなものだった。劇中にも、ヒールを履いたボウイに「あなたはバイセクシャル?その靴はバイセクシャル用?」と不躾な質問をするインタビュアーが登場する。男性は化粧しないと思われていた時代。ボウイは微笑みを絶やさず、「ただの靴だよ」と返す。男性も女性もない。それはファッションに限った話ではない。
ミック・ジャガーとも噂のあったボウイ。最初の妻であるアンジーのルックスはレズビアン風で、バイセクシャルのカップルとされていた。LGBTQの考えがやっと浸透しつつある現在から遥か昔、「バイセクシャル」という言葉すらセンセーショナルだった頃、ボウイはすでにパンセクシャルだったのだろう。男女どちらにも自分の性別を当てはめず、魅力を感じれば、性別を問わない、ジェンダーレスな全性愛。
提供:ワーナーミュージック・ジャパン
ボウイの概念には偏見、差別がない。若い山本寛斎をステージ衣装デザイナーに起用し、美しいものは西洋、東洋、分け隔てなく、その文化を尊重し、愛した。ベルリンに住んだかと思えば、京都に憧れ、バリ島のガムランに魅せられ、「チャイナ・ガール」と浮き名を流して、ソムリア出身のイマンと結婚した。映画では定住せず、世界各地を放浪するボウイの半生が映し出される。
ボウイの目線で見つめれば、「ブラック・ライヴズ・マター」や「東アジア人差別」といった問題は決して起きないはずだ。
さまざまな価値観を持つ、いろんな人々が一緒に力を合わせて生きる、これからの時代。いまこそ、ボウイのようなニュートラルな考えが必要ではないだろうか。
STAFF
Movie Journalist: Aki Takayama
Composition: Kyoko Seko
TAGS
『AdvancedTime』は、自由でしなやかに生きるハイエンドな大人達におくる、スペシャルイシュー満載のメディア。
高感度なファッション、カルチャーに溺愛、未知の幅広い教養を求め、今までの人生で積んだ経験、知見を余裕をもって楽しみながら、進化するソーシャルに寄り添いたい。
何かに縛られていた時間から解き放たれつつある世代のライフスタイルを豊かに彩る『AdvancedTime』が発信する情報をさらに充実し、より速やかに、活用できる「AdvancedClub」会員組織を設けました。
「AdvancedClub」会員に登録すると、プレゼント応募情報の一覧、プレミアムな会員限定イベント、ブランドのエクスクルーシブアイテムの紹介など、特別なコンテンツ情報をメールマガジンでお届け致します。更に『AdvancedTime』のタブロイドマガジンのご案内もあり、送付手数料のみをご負担いただくことでお手元で『AdvancedTime』をお楽しみいただけます。
登録は無料です。
一緒に『AdvancedTime』を楽しみましょう!
vol.024
vol.023
Special Issue.AdvancedTime×ROLEX
vol.022
Special Issue.AdvancedTime×ROLEX
vol.021
Special Issue.AdvancedTime×ROLEX
vol.020
Special Issue.AdvancedTime×ROLEX
vol.019
Special Issue.AdvancedTime×ROLEX
vol.018
vol.017
vol.016
vol.015
vol.014
vol.013
Special Issue.AdvancedTime×HARRY WINSTON
vol.012
vol.011
vol.010
Special Issue.AdvancedTime×GRAFF
vol.009
vol.008
vol.007
vol.006
vol.005
vol.004
vol.003
vol.002
Special Issue.01
vol.001
vol.000
タブロイドマガジンAdvancedTimeをお手元に
夏の肌疲れを癒す、アロマのパワー
ロイヤルの気品、アスリートの美筋、無邪気な笑顔のニコラス・ガリツィン。完全無欠な年下彼氏の妄想に浸る
「ウェレンドルフ」のジュエリーが魅せる“本物の価値”
シックでクラフテッド、それでいて機能的。新時代を迎えた“ジャパンキッチン”
持ち前の「強さ」に「幸福感」が積み重なり、唯一無二の美しさを放つ──。
2024年はまだ終わらない!秋の新作ウォッチ
箱根の我が家で至福の秋に身を任せて「ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ」
タブロイドマガジンAdvancedTimeをお手元に
静寂のサンクチュアリへ「バンヤンツリー・東山 京都」
箱根に登場したラグジュアリーなヴィラ「箱根リトリートföre & villa 1/f(フォーレ&ヴィラ ワンバイエフ)」
海を愛する食通が唸る!「Restaurant UMITO Akasaka」で、旬の海の幸が活きる“モダン和食”を
『舞姫』は鴎外から読者への〝問い〟である