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路面状況や温度に応じてゴムの性質が変化するというダンロップの最新技術「アクティブトレッド」を採用した『シンクロウェザー』。冬タイヤとしても夏タイヤとしても“不満なく対応できる”というパフォーマンスで、これまでのオールシーズンタイヤの概念を一新したというニューカマーは「グランドツーリングの景色」をどのように彩ってくれるのか? 早速『アルファ ロメオ ブレラ2.2』に『シンクロウェザー』を装着して、北へと向かった。

『シンクロウェザー』最大の特徴である、路面状況や温度に応じてゴムの性質が変化する「アクティブトレッド」技術によって走りがどう変わるか? もっとも注目したいのはオールシーズンタイヤが苦手とする「氷上性能」だが、その前に積雪地へと向かうにはドライ路面での走りをチェック。さらに最近の雪国は除雪が行き届いた路面も多く、水がたまった路面やシャーベット路、そしてドライに近いアスファルト路にも頻繁に遭遇することになる。つまり無雪路面での性能もオールシーズンタイヤにとって実に重要な性能となる。
『シンクロウェザー』をダンロップのスペシャルショップ「タイヤセレクト中野哲学堂」で装着後、都内の混み合った道路を“慣らし”を兼ねて少し走った。『アルファ ロメオ ブレラ2.2』はFF(前輪駆動)でタイヤのサイズは225/50R17。
実は1年ほど前、コンパクトカーの『MINI』にも『シンクロウェザー』を装着している。こうしてFF車といった2WD(2輪駆動)に装着するのは、雪道に強い4WDに比べてタイヤの性能差が大きく出るからだ。トラクション(駆動力)において優れている4WDに装着すると“そこそこ走れてしまう”という結果になることは容易に予想できる。さらに言えばFR(後輪駆動)を含めた2WDの方が普及率は高く、利用者が多い駆動方式であり、サンプルとしては好都合だという考えもある。
さて装着して走り出してみると当初は、少しだけ籠もるようなロードノイズを感じた。ただ距離が伸びるに従い、そのノイズは徐々に収まり、100kmほど走ると気にならないレベルになった。それよりも印象に残るのはドライ路面での素性の良さ。路面の繋ぎ目やマンホールなどを乗り越えた際には少しだけトレッド面の硬さを小さなショックとして感じるが、相対的には当たりの衝撃吸収は良く、しなやかな印象。また交差点、そしてコーナーでのステアリング操作に対するレスポンスに遅れや腰砕けのような感触もない。なによりもタイヤの真円性をしっかりと感じながらスムーズに走れ、さらに聞こえてくるロードノイズ、パターンノイズも不快な音域とは言えず、抑制が効いてストレスにならない。ドライ路面での走りは「よくできたコンフォートタイヤ」といった印象だ。
もちろん雪道へとそのまま突入するのは真冬。都内などでは外気温も路面温度も低めであったが、それでも『シンクロウェザー』のゴムは柔軟性を失わず、しっかりと路面を捉えているので、良好なレスポンスを実現している。
さて、都内を夜が明ける前に出発した試乗で向かうのは、関越自動車道(以下、関越道)を北上して新潟方面というルート。天候を確認すれば出発時点で、すでに群馬県北部から新潟県全域に掛けて“大雪予報”が出るほど。雪国の方々のご苦労は承知の上だが『シンクロウェザー』のテストには条件が揃っている状況だ。Part1でも述べたが、“沖縄県を除く都道府県”では、雪道をノーマルタイヤで走行することは条例違反となり、罰金も科されることは肝に銘じてほしい。




