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アートの街として近年話題の群馬県前橋市。「白井屋ホテル」は、アートの中に泊まれるというだけでなく、レストランで味わう食事にも注目が集まっている。自然豊かで、寒暖差の大きい土地で育てられた食材をふんだんに使い、同じく群馬育ちのスタッフが作り上げる“上州キュイジーヌ”を目当てに、冬の旅に出かけた。
近年、アートの街へと姿を変えている群馬県前橋市。市内中心部でその拠点のひとつとなっているのが、2020年12月にオープンした「白井屋ホテル」である。
「白井屋ホテル」の前身である「白井屋」は、その昔、芸術家や著名人たちに愛された老舗旅館。2008年に廃業し、取り壊しの危機にあったが、2014年から6年半におよぶ大改修、さらに、新棟を建て、「白井屋ホテル」として生まれ変わった。
全体のデザインと設計は、建築家の藤本壮介氏が手がけ、レアンドロ・エルリッヒをはじめとする国内外のクリエイターたちが参加している。アートの中に身を置いて過ごせ、宿泊もできることから、開業当初から大きな話題を呼び、今では幅広い層に支持されている。
建築とアートを愛でる滞在のもうひとつの愉しみは「白井屋 ザ・レストラン」での食事にある。
シェフの片山ひろさんが、フレンチの技法を使い、群馬の郷土料理のエッセンスを盛り込んで独自に再構築、新たな料理へと昇華させた“上州キュイジーヌ”。昼夜の寒暖差が大きい土地で育てられる、旨みの濃い野菜や、自然豊かな赤城山麓で時間をかけて育てられた赤城牛、味噌などの調味料まで、群馬の地の恵みを受けた上州食材をふんだんに使っているのが特長だ。
ディナーは季節替わりの10皿前後のコース。取材時のコースの中から、いくつかのメニューを紹介しよう。
コースの3皿目「OKIRIKOMI」は、幅広のうどんと野菜を煮込んで作る、群馬のソウルフードである「おっきりこみ」をリメイク。季節により、使う食材やプレゼンテーションが変わる。このひと皿、地元のゲストの方々とは「これが、おっきりこみ!?」と、話が盛り上がることも多いという。
取材時は、味噌風味のムースと3種(ネギ、唐辛子、昆布)のオイル、下仁田こんにゃくや根菜類が盛りつけられた器に、目の前で温かなコンソメが注がれる。とたんにオイルが浮き上がり、いい香りが漂った。
食事とともに、コースのひと皿ごと合わせるドリンクペアリングをオーダー。シャンパーニュからスタートし、ワインやオリジナルのカクテルなどを組み合わせたアルコールペアリングもよし、プレゼンテーションや香りなどに、ちょっとした驚きのあるノンアルコールのペアリングもよし。カップルなら両方をオーダーし、その違いを感じるのもいいだろう。
ソムリエの小島由光さんが多層的な味わいを作ることを意識して作り出すカクテルやノンアルコールのドリンクは、最初に味わった瞬間と、少し後では味や香りの印象が変わる。料理を食べた後に飲むと、口中で変化するという楽しみを秘めるものもある。
「OKIRIKOMI」に合わせるアルコールは、オリジナルの白井屋ジン、ジャスミン茶、ジャスミンのシロップの風味を加えたカクテル。ノンアルは、水出しの台湾茶・金萱芳香(きんせんほうか)。ジンの苦味が口の中をリセットし、繊細な香り漂う台湾茶は、旨味を感じながらも口の中をクリアにしてくれる。
そしてメインの「赤城牛」は、サーロインに藁の香りをほのかに纏わせたロースト。脂の甘さ、赤身の旨さが十分に引き出されている。キノコのソテーと、牛の出汁に生クリームを加えたキノコクリームソースとともに堪能。アルコールのペアリングは赤ワイン。ザクロの果実味、クランベリーの酸味、お茶由来のタンニンと複数のスパイスの複雑さがあいまったノンアルコールドリンクが印象に残った。
デザートの後は、味噌が香る癒しの小菓子「YAKIMANJU」。これまた、ゲストとの間で焼きまんじゅう談義が始まりそうな締めのひと口である。食後はオリジナルブレンドのハーブティーで。
片山シェフ、ソムリエの児島さん、さらにスタッフ全員が群馬県出身という、まさにメイドイン上州のレストラン。一度は群馬の外に出てさまざまに経験を積み、上州ならではの食文化や食材の豊かさに惹かれて戻ってきた面々が、オープンキッチンで料理を作り上げている。
カウンター席でスタッフとやり取りしながら、味わい深いディナーの時間が過ぎていった。
「白井屋ホテル」は、旧白井屋をリノベーションしたヘリテージタワーと、新築されたグリーンタワーの2棟で構成されている。そのどちらにも客室があり、全て異なる作家のアート作品を楽しむことができる。今回はヘリテージタワーの客室に宿泊した。
館内には、さまざまなアートが点在するが、ヘリテージタワーの吹き抜けの中央にある階段から上のエリアや、エレベーターの内側など宿泊者だけが鑑賞できるものもある。
シャンプーやスキンケアなどのバスアメニティは、群馬発のオーガニックスキンケアブランド「OSAJI」を採用。滞在中はあらゆるところで上州の息吹が感じられる。
「グリーンタワー」には個性の異なる3つの貸切サウナがあり、そのうち2か所はビジター利用できるが、寝そべって利用できる「ベッドルームサウナ」の利用は宿泊者限定のお楽しみ。1日4組限定なので宿泊を決めたら、合わせて予約したい。
好みのアロマを加えた水をセルフロウリュで。そして、木製のサウナ用オリジナルベッドに横たわり、足を延ばして、思う存分にととのう体験を。
翌朝は、オールデイダイニング「白井屋 ザ・ラウンジ」にて。吹き抜けの空間に、縦横無尽に走る、レアンドロ・エルリッヒのインスタレーション「ライティング・パイプ」を目にしながらの朝ごはんを。
モーニング「群馬の朝ごはん」(1名¥3,300)は、片山ひろシェフと、このラウンジの市川美香シェフの合作。群馬の豊かな食材を存分に楽しめる料理10品がワンプレートに。
「白井屋ホテル」で過ごすだけでもアートに浸れるが、アートの街・前橋を散策して帰ろう。「アーツ前橋」や「前橋ガレリア」といったアートスポットで、あるいは、昭和の面影の残る商店街の一角に、新たな出会いが待っているかもしれない。
※客室はスーペリアルームです。
■締め切り:2024年2月11日(日)23:59まで
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STAFF
Writer: Fukuko Hamada
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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