アイリッシュウイスキーと『アイリッシュ グラスフェッドビーフ&ラム』で、“エメラルドの島”の恵みを堪能する

芳しき“命の水”、ウイスキーの嗜みVol.10

アイリッシュウイスキーの起源は12世紀まで遡るといわれ、スコッチウイスキーより長い歴史を有するともいわれている。アイルランド島は北海道とほぼ同じ面積で、約85%が緑の牧草地に覆われ、“エメラルドの島”の愛称で親しまれている。肥沃な大地から生み出されるのは、アイリッシュウイスキーだけではない。新鮮な牧草を食べ、ストレス少なく育った『アイリッシュ グラスフェッドビーフ&ラム』は、赤身の質が高く、脂の風味が豊かで、アイリッシュウイスキーとの相性の良さを感じさせる。今回は、三者三様のアイリッシュウイスキーをご紹介。3月17日のセント・パトリックス・デーは、ウイスキーとお肉で、“エメラルドの島”の恵みを堪能してみてはいかがだろうか。

LIFESTYLE Mar 7,2025
アイリッシュウイスキーと『アイリッシュ グラスフェッドビーフ&ラム』で、“エメラルドの島”の恵みを堪能する

ポットスチルウイスキーならではの、ふくよかな味わい『レッドブレスト 12年』

レッドブレスト 12年と料理の画像
『レッドブレスト 12年』 700ml アルコール度数40% 希望小売価格6,413円(ペルノ・リカール・ジャパン株式会社) 『アイルランド・ビーフ Tボーンの炭火焼き』

大麦麦芽(モルト)のみを原料にしたシングルモルトウイスキーに対し、大麦麦芽(モルト)と未発芽大麦(バーレイ)を主原料としたポットスチルウイスキーは、アイリッシュウイスキー独自のカテゴリーだ。原料に、泥炭で燻した大麦麦芽(ピーテッドモルト)の使用は認められていず、穀物のフレーバーをダイレクトに感じられたり、オイリーなテクスチャーが特徴といわれている。

『レッドブレスト』は、1912年から続くポットスチルウイスキーのブランドで、現在は、アイルランド共和国の南東にあるミドルトン蒸留所で造られている。ブランド名は、ウイスキーをシェリー樽で熟成すると赤みを帯びることから、レッドブレストと呼ばれる胸の毛が赤いコマドリを由来としている。レッドブレストは、アイルランドの厳しい冬でもさえずり続ける、数少ない野鳥だ。

『レッドブレスト』の原料は、大麦麦芽と未発芽大麦のみ。緑豊かなアイルランド島の恵みを活かし、アイルランド共和国のマンスター地方で採れたものを使用している。スコッチのモルトウイスキーの多くは、ポットスチルで2回蒸留しているのに対し、『レッドブレスト』は3回蒸留しているのも特徴だ。

『レッドブレスト 12年』は、バーボン樽とオロロソシェリー樽で熟成したウイスキーをブレンドしている。香りはベリーのフルーティーさとモルティー感が印象的。ひとくち飲むと、甘酸っぱいレッドカラントのジャムを塗ったトーストを食べているかのよう。奥からクリーミーなバニラの甘さとジンジャーのようなスパイシーさも顔をのぞかせる。ポットスチルウイスキーならではの、ふくよかさを愉しめるウイスキーだ。

しっかりしたボディで飲みごたえがある『レッドブレスト 12年』には、『アイルランド・ビーフ Tボーンの炭火焼き』がピッタリ。『アイリッシュ グラスフェッドビーフ』が日本市場で解禁された2017年から採用しているという『ラ・ビスボッチャ』の井上裕基シェフは、「ビタミンとミネラル豊富な牧草を食べて育っているため、炭火焼きにすると、より旨味が伸びる」と言う。サーロインとフィレ、2種類の部位が向かい合う形でカットされており、サーロインのしっかりとした旨味と、フィレのコクを味わえる一皿だ。大麦と赤身肉、“エメラルドの島”が育んだ素材の旨味を感じて欲しい。

3回の蒸溜がもたらすシルキーなテクスチャー『ブッシュミルズシングルモルト 16年』

ブッシュミルズシングルモルト 16年と料理の画像
『ブッシュミルズシングルモルト 16年』 700ml アルコール度数40% 希望小売価格13,530円(アサヒビール株式会社) 『アイルランド産ラムの猟師風』 