キンと冷えた夜空には月が浮かんでいた。外気温2度という都内のドライ路面からスタートした『ブレラ』は関越道を北上。冬のドライ路面だが一般道から高速に掛けて『シンクロウェザー』は確実な路面とのコンタクトを得ながら快適な高速走行を実現している。どちらかと言えば“スポーツタイヤの要素”を好む『ブレラ』ではあるが、『シンクロウェザー』のコンフォートタイヤ寄りの乗り味、レスポンス、スタビリティでもいたって快適。コーナリング時に攻め込んだり、過度な加減速を求めなければ、ストレスは感じない。ちなみにスポーツ寄りのオールシーズンタイヤと言えば最新の『ミシュランCrossClimate 3 Sport』の存在がちょっと気になるが……。
さて東京から北上して関越道のドライ路面を走ってきたわけだが、群馬県に入ると雨模様に変化。標高が上がるにつれて雨から雪へと変わる。路面もウェットからシャーベットへと変わるが、ここでもハイドロ現象など感じることなく、安定している。むしろ冷えた路面に対して「温度スイッチ」が入ったのだろうか、路面へのコンタクト感が向上したようにも感じる。
路面にもうっすらと雪が積もる頃、月夜野インターチェンジで国道17号線に降りて「三国峠越え」というプラン。降雪量は増え、路面は標高が上がるにつれて凍結路、さらに圧雪路へと変化していく。圧雪路や滑りやすい低μ(ミュー)路の一部凍結路が次々に現れ、タイヤ性能の差が出やすい条件が次々に出現。そんな厳しい条件下ではあったが『シンクロウェザー』は満足できるブレーキ性能とトラクション性能、つまり前後方向では予想を超えるほどのグリップ感を得られた。とくに圧雪路においては、雪国でも十分に通用するほどの安定感だ。
さらに凍結路だが、ここでも前後方向の加速や減速、ブレーキングでは想像以上に安定して走行が可能だった。一方、凍結した路面にうっすらと雪が乗っているような路面状況のコーナーなどでは少し外側(横方向)に滑る感じはある。修正できないほどの滑りではないので、ラフなアクセルワーク、ステアリング操作を行わなければ、十分に挙動は安定している。これならば「凍結路でも使えるオールシーズンタイヤを目指した」というコンセプトは、十分にクリアできている。
結果としてメーカーが言うように「一世代前のスタッドレスタイヤの制動力を実現した」という実力が確認できたのだ。もちろん最新のスタッドレスの「完全なる代替え品」として雪国エリアでの使用にも“全く不満なし”と言えるほどではないかもしれない。だが、それでも緊張感をもって、速度を普段の3割減ほどに抑えて走れば高いレベルで安定し、安全に雪道や凍結路も走れる。
そんな実力を確認できたところで、さらに標高1000メートルほどにある新三国トンネルを抜け、群馬県から新潟県の豪雪地帯へ、と思った。ところが予報では新潟県側の降雪はさらに激しく続き「顕著な大雪に関する気象情報」が発表されそうな気配。ここまででも十分な実力検証はできているため、無理をして新潟側へと突入しなくてもいい状況だった。
なにより、いつもは装備している布製タイヤチェーン「ISSEスノーソックス」を積み忘れていた。仮に「チェーン規制(とくに大雪時の義務化)」が発令されれば、そこで走れなくなる。当然それは自らを危険にさらすばかりか、交通の流れを阻害する可能性があり、違反行為だ。
そうした理由もあり、ここで雪道を終了し、東京へと向かいながら初代『フェアレディZ』のデザイナー、松尾良彦さんのことを思い出した。もし、ご存命なら「いいタイヤが出たみたいだから、北を目指す冬のグランドツーリングにも使えそうだね」と嬉しそうに話されただろう。





かなりの好感触を得た雪道走行だったが、一方で雪国新潟にいる知人たちに無条件で勧められるかどうかは、まだ懐疑的。もちろん雪国の人にとって、今も “冬タイヤ”として「スタッドレスが最善」という事実に変わりはない。一方で『シンクロウェザー』なら、例えば関東エリアの人が「シンクロウェザーだけで1年を過ごしたい」と望めば、十分にその役割を果たしてくれるレベルまでに仕上がっていると感じた。
AUTHOR
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
STAFF
Writer: Atsushi Sato
Editor: Ryo Usami
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