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情感たっぷりのウォッチメイキングで、「ポエティック コンプリケーション」という独自の世界観を確立しているヴァン クリーフ&アーペル。職人技で生命を吹き込んだタイムピースに迫る。
ジュエラーとしての美意識と緻密な宝飾技術によって、創造性豊かな時計を発表してきたヴァン クリーフ&アーペル。コアコンセプトである「ポエトリー オブ タイム(詩情が紡ぎだす時)」を掲げ、毎年コンプリケーションウォッチに注目が集まるが、今年はその卓越した表現力を支えるメゾンのメティエダールが主役だ。
メティエダールとは芸術的な手作業を意味し、フランスの「リビング ヘリテージ カンパニー(無形文化財企業)」ラベルが与えられているヴァン クリーフ&アーペルにとって、クリエーションの源泉。ストーンセッティングなどジュエリーの技術を用いながら、エナメル、エングレービング、マルケトリ、ミニアチュール ペインティングといった多彩な専門の職人技の分野を揃える。そうした技術の集積が芸術的な表現力を高め、小さな文字盤上で詩的な物語を紡ぎ出すのだ。とりわけエナメル技法は様々な種類を使い分け、曲面を立体的に仕上げる「ファソネ エナメル」という新技術に注目だ。間近で見るとその繊細な造形に圧倒される。文字盤はまさしくメティエダールの絢爛たる舞台となっている。
文字盤に24時間で一周する回転ディスクを備えて天体の動きを表現。ダイヤモンドの星をあしらったアベンチュリンガラス製のディスクには月と太陽を向かい合わせに配置。文字盤の下半分のマザーオブパールの縁を地平線に見立てた。
左/太陽にはイエローサファイア、月と星にはダイヤモンドを敷き詰めた。
右/アベンチュリンガラス文字盤は原料を加熱するところから始まる。 イタリア・ムラーノ島、いわゆるベネチアンガラスの技法が用いられる。
朝日の下でフェアリーが花を摘む生き生きとした情景。3色のターコイズを組み合わせた空はマルケトリ技法、貴石で表現された太陽とリフティッドセッティングで固定された光線、植物は多彩なエナメル技法で表現された。
左/プリカジュール エナメルにメタルパーツを使わずにセットするセッティング イン エナメルという技法。
右/新技法のファソネ エナメルで立体的に仕上げ、イエローサファイアをセッティングした花。
●掲載商品の価格はすべて、税込み価格です。
初出:2024年6月29日発行『AdvancedTime』22号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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