安全性と持続可能なライフスタイルの基準をさらに高めたボルボ「EX90」の“本質的上質”

米国カリフォルニア州は、「EX90」の本質を確認するに相応しい環境だ。全米有数のハイソサエティを有しながら、バックカントリーサイドには、ワイルドな自然が広がる。望むなら、ブラックタイのまま、ウィルダネスの世界へワープもできる、希有なステートである。

LIFESTYLE Dec 6,2024
安全性と持続可能なライフスタイルの基準をさらに高めたボルボ「EX90」の“本質的上質”

「クルマは人によって運転され、使用される。 したがって、ボルボの設計の基本は常に安全でなければならない」。これは100周年を迎え、そして新たな100年に向け新たな歴史を歩み出した「ボルボ」の共同創業者である「グスタフ・ラーソン(もう一人はアッサール・ガブリエルソン)」の言葉である。まだクルマにとって安全性がいかなる価値を持つのか、それさえも不明瞭の時代から現在に至るまで、ボルボの安全に対する「企業ポリシィ」には一切のブレがなく、それこそが「安全はボルボのDNA」言われる所以だ。そのボルボがさらにサスティナビリティをもDNAに取り込んで世に送り出したのが、ブランド初のプレミアムSUVの「EX90」。自動車の安全性という分野を切り開いてきたボルボのプレミアムの本質はどんな世界なのだろうか?

ボルボの世界観にじっくりと浸るための独特な演出

ボルボ「EX90」のテストドライブの会場の画像
各国からジャーナリストが集う国際試乗会では、クルマのバックグラウンドに応じて、様々な意匠が凝らされる。

「ボルボ・カー・コーポレーション(以下、ボルボ)」が国内外で開催する試乗会はいつもユニークだ。本来、試乗テストといえば、国内であれば箱根や富士五湖周辺などにあるリゾートホテルをベースに、周囲にあるワインディングや高速道を1~2時間ほど掛けて走行し、動力性能を中心としたインプレッションを得るというものが多い。ホテル周辺の美しい景色はあくまでも“主役”である車両を際立たせるための背景である。

ところがボルボの演出は、リゾートホテルをベースにするところまでは同じとしても、その先が少し違っている。短いスパンでテスト車両を慌ただしく乗り換えるのではなく、朝スタートしたら夕方まで、あるいは海外も含めて宿泊を伴う場合には、1日から数日にわたり、テスト車両とはマイカーのように付き合うことになる。これによって動力性能ばかりでなく、日常的な使い勝手を含め、自らがオーナーになった場合のライフスタイルまでイメージさせ、そのクルマが表現したい世界観をじっくりと味わえる。当然ながら美しい自然に包まれた上質なリゾートホテルで寛ぐ時間も、その周辺をゆったりとボルボで走ることも試乗の一部になる。

「ペリカンヒル」の画像
高台から太平洋を望む抜群のロケーションに、広大な地所を有する「ペリカンヒル」。全室ヴィラタイプのアコモデーションは、セカンドハウスのようなリラクゼーションを約束する。

では今回のボルボ「EX90」のテストドライブが、カリフォルニア州のニューポートビーチにある高級リゾート地「ペリカンヒル」をベースに行われたのには、どんな意味が内包されているのだろうか? 

今さらではあるが、高いレベルの「安全性、サステナビリティ、人間中心のテクノロジー」は、すべてのボルボ車に等しく備わっている個性だ。その上で2040年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにする目標を掲げ、その達成へ向け2030年までに世界販売の90~100%をBEV、そしてPHEV(プラグイン・ハイブリッド)にすると、新たな目標を掲げたボルボにとって、ブランド初のBEVである「EX90」は象徴的モデル。当然ながらフラッグシップSUVにふさわしいプレミアムな演出が必要となる。そのひとつがロサンゼルス国際空港から45分ほどにあるペリカンヒルだった。

ボルボ「EX90」のテストドライブの会場の画像
「ペリカンヒル」に特設された“The Volvo Landscape”では、最新のEVテクノロジーや、ボルボの安全性についてのレクチャーが行われた。

“クレバーさ”が醸し出す、ボルボ唯一無二の上質

高級リゾートホテルで穏やかに目覚め、朝食を済ませてからゆったりウエストコーストの美しい自然の中へと走り出していく。フリーウェイから市街地走行を抜け、山岳地のワインディングルートを経由してカリフォルニアを代表するワイナリー「Callaway Vineyard」へと向かう。そこで待ち受けていたのは爽やかな風の中で食す極上のランチ。

「Callaway Vineyard」の画像
「Callaway Vineyard」では、カーヴの中でテーブルセッティングされたランチを摂った。ノンアルコールながら、ワインの微香を感じながらのスペシャルなエクスペリエンスとなっていた。

帰路はコーストウェイ経由で、太平洋を左手に見ながらのシーサイドドライビングを堪能する。L.A.の豊かな自然環境の中、「EX90」とともに過ごす極上のリゾート時間が心をゆったりと解きほぐしてくれる。全長5mを超える巨体であっても、フロントとリアにそれぞれ配置された2モーター式の4輪駆動によって重量級のボディを軽々と取り回す。その動きはエレガンスの一言であり、ストレスをほとんど感じることがない。少々オーバーな表現になるかもしれないが、走っているのに疲労が取れていくという、不思議な感覚を味わうことになる。

ボルボ「EX90」のテストドライブの会場の画像
フェアウエル・ディナーも、ボルボのアップ・トゥ・デートなブランディングを感じさせる、スタイリッシュなギャラリーの屋上を借り切って行われた。

そんなボルボ独特の世界観に浸りながら、ここでまたひとつの疑問が浮かんでくる。ペリカンヒルに匹敵するリゾートなら全米には、いや世界を見渡せば他にもあるだろう? だが、「EX90」の成り立ちを見れば、この地でなければならない理由が見えてくる。

まずカリフォルニア州といえば全米の中でもゼロエミッション車(以下、ZEV)の普及に力を入れていることで知られている。たとえば州内で販売するすべての新車(乗用車、小型トラックなど)について、2035年までにZEVにすることを義務付ける知事令が発令されている。さらに中型・大型トラックについても、ガソリンや軽油を燃料とする車種の販売を2036年までに終了する方針を打ち出し、気候変動対策の大きな柱に据えている。現在でも「カリフォルニアで販売される乗用車の4台に1台がZEV」と言われている。

その地でボルボの象徴的BEVを世界からジャーナリストを呼んでテストすることは、気候変動対策に対する確固たる意志を示す上で、重要なことだと思う。そしてもう1点、このEX90は、米国サウスカロライナ州チャールストン郊外にある工場で生産された、アメリカ製のスエディッシュ・カーでもある。すでに2024年の6月から生産を開始し、デリバリーも始まっているという。こうした事実によって、アメリカのカリフォルニア州で試乗会が行われたのだろう。

プレミアムSUVで高級リゾートを走るだけ、などといった単純なロジックでは語れないボルボの試乗会。そこで表現されていたのは、これまで同様、“ボルボならではのクレバーなプレミアム感”ではないだろうか。パフォーマンスや押し出し感で他を威圧するのではなく、あくまでもソフトに優しくさり気なく“社会正義”を実践するのがボルボ流儀の上質さ。その先頭を走る「EX90」、日本導入が待たれる一台だ。

お問い合わせ先
ボルボ・カー・ジャパン
https://www.volvocars.com/jp/

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