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時計好きはクルマ好き。その逆もしかり。なぜ、このふたつに人は惹かれるのだろうか。自身のステイタスを言葉なくとも語る、ということもあるだろう。が、まだ見ぬ未来や場所を示すような存在だからだと思えば納得がいく。 つまり、時計とクルマの相性を考えれば、人生はもっと楽しくなるはずだ。
クルマも時計も大事なのは中身だ。エンジンとムーブメント。このクルマの直列6気筒は絹のようになめらかに回るエンジンだと言われる。そんなクルマを選んだ貴兄は時計も中身にこだわるだろう。月に降りた唯一の時計“ムーンウォッチ”、オメガのスピードマスターだ。内蔵されるキャリバー1861は、1969年に月へ行ったキャリバーの正常進化版であり、当時同様、手巻きによる。NASAの過酷なテストをクリアした機能は形態を従わせる。中身がいいものは外見もいいのだ。
かつてのセダンが担っていた、自動車の標準デザインは、現代においてはSUVとなった。ネクタイをせずとも、社会的信頼を得られる時代である。アウディSQ5のようなタフでいながら品もあるクルマが今にマッチする。時計も同じ。ジュネーブ・シールを誇る繊細な作りを持つ一方で、耐久性にも優れた世界三大高級時計メーカー、ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズのようなスポーティかつエレガントな時計を選びたい。文武両道な貴兄の時計とクルマがここにはある。
高級機械式時計と高級スポーツカーのコラボレーションが隆盛を極めているが、タグ・ホイヤーほど自動車と縁深い時計メーカーはないだろう。アイルトン・セナ愛用の「セル」、映画『栄光のル・ マン』でスティーブ・マックイーンが着用した「モナコ」が有名だが、その先駆けとなったモデルが「カレラ」。カレラ・パン・アメリカーナ・メキシコという1950年代に開催された過酷なレースの名に由来する、1963年に同社が初めてクロノグラフを搭載した時計だ。同じ時期に生産された英国ライトウエイトスポーツカー、ロー タス・エランで走り抜けたい。
初出:2019年09月23日発行『AdvancedTime』02号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photograph: Yuji Kawata
Styling: Tatsuou Sakai
Editor: Takashi Ogiyama
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