歓びの起源を巡る BMW i4 M50 × KANAYA RESORT HAKONE

快適なドライブは大人の旅を更に楽しませてくれる——。ジャーナリストの長谷川 喜美さんがBMW i4 M50に乗り、箱根へ向かった。この旅の目的地はKANAYA RESORT HAKONE。自然に囲まれた隠れ家のようなホテルは伝統とホスピタリティ、居心地の良い空間で溢れていた。

LIFESTYLE May 25,2022
歓びの起源を巡る BMW i4 M50 × KANAYA RESORT HAKONE

BMW i4 M50でドライビング・プレジャーを満喫する旅へ

BMW i4 M50 の画像

BMWとは不思議な縁がある。

「駆けぬける歓び(Sheer Driving Pleasure)」という言葉をご存知だろうか。BMWのドライビング体験を表現したこの有名なスローガンは1965年に生まれ、現在まで使用されている。さらに遡ると、「歓び」を意味する言葉自体は1930年代からBMW社で使用されているのだという。ドライビング・プレジャーはBMWのものづくりの遺伝子の象徴なのだ。それはなぜか。

ミュンヘンのBMW本社取材のインタビューで、この歓びの起源を尋ねた。1916年に創立されたBMWはドイツ語でBayerische Motoren Werke AG(バイエルン発動機製造株式会社)、ドイツ南部バイエルン州ミュンヘンを本拠としている。BMWのエンブレムが示す通り、4気筒エンジンのシリンダーを模した円柱を持つ本社ビルは、フィーアツュリンダー(vier zylinder、「4気筒」の意)と呼ばれ、ミュンヘンのシンボルとなっている。澄み渡る南ドイツの青空にシルバーの4つのシリンダーが燦然と輝いていた。その光景は既存のドイツのイメージを覆すものがあった。

私の問いに、BMW本社でのインタビューの答えはこうだった。「歓びという感情に訴えかける。それはBMW伝統の地、ここバイエルンの伝統だ。ここはいわば北のローマ、最北のイタリアなのだ。車を運転する行為において、歓びを喚起する感覚こそ、我々は重要だと考えている」。

長年、ヨーロッパのクラフツマンシップを取材してきたが、ものづくりには必ずそれを作っている人々の美学や歴史が反映されている。BMWにもバイエルン、つまり南ドイツの風土がその根底にあり、それがBMW独自の個性を作り出している。

新しいビールの醸造を祝う祭り、世界最大のビールの祭典オクトーバーフェストがミュンヘン発祥であることを知れば、誰もがミュンヘンの人々の陽気な性格に納得するに違いない。ドイツ製機械が持つ信頼性に加え、バイエルンの開放的な風土がもたらす歓びへの希求は、他のドイツの地方には見られないものなのだ。

車内にいる長谷川 喜美さんの画像

BMWとの縁はそれだけではない。実は、私の最初の車はBMW3シリーズE30型のMパフォーマンスだった。最初の恋人の印象は誰にとっても忘れえぬものだ。それから英国車、フランス車、ドイツ車と数々の車を運転したが、中でもBMW 325i、525i、750i、850iと乗り継いだ。どの車にも共通しているのはスポーティーなデザインと彼らが語るドライビング・プレジャーだ。今回は初の完全電動4ドアのグランクーペBMW i4 M50で、箱根にあるKANAYA RESORT HAKONEへ一泊二日の旅をする予定だ。

BMW i4 M50はエンスージアストに向けて開発されたBMW Mパフォーマンスの遺伝子を受け継ぐ車で、車体のサイズもほぼ同じ、3シリーズの後継車種とも言える車である。改めてBMWとの再会に思わず笑みがこぼれる。初めて箱根に自分で運転して行ったのもあの車だった。Mのグリップの効いた乗り心地や、レザーのステアリングの確かな感触を今でも思い出す。車を信頼して運転することと同時に、一人でどこにでも行ける自由な時間と自ら運転する歓び、車のある生活の楽しさを最初にあの車から教えてもらった。

あれから月日は流れ、目の前のタンザナイトブルーのマットなエクステリアカラーを持つBMW i4 M50は新たな時代の訪れを感じさせる。果たして年月はどんな変化を与えたのか。あの時の面影は残っているのだろうか。ドアを開け、フロントシートに滑り込むと、久しぶりの邂逅に胸が高まった。

