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三次元曲線を描くトノウ カーベックスと名付けられた独特なケースフォルムが代名詞のフランク ミュラー。しかし、「マスター オブ コンプリケーション」とまで呼ばれる時計製造の真髄は、ジュネーブ郊外のウォッチランドでネジ1本から自社で製造するマニュファクチュール体制にあった。2024年の新作モデルと共に、類いまれなるアイデアを形にする自社製造の実直さを解き明かす。
1986年にそれまで誰も成しえなかった世界初のトゥールビヨン搭載腕時計をバーゼルフェアで発表したフランク ミュラー。1992年に自身のブランドを起こしてからもミニッツリピーター、トゥールビヨン、永久カレンダーなどを組み合わせた世界初の機構をほぼ毎年のように開発して、クォーツにはない機械式時計の魅力を発信してきた。同時に流麗なトノウ型ケースの「トノウ カーベックス」にビザン数字を組み合わせた独特なスタイルで名声を確立。1995年にはジュネーブ郊外に時計工房「ウォッチランド」を設立して、スイス時計業界の一大勢力となったのである。
フランク ミュラーは、現在デザインから自社製ムーブメントの製造、組み立てまで、すべてウォッチランドで行い、新工房が完成したことでその内製率をいっそう高めている。類いまれなアイデアを形にするフランク ミュラーにとって、それぞれのパーツはそのモデル専用に作られるため、マニュファクチュール化は自然な選択であった。
コスト面を考えれば、パーツをサプライヤーから調達したほうが簡単だ。しかしフランク ミュラーでは全長1mmのネジ1本でも棒状の鋼材から切削して成形する。一つ一つの部品から複雑機構までを組み上げることこそ、「マスター オブ コンプリケーション」たるウォッチメーカーの誇りなのだ。このこだわりは、スイスでも数社しかしていない時計の心臓部であるヒゲゼンマイを巻く作業を内製化するまで及ぶ。
少し離れてもわかる個性的なスタイルを堪能しながら、よく目を凝らしてムーブメントの動きやパーツをじっくり鑑賞できるのがフランク ミュラーの時計だ。これらを両立させることこそ、稀代のウォッチメーカーの本懐といえる。
ラウンドケース以外では初めてトゥールビヨンを文字盤中央に配置。オープンワークを施した文字盤に、放射状にのびるブリッジで支える巨大なトゥールビヨンが存在感を示す。その周囲を回転する円形の部品についた時分針で時刻を表示。自動巻き機構はマイクロローター式を採用。
回転する針を備えず、3つの小窓で時刻をデジタルで表示する新作。数字がジャンプするように切り替わるジャンピングアワー機構を発展させたもの。小窓は上から時、分、日付を示し、分と日付では10の位と1の位で別々のディスクを持ち、合計で5つのディスクが備わっている。このミニマルデザインが引き立つように、文字盤にはクルー・ド・パリ装飾が施され、クラシカルなデザインに仕上げた。
スケルトンにしてムーブメント細部の構造美まで魅せたレディスモデル。職人によって丁寧に仕上げが施されたブリッジには、バゲットカットされたピンクサファイアをセッティング。表裏に同様のセッティングが施され、メカニズムをダイナミックに引き立てる。リューズのサイドにもピンクサファイアをセッティング。約4日間のロングパワーリザーブ。
●掲載商品の価格はすべて、税込み価格です。
初出:2024年6月29日発行『AdvancedTime』22号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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