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カルティエが日本に最初のブティックを開いてから50年を記念し開催した本展。左右対称の構造をなす表慶館を舞台に、メゾンと日本文化を結ぶさまざまなストーリーを通して、カルティエと日本美術、そしてカルティエ現代美術財団と日本のアーティストという2つの絆を紐解く展覧会、カルティエと日本の半世紀のあゆみ「結 MUSUBI」展─美と芸術をめぐる対話。東京国立博物館 表慶館で開催中です。
カルティエが日本に最初のブティックを開いてから50年を記念し開催した本展。左右対称の構造をなす表慶館を舞台に、メゾンと日本文化を結ぶさまざまなストーリーを通して、カルティエと日本美術、そしてカルティエ現代美術財団と日本のアーティストという2つの絆を紐解く展覧会、カルティエと日本の半世紀のあゆみ「結 MUSUBI」展─美と芸術をめぐる対話。東京国立博物館 表慶館にて、7月28日まで開催中です。
展覧会のタイトルにもなっている「結び」という言葉のルーツは、日本神話に出てくる「産霊」(ムスヒ・ムスビ)といわれ、「ムス(産)」には“生み出す”、「ヒ(霊)」には、“神霊の神秘的な働き”という意味があり、ムスヒ(産霊)とか「結びつくことによって神霊のちからが生み出される」ことだと解釈されています。
美へのまなざしを共有する日本とカルティエは、これまで1世紀半にわたってさまざまな物語を紡いできました。表慶館右側では、「カルティエ コレクション」(メゾンのヘリテージコレクション、1983年創設)の作品やアーカイヴ資料、現代アーティストの作品など、170点を超える展示品を通して、長きにわたる対話に光を当てた展示内容となっています。
部屋ごとにテーマを設け、作品を見進めていくことでカルティエと日本との軌跡を辿ります。
日本におけるメゾンの最初のブティックが、東京・原宿のパレ・フランスにオープンしたのは1974年ですが、カルティエと日本の対話の始まりはそれよりさらに1世紀近く前にさかのぼります。
1989年から父とともにメゾンの事業経営に参画したルイ・カルティエは、教養と好奇心旺盛で、美術愛好家でありコレクターでした。彼が収集した200点以上の品々からなる日本美術コレクションは、特に思い入れの深いものとなっています。
例えば、手鏡の形からインスピレーションを得た置き時計、神社の建築を想起させる素晴らしいミステリークロック、印籠を着想源とする貴重なヴァニティケースなど、デザイナーにより自由な再解釈が加えられた結果、これまでに多くのメゾンのクリエイションとして発表されています。
そうしてカルティエ スタイルの基本要素となった日本文化の魅力は、20世紀前半のメゾンのクリエイションに顕著に登場した漆などの素材や職人技の選択にも反映されています。中でも彼らに最もインスピレーションを与えたのは、おそらく型紙のモチーフで、20世紀初頭から今日に至るまで、その波模様や鱗模様はブローチやコームに、最近では2024年に制作された腕時計に施されています。
カルティエのフォルムの文法は、日本の美学に負うところが大きく、自然界をモチーフにした図像学のレパートリーとして発展してきました。動植物は、20世紀初頭から今日に至るまでカルティエの主なインスピレーション源となっています。
これまでに5回の展覧会を日本で開催してきたカルティエ。それまでに展示された杉本博司氏、吉岡徳仁氏といったアーティスト制作された作品から、パティアラのマハラジャが所有していた有名なネックレスや、ウィンザー公爵夫人の所有していた「パンテール」のブローチ、モナコのグレース王妃のエンゲージリングなど、「カルティエ コレクション」の貴重がアーカイヴピースを見ることができます。
そして表慶館左側に位置する本展の第二部では、カルティエ現代美術財団と日本人アーティストによる貴重な作品が展示されています。1984年の設立以来、才能あふれる日本人アーティストの発掘や再発見のパイオニアとして開拓し、ヨーロッパの顧客に作品を紹介してきました。ここでは、絵画や写真、建築、映像、デザインにまで、創設から40年の間に招聘された多岐にわたる日本人アーティストの作品が並び、日本との関係の深さが伺えます。
カルティエ財団が長年にわたってコラボレーションを続けてきた日本人アーティストたちを横尾忠則氏が描いたポートレートシリーズ。
北野武氏による、子供時代の世界を再訪する絵画や巨大インスタレーションの多作シリーズ。
この他には、杉本博司氏の数理模型シリーズ、森山大道氏や川内倫子氏のスライドショー、松井えり菜氏のペインティング、束芋氏の映像インスタレーション、三宅一生氏のドレス、荒木経惟氏の写真など、日本で初見の作品も含め数多くの作品が展示されています。
本会場の中心に展示されているのは、この2つのパートを結ぶ形で紹介された澁谷翔氏による「日本五十空景」のインスタレーション。カルティエ ジャパン50周年を記念するために依頼されたもので、35日間にわたって日本全国を旅し、絵画50点の連作を制作。歌川広重と『東海道五十三次之内』にオマージュを捧げるという長年の夢を実現しました。この作品は日本各地の地元新聞の一面に空の景色を描いたもので、時間の移ろいを表現しています。カルティエと日本のつながりの過去、現在、未来を融合する本展を象徴する展示となっています。
STAFF
Writer: Ikuko Dobashi
Edit: Kyoko Seko
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