注目の日本初上陸ブランド 知られざる時計との出合い

【ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026】新作時計レビュー Vol.09

有名ブランドの新作をチェックするのもいいが、まだ知られていない時計ブランドを見る機会があることも大規模イベントの魅力だ。今年から日本への導入が決まった新しいブランドをチェックする。

FASHION Aug 17,2026
注目の日本初上陸ブランド 知られざる時計との出合い

ウォッチズ&ワンダーズのような大規模展示会に行くと、まだ日本で知られていない時計ブランドが数多く存在する。

例えば、ドクサやブレモンといった、長い歴史を持ちながら、日本では正規展開されてこなかったブランドだ。海外ではすでに時計愛好家に知られ、独自の技術や哲学で評価を築いてきた。しかし流通や市場環境、ブランドの戦略によって、日本の時計ファンにその存在を知る機会は限られていた。

あるいは、ジャン マルク フュルーリーやアコールという、独創的な思想と技術を携えて誕生した新進気鋭のブランド。伝統的な時計作りを再解釈するもの、革新的な構造に挑戦するもの、少量生産だから実現できる表現を追求するものなど、成熟した時計産業に新しい視座を与えてくれる存在だ。

こうしたブランドが、いよいよ日本市場へ届けられる時代を迎えた。時計の世界には、新旧を問わず、まだまだ紹介されるべき物語が多く残されているのだ。

では、これまで日本に展開がなかったのが不思議だった老舗ブランドのドクサから見ていこう。

DOXA

レトロ調のダイバーズブランドが、満を持して日本展開スタート!

ドクサは1889年にスイスのル・ロックルで創業した老舗ブランド。その名を世界に広めたのは、1960年代、スキューバダイビングの普及に合わせて開発したプロフェッショナルダイバーズウォッチ「SUB」だった。開発には海洋学者として有名なジャック=イヴ・クストーやダイバーのクロード・ウェスリーらも参加していた。そこから生まれたのが、浅い海から中深度で高い視認性を示すオレンジ文字盤や、外周の潜水時間、内周の深度の二重スケールによる減圧計算用ベゼルの装備だ。減圧計算用ベゼルは現在でも極めて個性的な仕様として知られる。最新作では、機能面で現代的にアップデートしながら、オレンジ文字盤と独特のクッションケース、ポリッシュ仕上げのライス・ビーズブレスレットを受け継ぎ、ヴィンテージテイストに仕上げた。これまで培ってきたヘリテージのある意匠を忠実に守り、かつコストパフォーマンスが良いのが魅力だ。

DOXAの「SUB 200 T.GRAPH」の画像
「SUB 200 T.GRAPH」。自動巻き。ステンレススティールケース。ケースサイズ42×44.5mm。200m防水。82万2800円。

BREMONT

“ネクストスタンダードラグジュアリー”を掲げ、英国発ブランドが本格始動

現在、高級機械式時計の中心地はスイスだが、トーマス・マッジによるレバー脱進機の発明、ジョン・ハリソンによる航海用クロノメーターの開発など、近代時計技術の多くは18~19世紀のイギリスで発展した。2002年に創業した、英国発のブレモンは「英国時計産業の復興」を理念に掲げ、空・陸・海・宇宙での過酷な環境でも機能するタイムピースを追求した機械式時計ブランドだ。904Lステンレススティールやグレード2チタンなど高品質な素材を採用している点からも、その本気度はうかがえる。創業者兄弟がパイロットであったことから航空業界と結びつきが強く、英国空軍とも共同開発をしている。今回取り上げるモデルも、英国のジェット戦闘機から着想を得たチタン製パイロットウォッチで、ケース内部に軟鉄製リングを装備することで耐磁性能を高めた。また“ネクストスタンダードラグジュアリー”を掲げ、上質なクラフツマンシップを適正価格で提供する姿勢も嬉しい。

BREMONTの「アルティチュード MB テメオ」の画像
「アルティチュード MB テメオ」。自動巻き。チタンケース。ケースサイズ42mm。10気圧防水。99万円。

JEAN-MARC FLEURY

伝説の名機を蘇らせ、現代的にアレンジしたクロノグラフ

ジャン マルク フュルーリーは、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ会場に隣接して開催されたタイム トゥ ウォッチズ 2026で出展されたブランド。創業者は、パテック フィリップで製造部門の責任者を務めた実力派で、2020年に自らの名を冠して独立を果たした。特徴は何と言っても、名機レマニア2310を現代的に再設計し、それを搭載するクロノグラフだ。レマニア2310は、オメガをはじめパテック フィリップ、ヴァシュロン コンスタンタン、ブレゲなどに採用されてきた伝説的なクロノグラフキャリバーとして知られる。パテック フィリップがクロノグラフを自社製に切り替えたのが2009年なので、フュルーリー氏はパテック フィリップ在籍中にレマニア2310を徹底的に研究したのは想像に難くない。独立後、ムーブメントのオリジナルの27mmから現代的な32.5mmへと仕立て直し、ポインターデイトやデイ&ナイト機能を組み込んで再構築した。そのムーブメントを搭載したクロノグラフに、今年は文字盤側もオープンワークを施したモデルを追加。文字盤側からもパーツの重なり合う立体感を楽しめるが、ハイライトはクロノグラフの動きを鑑賞できる裏側だ。各パーツには入念な仕上げを施し、水平クラッチにコラムホイールを持つ古典的なクロノグラフに、レマニア2310を象徴するY字型のウィッシュボーンブリッジにNACコーティングを施した。ここにもジャン マルク フュルーリーらしい現代的なエッセンスが加えられている。

JEAN-MARC FLEURYの「クロノグラフ FXR-4 オープンワーク」の画像
「クロノグラフ FXR-4 オープンワーク」。手巻き。グレード23チタンケース。ケースサイズ40mm。価格は未定(2027年発売予定)。
JEAN-MARC FLEURYの「クロノグラフ FXR-4 オープンワーク」の画像

AKHOR

独自の美意識と高精度で日本上陸を見据える

アコールは、2025年にジュネーブ・ウォッチ・デイズでデビューしたばかりの新興ブランド。もともとムーブメントのパーツサプライヤーとして時計業界を陰で支えてきたが、自社ブランドを立ち上げて表舞台へと打って出た。今年はデビュー作、ルタン・エキリブルのバリエーションを追加。文字盤は浮遊する上部文字盤との間を通り先端のみを見せる時分針と、中央をダイナミックに回転する秒針によって、空間を感じさせる構築的なデザインに仕上げた。またパーツサプライヤーを母体に持ち機械式時計を熟知したブランドらしく、搭載する自社製キャリバーのAK10は、COSC認定とジュネーブ・シールを取得しており、デビュー作とは思えない完成度を誇る。シースルーバックからは、ジュネーブ伝統のフィンガーブリッジや放射状に広がるコート・ド・ジュネーブ装飾など、美しい仕上げを鑑賞できる。

AKHORの「ルタン・エキリブル」の画像
「ルタン・エキリブル」。手巻き。ステンレススティールケース。ケースサイズ39mm。2万8800スイスフラン。
お問い合わせ先
大沢商会(DOXA)
03-3527-2682
BEST ISHIDA(ブレモン)
https://bremont.jp/
ジーエムインターナショナル(ジャン マルク フュルーリー)
03-5828-9080
アコール
https://akhor.ch/

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