
タブロイドマガジンAdvancedTimeをお手元に
時計のトレンドで一番わかりやすいのが文字盤のカラーリングだ。今年はベーシックカラーのひとつでもあるブルーが新作時計を多く採用されていた。ブルーの表現にも個性が出るので、そこに注目して新作を見てみるのも面白い。
ここ数年の新作時計では、グリーンやサーモンピンクなど個性的なダイヤルカラーが目立っていた。今年は一転して落ち着いたブルーカラーの年といえそうだ。
ブルーは、ホワイト、ブラックに次ぐベーシックカラーなので、どこのブランドが火付け役とはいえないが、多くのブランドで今年の目玉となるモデルにブルーを採用しており、強い印象を残している。最近は塗装技術や素材そのものへの着色が格段に進化しているので、ブルーにもいろいろな濃淡や質感を与えやすくなり、表現の幅が広がっている。また文字盤カラーだけでなく、ケースやストラップまでブルーをまとい、時計全体で一体感を演出して悪目立ちしないところもブルーが選ばれる理由だ。モデルごとブルーの表現を見比べてみるのも一興だ。
近年は時計への過熱感も落ち着きだしているので、クラシックで奥ゆかしく、万人受けするカラーであることも増えた要因といえるかもしれない。
今回ご紹介するブランド以外にも、パテック フィリップ、A.ランゲ&ゾーネ、パネライなどにもブルーダイヤルは見られた。それらは他のテーマにもエントリーしているので、是非チェックしてみてほしい。
ケースやブレスレットにセミラックを採用した「J12」で高級腕時計の基盤を築いたシャネル。2000年に登場したブラックセミラックモデルから始まったコレクションが今年で25周年を迎えた。そのアニバーサリーで登場したのが、マットに仕上げた、ブルーセミラック製の「J12 BLEU」。もちろん文字盤もブルーだ。
ブラック、ホワイトに続くカラーセミラックとして誕生したブルーは、シャネルが5年かけて開発した新しいカラー。暗がりではブラックに、自然光の下ではブルーに見えるミッドナイトブルーの色合いで、シャネル流のタキシードウォッチといえるかもしれない。マットな仕上げは「J12」では珍しい試みだ。
アニバーサリーにふさわしく9型の新作がリリースされているが、注目は38mmサイズの「J12 BLEU キャリバー 12.1」。ベゼルにはバゲットパターンを刻み、文字盤にはマットなブルーを背景にバゲットカットのサファイアを12個セットした。搭載するムーブメントは、シャネルが資本参加もしているケニッシ社製の信頼性の高い、「J12」専用の自動巻きキャリバーだ。
創業160周年を迎えたゼニスは、ピラーコレクションである「クロノマスター スポーツ」、「デファイ スカイライン クロノグラフ」、「パイロット ビッグデイト フライバック」に特別なブルーセミラックを採用したブルーのワントーンの限定記念モデルを発表。
セミラックは耐久性・耐傷性に優れ、軽量で優れた素材であるが、硬い素材のため繊細なパーツの加工が難しい。また表面加工とは異なり、素材そのものに着色できるものの鮮やかな色合いを表現するのが困難であった。しかし、ゼニスは鮮やかな発色を持つブルーセラミックの開発に成功し、小さなブレスレットのコマひとつひとつまで繊細にセミラックで作り上げた。
「デファイ スカイライン」は、ブルーセミラック製の特徴的な八角形フォルムのベゼルやブレスレットのエッジにはポリッシュ仕上げを施し、立体的なシルエットを表現。外装と同じブルーカラーの文字盤には、1960年代のゼニスのロゴであった「ダブルZ」を彷彿とさせる星型が刻まれる。ムーブメントはゼニスの十八番である高振動クロノグラフムーブメントのCal.エル・プロメロ3600。センターのクロノグラフ秒針が10秒で1回転する高速クロノグラフだ。
160周年記念にちなんで、世界限定160本なので、手に入れることができた人は幸運だ。
ポロの競技中に時計を保護するために誕生した、ケースを反転させることができる「レベルソ」。表と裏にある両面の文字盤の特徴を生かして、反転させた時に現れる「第2の顔」にどのような機構を備えているかがレベルソの見どころだ。
「レベルソ・トリビュート・ジオグラフィーク」も表面、裏面で異なる表情を見せるウォッチ。ジオグラフィークとは「地理」の意味し、マスター・コントロールやポラリスのコレクションにも見られる、2つの異なる時間帯を備えるGMT機能を備えたトラベルウォッチを示す符丁であった。しかし今回のレベルソでは、裏面に世界地図、都市名、24時間表示のタイムゾーンディスクのワールドタイム機能を搭載。2都市だけでなく、24都市の時間帯が同時にわかるようになった。
