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いったん綻びを見つけると容赦なく蔑む世間。起死回生のはずが、全米で失笑された生放送での出来事でさらに傷ついたマライア。「All I Want for Christmas Is You」で始まった“自分を癒すため”の創作から、『Here For It All』へ。歌の力を信じ続け、再び自分を取り戻し、今、新たな黄金期を迎えつつある。ますます深みを増した歌声は、共に時代を生き抜いてきた大人たちへ、本物の癒しを与えてくれる。
本当の意味で聴く人を幸せにする曲を歌いたい。心からクリスマスを愛するマライア・キャリーが伝えたいこと/前編はこちらから
マライア・キャリーは、アルバム『Butterfly』(1997)を制作中に彼女が契約していたレコード会社のCEOでもある夫トミー・モトーラと別居し、発売後に離婚。束縛から解放されたと同時にポップスターでいられるための保証を失い、さらには主演映画『Glitter』(2001)の評判も興行もパッとしないという状況に陥り、精神的に不安定になってしまう。起死回生のプランとして、MTVの人気番組 「Total Request Live」に出演することにしたが、ここで最悪な事件が起きてしまう。
「“All I Want for Christmas Is You”をラヴソングとして書いたのは、みんなが共感しやすい形だから。でも本当の意味で聴く人を幸せにする曲にしたくて、特定の時代に縛られず、“時間を超えて響く歌”にしたかった」
「この曲を通して、まだ会ったことのない世界中の友人たちと祝祭を分かち合える。それが何より幸せなの」
「私がクリスマスを心から愛しているのは、それが“幸福”を象徴しているから。そして、みんなが一日だけでも仲良くできる日だと信じているから。私が伝えたいのは、“希望”があるということ。自分を信じれば、やりたいことはできるのよ」
「All I Want for Christmas Is You」で始まった“自分を癒すため”の創作は、『Butterfly』で“自由を得る力”に変わり、『The Emancipation of Mimi』で“再び立ち上がる力”として結実した。「過去を癒し、歌声によって生き直す」という、マライア・キャリーなりの哲学といえる。特にかつての孤独を癒すために作った曲が、今では世界中をつなぐ祝祭の象徴となった。人種も年齢も越えて、人々が一緒に歌うその瞬間に、マライアは“希望”を見ている。
デビューから30年以上経った今も、マライアを音楽の世界に駆り立てているのは、純粋に“音楽を作ることへの情熱”だ。そしてかつては短距離ランナーのようにヒット曲を次々と放っていたが、次第にじっくりと長距離ランナーのように名曲を放つようになった。シンガーであり、ソングライターであり、プロデューサーでもある彼女の芸術的な深みと音楽的な一貫性は、時間の経過とともにますます揺るぎないものになっていった。
傑作『The Emancipation of Mimi』の発売から20年、そしてレジデンシー公演も話題になり、アメリカでは“The Era of Mi”という「マライアの現在進行形」、もしくは「新たな黄金期」を祝福するワードが飛び交った。さらに最新アルバム『Here For It All』の1曲目「Mi」で自ら歌うように、マライアの勢いは止まらない。自身も「“私の時代”というのは、私が好きなことをやるということ。要するに“今この瞬間を自分のものにする”という意味よ」と語る。
「これは私の夢の仕事。ここに来るまで多くを乗り越えてきたの。こうして歌い続けられる――それが何より幸せなの」
ディーヴァ健在として、今後もマライアから目が離せない。

マライア・キャリー/Mariah Carey シンガー、ソングライター、プロデューサー、慈善活動家、起業家。1969年3月27日ニューヨーク州生まれ。史上最も売れた女性アーティストとされ、アルバムの総売上は2億枚超、全米チャートで19曲が第1位(うち18曲は自身が作詞)という記録を持つ。5オクターヴの声域と卓越したソングライティング、プロデュース力で、現代のポップ・ミュージックの象徴的存在。ソングライターの殿堂入りをはじめ、グラミー賞やアメリカン・ミュージック・アワードでの多数受賞、他にもギネス世界記録3冠など数々の栄誉を受けている。子ども達の支援に積極的で、学びの場として「キャンプ・マライア」を設立、Save the Music、Make-A-Wishをはじめとした慈善活動にも力を注ぐ。回顧録『The Meaning of Mariah Carey』(2020)は『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラー第1位に輝いた。
音楽ジャーナリスト・アメリカ文学研究
伊藤なつみ
デヴィッド・ボウイ、坂本龍一からマドンナ、ビョーク、宇多田ヒカル、ロバート・グラスパーなど、取材アーティスト数は数え切れないほど。『ユリイカ』2023年5月号に掲載の論考「ヒップホップ・フェミニズムの変遷」など、現在は黒人女性のエンパワーメントについても研究中。
STAFF
Music Journalist: Natsumi Itoh
Edit&Composition: Kyoko Seko
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