銅製のポットスチル(蒸溜器)で2回蒸溜する製法が主流のスコッチのモルトウイスキーに対し、アイリッシュウイスキーは3回蒸溜にこだわっている蒸溜所が多い。北アイルランドの北端にあるブッシュミルズ蒸溜所もその1つで、ポットスチルで3回蒸溜することで生まれる、シルキーなテクスチャーをハウススタイルとしている。

ブッシュミルズ蒸溜所のある土地は、1608年には、公式に蒸溜免許が与えられていた記録がある。400年以上前から、ウイスキー造りに適した、清冽な仕込み水に恵まれた土地だったのだろう。蒸溜所から約3km北には、ユネスコ世界遺産にも登録されている『ジャイアンツコーズウェイ』がある。六角形の玄武岩が海岸線に立ち並ぶ、荘厳な風景だ。仕込み水は、玄武岩を通ったミネラル豊富な水質のブッシュ川の水源から引き込んでいる。ブッシュ川は蒸溜所名の由来にもなっており、“ブッシュミルズ”とは“林のなかの水車小屋”を意味する。

『ブッシュミルズ』のシングルモルトの原料は、全て地元で採れたノンピートの大麦麦芽。

小ぶりでありながらネックが細長いポットスチルで3回蒸溜することで、フルーティーなフレーバーは凝縮され、ネガティブなフレーバーは削ぎ落ち、なめらかでエレガントな酒質になるのだ。

『ブッシュミルズ シングルモルト 16年』は、バーボン樽とオロロソシェリー樽でそれぞれ熟成したものを50%ずつ用い、最後にポートワイン樽で半年ほど寝かせ、艶やかなテクスチャーをまとわせている。グラスに注ぐと、ピンクのラナンキュラスを思わせる華やかな甘い香りが立ちのぼる。ひとくち飲むとベリーのジャムのような弾力のある甘酸っぱさと、アーモンドミルクのようなクリーミーな甘さが広がる。そして、ミルクチョコレートのような心地良い余韻へとつながっていく。

合わせるのは、生後1年未満の子羊の骨付きロースを用いた『アイルランド産ラムの猟師風』。赤身は柔らかく、上品な旨み。脂身は、とろける柔らかさ!臭みは一切なく、ミルキーな甘みが溶けだす。「仕上げの白ワイン酢のソースと、『ブッシュミルズ シングルモルト 16年』のフルーティーな甘酸っぱさの相性が良いですね」と井上シェフ。ラム肉をエレガントに味わいたい、そんな気分の時におすすめのマリアージュだ。

アイリッシュウイスキーの歴史へのオマージュ。爽やかなスモーキーさを愉しむ『カネマラ』

カネマラの画像
『カネマラ』 700ml アルコール度数40% 希望小売価格5,588円(サントリー) 

アイリッシュウイスキー独自のカテゴリーであるポットスチルウイスキーが、原料に泥炭で燻した大麦麦芽の使用を認めていないのもあり、アイリッシュウイスキーにはスモーキータイプが少ない。しかし、18世紀末まで、スモーキーなアイリッシュウイスキーも親しまれていたといわれている。

アメリカのハーバード大学で、祖国のアイリッシュウイスキーの歴史研究をしていたジョン・ティーリング氏は、1989年、クーリー蒸溜所を稼動させた。そして、アイリッシュウイスキーの歴史に想いを馳せリリースしたのが、スモーキーなシングルモルト『カネマラ』なのだ。

ブランド名は、アイルランド共和国の南西にあるカネマラ国立公園から。入り組んだ海岸線や湖に囲まれた地形で、かつてはスモーキーフレーバーの元となる泥炭(ピート)の採掘地だった。

クーリー蒸溜所は、アイルランド共和国の北東、北アイルランドとの国境に近い街にある。仕込み水はクーリー山の伏流水である軟水。『カネマラ』は、14ppmという柔らかいスモーキーレベルの大麦麦芽を用い、2回蒸溜して造られている。

『カネマラ』をグラスに注ぐと、青リンゴのようなフレッシュな香りに包まれる。ひとくち飲むと、心地良いスモーキーさが広がり、バニラの甘い余韻へと続いていく。熟成はバーボン樽が100%。4年、6年、8年と熟成年数の違うシングルモルトをブレンドすることで、フレーバーが次々と展開していくのだ。ハイボールにすると爽やかなスモーキーさが強調され、雨上がりのアイルランド島の大地にいるかのよう…!