車内にいる長谷川 喜美さんの画像

運転を始めて、わずかな杞憂はすぐに安堵に変わった。2基の前後に装備されたパワフルなBMW eDriveモーターとインテリジェント4輪駆動システムBMW Driveのお陰で、都心の高速走行でも箱根の連続するワインディングでも全く臆することなく運転できる。2.2tの4ドアクーペはアクセルペダルを踏み込めば充分に応えてくれるパワフルなトルクとスムーズな加速感、ブレーキの安定感、ノーズから入っていく感覚のある俊敏なステアリングフィール、これこそ、私が思い描いたBMWだ。

いや、むしろ、私の想像を遥かに超えている。それもそのはず、この車は最大トルク 795Nm、わずか3.9秒で約100km/hに達し、専用のスポーツ・ブースト・モードにすれば最高出力で544ps(400kw)を発揮する。ドライブモードを変えることで、思いのままに走りをカスタマイズできるのがMシリーズ最大の楽しみだ。特に運転中でもスイッチの切り替えが可能なのがいい。

スポーツ・ブースト・モードではアイコニック・サウンド・エレクトリックによるサウンドと共に「駆けぬける歓び」を味わうこともできる。状況に応じて躊躇することなくスイッチを切り替えて、専用にカスタマイズされたサスペンションと共に、BMW Mのダイナミクスを存分に堪能した。スポーツ・ブースト・モード以外での移動中では、電気自動車ならではの静かさが室内を満たす。どの音楽を聴くべきか、楽しい悩みだ。BMWデジタルサービスでApple CarPlay®と連携すれば、どんな曲も思いのままだ。ドライブ前にCDを選んでいた時代は遥か昔となった。

ここはやはり、ルートヴィヒ2世がこよなく愛したワーグナーにするべきか。バイエルンにはルードヴィヒ2世の城がある。運転しているとよくあることだが、ここからとめどなく回想は広がる。窓の外の景色が徐々に緑に染まっていく。ワーグナーの楽劇『神々の黄昏』から、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『ルートヴィヒ 神々の黄昏』に思いを馳せる。この映画を編集したヴィスコンティ一族所有の北イタリア、コモ湖畔にある別荘に取材に行き、ヴィスコンティ一族にもインタビューした。あの時の忘れえぬ映像が脳裏をよぎる。その時も、やはり北イタリアと南ドイツ、双方の硬質な美と華やかな享楽といった共通点を感じた。

箱根の山々は新緑が始まったばかり。名残のようにはらはらと散る桜の淡い白と、目に眩い新緑のコントラストが美しい。

BMW i4 M50 の画像

箱根と東京間は約90Km、往復で180Kmとなるが、BMW i4 M50はゼロ・エミッション走行で最大546Kmの航続走行が可能である。給油や充電の煩わしさが無く、安心してドライブを楽しむことができる。加えて、これならどんな遠出でも充電の心配は無用というものだ。駆動形式やエンジン形式がいかに進化しようとも、車から得られる純粋な歓びは普遍であり続ける。最新のi4 M50との旅はこの事実をあらためて再認識させてくれた。

BMW i4 M50

BMW i4 M50 の画像
主要諸元 
電気モーター 最高出力(kW[ps]/rpm (EE)) 190[258]/8,000 /230[313]/8,000
最大トルク(Nm [kgm]/rpm (EEC))365[37.2]/0-5,000 / 430[43.8]/0-5,000
最高出力 544馬力(400Kw)
最大トルク795Nm
全長/全幅/全高4,785 mm / 1,850 mm / 1,455 mm
車両重量2,240kg
車両価格¥10,800,000
BMW i4 M50 の画像

左/BMW伝統のキドニーグリルはクローズドのパネルタイプで先進のデザインに。
右/M50専用のエクステリアはディフューザー、リアスポイラー、リアバンパースカート等を装着。5つのフルサイズシートにラゲージ・コンパートメントは470L、リヤ・シートのバックレストを倒せば最大1,290Lとグランドツアラーに最適。

BMW i4 M50 の画像

左/M50専用のアロイホイール。19インチ、Mライト・アロイ・ホイール・ダブルスポーク・スタイリング861Mバイ・カラー。走りを意識したシャープなエクステリアもMの伝統だ。
右/83.9kWhのリチウムイオンバッテリー搭載。90kWの急速充電器なら約40分でゼロから80%の充電が可能。

BMW i4 M50 の画像

インテリアはヴァーネスカ・レザーブラック。シートとステアリングにはレザーにMのテーマカラーとマークが施されている。センターコンソールにM専用のセレクターレバーを装備。オンダッシュタイプの一体型「BMWカーブド・ディスプレイ」を採用し、視認性も向上している。

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