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大河ドラマで見せる高貴なオーラも、端正な顔立ちも俳優・町田啓太さんの魅力のほんの一部。画面では見えないところでのひたむきな努力が、見る者を思わず惹きつける。現在、33歳。今、彼が目ざす自分像とは──。
本人いわく、「芝居が上手くなりたいし、演じる役どころの歴史的背景も、もっと学びたい、表現したい…。自分の欲求にはキリがないけれど、どれも突き詰めたいし、どれもあきらめたくない。漫画のセリフじゃないけれど、あきらめたらそこで試合終了、ですから」。
俳優の道に進んで14年目となる町田啓太さん。順調で華やかなキャリアを称される一方で、地道に、粘り強く、鍛錬を重ねてきた「努力の人」でもある。
「大河ドラマ『光る君へ』では、常に多くの準備が必要です。着物での所作から始まり、漢詩の読み書き、雅楽の龍笛、打毬のための乗馬、貴族ならではのふるまい…。難しいことばかりですが、僕のモットーは〝楽しみながら〟学ぶこと。史実から新たな発見をしたり、平安時代へ思いをめぐらせたり、さらには史実を超えた脚本の世界を楽しんだり。今、演じている藤原公任は、芸事に秀でた人ですが、ときとして口が過ぎるところもまた面白い。自信と才能をもって出世街道を進む公任がどうなっていくかも、今後の見どころです」
町田さんが〝楽しみながら〟習得し、それを確実に自分のものにしていることは、表面だけではない、内側からのオーラとなって醸し出される。またそれは「声」の仕事にも大いに反映されている。
「映画やドラマのナレーションをはじめ、美術館の音声ガイドなど、声だけで情報を伝えるのは、とても難しいけれど、挑戦しがいのあることです。以前からやりたいとは思っていたけれど、実は、自分の声を初めて客観的に聞いたとき、思っていた声と違い、正直言ってあまり好きになれませんでした。でも、滑舌を改善し、発声を練習する中で、やがてこの声も自分の一部なんだという気持ちになってきました。悩むのではなく、やるからには不完全なところも認めて、自分なりに生かしていく。むしろそれが自分の魅力になればいいとも思っています」
できるかぎりの努力をした上で、悩んだりあきらめたりするのではなく、プラスに変える。町田さんの努力は、完璧さを求めるばかりではなく、楽しみながら、自分が次に進むためのものなのだ。
「最近は、ボクシングを始めました。とてもハードな有酸素運動として知られていますが、同時にとてつもなく頭も使います。相手がどう動くか、次の動きをどうするか、常に考える。だから終わったときは、体だけでなく、頭の爽快感もすごいんです。
そして、旅に出たり、写真を撮ったりする時間も大切。インプットの時間をつくって心のケアをして、それをいいアウトプットにつなげたい。いつかヨーロッパをゆっくり回れたらいいと思うけど…。それには何か月か必要だから、しばらくは難しそうですね。
ただただ、がむしゃらだった20代を経て、いい挑戦をひとつひとつ重ねていくのが、僕にとっての30代。苦しさもあるだろうけれど、素直に自分を認めながら前に進みたい。土台となる体と心のバランスを大事に、無理をしすぎず、すべてを〝楽しみながら〟歳を重ねていけたら、素敵なことだと思っています」
1990年7月4日生まれ、群馬県出身。劇団EXILEのメンバー。近年の主な出演作は、大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)、配信ドラマ「今際の国のアリス」シリーズ(Netflix)、ドラマ「SUPER RICH」(フジテレビ系)、「テッパチ!」(フジテレビ系)、「unknown」(テレビ朝日系)、連続ドラマW「フィクサー」(WOWOW)、映画「チェリまほ THE MOVIE〜30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜」、「ミステリと言う勿れ」など。Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」が好評配信中。NHK総合/Eテレ「漫画家イエナガの複雑社会を超定義」放送中、大河ドラマ「光る君へ」には、藤原公任役で出演中。2025年配信予定のNetflixシリーズ「グラスハート」への出演を控える。
初出:2024年4月6日発行『AdvancedTime』21号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Model: Keita Machida
Photo: Kazutaka Nakamura
Stylist: Eiji Ishikawa(Table Rock Studio)
Hair&Make-up: KOHEY(HAKU)
Text: Yukari Minami
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