「アイルランド島の湿った土、そこに生い茂る緑を思い出します」と井上シェフ。2024年にアイルランド共和国を訪れ、広大な敷地で牛と羊が放牧されているのを視察してきたそうだ。

『ラ・ビスボッチャ』はメインダイニングにグリルがあり、創業当時から30年以上、ダイナミックな炭火焼きが人気のメニュー。世界中から炭火焼きに適した肉を探し求め、『アイリッシュ グラスフェッドビーフ&ラム』に辿り着いた。アイルランド島は夏でも暑すぎない気候で、通年を通しておいしい肉が手に入るのも魅力だという。味わいだけでなく、ホルモン剤や抗生物質が禁止されているなど持続可能な成育方法が採られており、感度の高いフーディーに人気の食材だ。

スモーキーな『カネマラ』も、炭火焼きの料理と相性抜群。200年以上前のアイリッシュウイスキーへのオマージュとして造られた『カネマラ』と、未来を見据えた持続可能な成育方法を取り入れた『アイリッシュ グラスフェッドビーフ&ラム』。一緒に味わうと、悠久の自然の恵みを享受できる幸せに包まれるだろう。

PROFILE
料理長 井上 裕基
料理長
井上 裕基

高校時代はラグビー部で活躍。辻調理師専門学校を卒業した後、辻調理イタリア料理技術所卒。2006年に『イル・ボッカローネ』でキャリアをスタートし、2013年から『ラ・ビスボッチャ』の料理長を務める。アイルランドの食材を積極的に活用し、2024年に設立された『Chefs’ Irish Beef Club Japan』の会長に任命。『Chefs’ Irish Beef Club』は、ミシュランスターシェフを含む約80名のシェフが集い、アイリッシュ グラスフェッドビーフの美味しさと品質を啓蒙するクラブで、2004年からヨーロッパで活動している。
※『ラ・ビスボッチャ』提供写真


ラ・ビスボッチャ

ラ・ビスボッチャの画像

広尾の老舗イタリアンレストラン。緑が生い茂るエントランスが印象的。井上シェフ自らが手入れをしているという。100席を超える店内は活気があり、アットホームな雰囲気。3月10日から4月30日まで『アイルランド ビーフ&ラム』のキャンペーンを開催。希少な産地のものも揃う。
※『ラ・ビスボッチャ』提供写真

東京都渋谷区恵比寿2-36-13 広尾 MTRビル1F
レストラン営業時間:月曜日~土曜日 17:30~23:00(L.O.21:30)、祝日 17:30~21:30(L.O.20:00)
定休日:日曜日
料金:チャージ 1,800円/1人、アラカルト形式
03-3449-1470
https://labisboccia.tokyo/

ウォーターフォード

リズモア ダブル オールドファッショングラスの画像

1783年にアイルランド島の南東の都市・ウォーターフォードで誕生したクリスタルブランド『ウォーターフォード』。透明度の高いクリスタルはヨーロッパの社交界を魅了し、英国王室と縁のあるウェストミンスター寺院のシャンデリアにも採用されている。『リズモア ダブル オールドファッショングラス』は、アイルランド共和国にあるリズモア城にちなんだネーミング。大ぶりのグラスで、カットのきらめきを存分に愉しめる。『ウォーターフォード』は、2025年、日本に再上陸予定。参考商品。

フィスカースジャパン株式会社
0120-973-826
https://www.waterford.jp/

お問い合わせ先
ペルノ・リカール・ジャパン株式会社
03-5802-2756 
https://www.pernod-ricard-japan.com/sp/brands/domestic/whisky/redbreast/
アサヒビール株式会社
0570-00-5112
https://www.asahibeer.co.jp/enjoy/liquorworld/brand/bushmills/
サントリーお客様センター
0120-139-310
https://www.suntory.co.jp/whisky/irish/connemara/

●掲載商品の価格はすべて、税込み価格です。

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