表面はブルーのシンプルなデザインに12時位置にはディスク同士の段差のないグランデイトを搭載。裏面には海の部分にブルーのラッカーが施されたワールドタイム表示が備わっている。このワールドタイムは、クレドールからスライドさせたケースの上部の側面に現れるプッシュボタンで操作できるようになっている。一般的なワールドライムは都市ディスクが進むが、このレベルソでは24時間表示ディスクが進み、プッシュボタンを押すと1時間単位で進む仕組みだ。レベルソらしいアールデコ調のフォルムをキープしつつ、機能を実現させるあたりは、いかにもジャガー・ルクルトらしい。
ショパールのL.U.C クアトロが誕生から25周年を記念して登場したのが本作。L.U.C クアトロとは、機械式ムーブメントの動力源となるゼンマイを収める香箱のふたつを2段重ねて合計4つ備わっていることを意味する。4つの香箱を合わせるとゼンマイの長さは1.885mにもなり、216時間(9日間)のロングパワーリザーブを実現させた時計だ。
第4世代目となる最新作では、9日間のパワーリザーブインジケーターがこれまで文字盤の12時位置にあったのを、シースルーバックを通して見えるムーブメント側に配置。その分、文字盤はすっきりとしたデザインとなった。ケースは直径39mmに厚さ10.4mmと腕にしっくり馴染むサイズ感にまとめている。
文字盤は粒子状のテクスチャーとガルバニック加工によるディープブルーに、ゴールドの時分針やインデックスがよく映える。6時位置のインダイヤルには、スモールセコンドと指針式のデイト表示を同軸上に配置した。まさにエレガンスのお手本のような1本である。
自社製ムーブメントのボーマティックを搭載する「クリフトン」コレクション。計算し尽くされた造形のなかにヴィンテージテイストを宿して、1950年代のエスプリを表現している。今年は現代のニーズに合わせてケースのサイズや厚みをダウンさせて、デザインもアップデート。先代機から約1mmほど薄くなっているので、装着性が優れるプロポーションへと進化した。
文字盤デザインはバーインデックスから、12時位置のみアラビア数字を復活させ、その他はシャープな楔型のアプライドインデックスを配置。デイト表示は3時位置から6時位置へと移動させ、書体も変更させている。サファイアガラスの縁はややカーブさせることでボックスガラスのようなフォルムに仕立て、ダイヤルカラーは外側のダークから中央に向かって明るくなるブルーグラデーションでヴィンテージ調を演出している。
搭載されるのは、もちろんボーマティック。1500ガウスの耐磁性を持ち、120時間という優れたパワーリザーブを実現したボーム&メルシエ設計の自社ムーブメントだ。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
『AdvancedTime』は、自由でしなやかに生きるハイエンドな大人達におくる、スペシャルイシュー満載のメディア。
高感度なファッション、カルチャーに溺愛、未知の幅広い教養を求め、今までの人生で積んだ経験、知見を余裕をもって楽しみながら、進化するソーシャルに寄り添いたい。
何かに縛られていた時間から解き放たれつつある世代のライフスタイルを豊かに彩る『AdvancedTime』が発信する情報をさらに充実し、より速やかに、活用できる「AdvancedClub」会員組織を設けました。
「AdvancedClub」会員に登録すると、プレゼント応募情報の一覧、プレミアムな会員限定イベント、ブランドのエクスクルーシブアイテムの紹介など、特別なコンテンツ情報をメールマガジンでお届け致します。更に『AdvancedTime』のタブロイドマガジンのご案内もあり、送付手数料のみをご負担いただくことでお手元で『AdvancedTime』をお楽しみいただけます。
登録は無料です。
一緒に『AdvancedTime』を楽しみましょう!
vol.026
vol.025
vol.024
vol.023
vol.022
vol.021
vol.020
vol.019
vol.018
vol.017
vol.016
vol.015
vol.014
vol.013
Special Issue.AdvancedTime×HARRY WINSTON
vol.012
vol.011
vol.010
Special Issue.AdvancedTime×GRAFF
vol.009
vol.008
vol.007
vol.006
vol.005
vol.004
vol.003
vol.002
Special Issue.01
vol.001
vol.000
ラグジュアリーに進化した、アメリカンウイスキー3選
トレンドカラーはクラシックな「ブルー」が席巻!!
意識の流れを描写していくヴァージニア・ウルフの名著『灯台へ』で、リリーが描く「1本のライン」が意味するものとは?
『名探偵コナン』長野県警・大和敢助&諸伏高明! 物語の要、バイプレイヤーたちの男の流儀
この世界で生きている人間の根本的な孤独感がジワっと喚起される。吉本ばなな著『キッチン』を平野啓一郎が解説。