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星野リゾートとのコラボレーションで、日本を旅することの魅力をより深く、多彩に追求していく連載企画。長年日本の津々浦々を旅してきた画家・イラストレーターの小林泰彦が、日本各地の星野リゾートを訪ね、その地の魅力の実像を掘り下げる。今回は日本最南端の『星のや』と竹富島独自の文化との連関を、さまざまな人との出会いを通じて探っていく。
画家、イラストレーター
小林泰彦
こばやしやすひこ/画家、イラストレーター。1935年、東京・日本橋生まれ。武蔵野美術学校中退。社会風俗、環境、街、旅、自然、スポーツ、登山やハイキングなどのイラストレーションを中心に、制作活動中。小説の挿絵や本の装丁などのほか、絵と文によるレポートや紀行のような仕事も数多い。また、文具類、食器類、衣類など小林泰彦のライセンスプロダクトも展開されている。国内外の旅によく出かけ、自然の中で過ごすことが多い。近刊は『にっぽん建築散歩』『続・にっぽん建築散歩』(ともに山と溪谷社)、『イラスト・ルポの時代』『ヘビーデューティーの本』(ともにヤマケイ文庫)、『ヘビトラ大図鑑』(トゥーヴァージンズ)など。
石垣港を出た連絡船は向こうに見える緑の竹富島を目指して、10分ほどで到着した。 迎えの車で白砂の道を樹林へと入るとたちまち熱帯樹の生気に包まれて、竹富島へ来たことが肌感覚でもわかった。

竹富島ビジターセンター・ゆがふ館は初めて島に来た人でもここがどんな島なのかわかるようにと設けられた施設で、さっそく職員の阿佐伊拓さんに話を聞いた。 竹富島には他の沖縄の島にはないものが残っていると聞いていますが…… はい、それは集落の景観ですね。この島は幸い沖縄戦の被害を免れたので昔からの集落が残って、いまは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。戦後の過疎化がケガの功名で、若い世代が島を離れていった後に先祖代々のものを大切にするお年寄りだけ残ったからです。外部の方がそんな島を認めて支援して下さったことも大きかった。それに、代々の住民が美しいものを創り残してくれたことが大事な点です。民家の屋根のみごとな傾斜やグック(石垣)の絶妙な高さを見てください。こうしたものが島の自然と調和して集落の“美”を生んでいると思います。 世代交代の中でそういう文化を守っていくのはむずかしいと思いますが…… そうですね。でも強力な仲間に恵まれているので、頑張っています。上勢頭亨の『竹富島誌』が僕らのバイブルで、この本のお陰で多くを学びました。 一端を拝読しましたが柳田国男の『遠野物語』を想起しました…… 本にもあるように島には「ニライカナイ」の概念がいまもあります。八重山では「ニーラスク、カネーラスク」といって「根の国」という意味です。そのユーンカイ(世迎え)の儀式が行われる所が「ニーラン神石」で、現存する石は上勢頭亨がなぜか形を改めています。 「種子取祭(たねどりさい)」は竹富島の精神性を表す独自の伝統芸能の祭りで10月、11月中の10日間に行われますが7日目と8日目が最も祭りらしい奉納芸能の日です。伝承されてきた島の芸能や歌が人々の心を動かす、島で最大の行事です。 竹富島を旅するとき、阿佐伊さんの話に出てきた「ニライカナイ」「種子取祭」などの島のキーワードを覚えておいておくとよいと、これは後になって気付いた。

周囲9.2kmの竹富島の中心部に寄り集まるようにして、島で唯一の集落がある。一戸ごとに琉球石灰岩を積んだ石垣に囲まれる景観は阿佐伊さんの話の通り、中の住居が少し見えるがプライバシーを覗かれるほどではない絶妙な高さの石垣のせいで優れた家並みを形成して好ましい。またその石垣の連続も、どの地方にもない集落の眺めで思わず足が止まる。 そんな集落の中に竹富島の昔からの暮らしに必要だった民具を集めて展示する『喜宝院・蒐集館』があり、そこで案内していただいたのが館長の上勢頭立人さんだった。 島ではどの家にもこのように(とパネルを指して)独自の家紋があって同じ家紋は二つとない、つまり各家のIDです。役人がその家の主(あるじ)の仕事や特技からデザインしたようです。もう一つ「カイダー字」といって数字や穀物とか家畜とかを表す象形文字があって、これらは税を納めるのに使われたので、その必要から役人が考えたものです。 徴税の必要から生まれたというのは納得ですね(笑)…… 昔の人は文字が書けなかったからこういうものを考えたわけで、他にも「わら算」といって藁を結んで記録する方法があります。例えばこれは(と藁に結び目のあるものを指して)この道の間に何軒の家があり住人は何人いるかを示すもので、これも徴税用ですね(笑)。物を借りたり返したりの記録にも使ったようで、何でもこれで記録して残したのです。 その他にも蒐集品をたくさん案内していただいたあと、上勢頭さんが最後にと言って自ら三線(さんしん)の弾き語りで披露してくれた島の歌がこれがまたすばらしいもので、すっかり感心しながら蒐集館を退出した。
イラスト・文/小林泰彦
STAFF
Illust&Text:Yasuhiko Kobayashi
Text&Edit:Yukihiro Sugawara
Edit:Kyoko Seko
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