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神戸同様、幕末に開港して発展を遂げた港湾都市に横浜がある。関内(税関の外国人居留地側)には外国資本が積極的に進出して商館が並び、英国やフランスの領事館も設置された。関東大震災からの復興、第二次世界大戦後の米軍駐留を経て、首都圏随一の異国情緒漂う港町としての顔をもつ、大都市だ。
また、神戸が「神戸ポートアイランド博覧会」(1981年)で近代的な都市文化を創造したように、横浜も「横浜博覧会」(1989年)を口火に臨海エリアの開発を推進。「横浜みなとみらい21」では、歴史的な施設を都市計画に組み込みながら、今も開発が進む。この「横浜みなとみらい21」に2009年から本社機能を構える〝日産〟は、もともと、1933年の創業時から1968年まで横浜を本拠としていた。関内には開港時に整備された「馬車道」が残り、港では海外製自動車や部品が陸揚げされた歴史をもつこの町は、モビリティの可能性を追求する〝日産〟にふさわしい舞台だ。
持続可能な社会の確立に不可欠な、モビリティの進化の重要な鍵である電動化は、現在、世界中の自動車メーカーで開発が進められている。2010年に世界初の量産EV『リーフ』を発表した〝日産〟は、電動車の「これから」をさまざまな技術や方法で追求している。「e-POWER」搭載の『オーラ』もそのひとつであり、2020年には主に電気自動車や自動運転の推進を掲げた「ニッサン インテリジェント モビリティ」に基づく最新形、『アリア』を発表。
〝日産〟の電動車戦略はこれにとどまらず、2021年11月末に向こう10年の長期ビジョンを発表。移動の概念を一新する、魅力的な商品群を準備していることを明らかにした。まずは、『オーラ』、そしてまもなくデリバリーがはじまる『アリア』で、フューチャー・ラグジュアリーの本質に触れてみよう。行き先は、もちろん神戸。歴史と革新の都市文化が、私たちの進むべき未来に示唆を与えてくれるだろう。
電気自動車のラグジュアリーな乗り味を、スタイリッシュなデザインで表現した『アリア』。日本の伝統美に着想を得たというスタイリングは、ミニマルで飽きのこない美しさ。クーペスタイルのリアビューが、自動車を所有する喜びを静かに歌い上げる。
右/先行販売される「limited」の魅力的な標準装備のひとつが、やわらかな質感のナッパレザーを用いたシート。未来的感性を宿す室内にアナログな温もりをもたらす。
左/木目調パネルに浮かび上がるスイッチは、指の触覚に反応が伝わる。
主要諸元 | |
バッテリー容量 | 66kWh |
最高出力 | 160kW(218PS)/5,950〜13,000rpm |
最大トルク | 300Nm/0〜4,392rpm |
全長×全幅×全高 | 4,595×1,850×1,665㎜ |
車両重量 | 1,960kg |
車両本体価格 | ¥6,600,000 |
2021年11月、“日産”は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表。横浜の日産グローバル本社ギャラリーにおいて、新世代クロスオーバーコンセプト『Chill-Out』と共に、内田誠CEO(右)、アシュワニ グプタCOO(左)が登壇。「共に切り拓く モビリティとその先へ」をスローガンとして長期ビジョンを発表した。ライフスタイルの幅を広げる新型EVコンセプト(下の3モデル)でユーザーの選択肢を広げ、『アリア』で搭載した次世代の4WDシステム「e-4ORCE」や運転支援技術「プロパイロット」搭載モデルも増強。さらに電動車に不可欠な電池の研究にも力を入れ、V2X(クルマと家や建物、インフラなどとの接続や相互連携)の普及によって、持続可能な社会を目指す。未来を照らす“日産”の取り組みに期待しよう。
エモーショナルなドライビング体験を追求した『Nissan Max-Out』。格納式の座席により広い客室を確保することができるオープンカー。
低くフラットな荷台を備えた『Nissan Surf-Out』。高いオフロード性能と屋外での電力活用が行動範囲を広げる。
快適性を追求した広い室内をリビングルームのように使える、『Nissan Hang-Out』。ワーケーションの幅が広がりそうだ。
初出:2021年12月19日発行『AdvancedTime』10号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photos: Koichi Shinohara
Writer: Kaori Sakurai
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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