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2024年の干支は「辰(竜・龍)」。時計では竜をモチーフとしたドラゴンデザインが年明けから続々と発表されている。十二支モチーフの時計の中では、近年稀に見る豊作だ。迫力のある文字盤デザインと、運気をアップしてくれるドラゴンモチーフの干支ウォッチを見ていこう。
正月は縁起の良いことをなにかとやりたがるもので、近所の神社へ初詣に行った翌日に今年の干支にちなんだ山梨百名山である竜ヶ岳(1485m)に登った。全国に竜・龍の文字が入った山はいくつがあるが、龍神伝説のある本栖湖が登山口で、山頂から目の前に富士山が望める竜ヶ岳は辰年の登り初めにはふさわしいに違いない。千円札の裏側に描かれる「逆さ富士」の図案でもお馴染みで、富士山の右手にある山が竜ヶ岳だ。2024年の干支である竜の付く山を登ることで運気を上げ、金運までアップさせようというわけだ。
運気アップのために登山はいささかやりすぎかもしれないが、起源である中国では縁起ものとして日用品に干支を取り入れることが伝統文化として根付いている。春節近くなると十二支をモチーフとした装飾品や日用品が大量に販売され、「干支経済」が生み出されるという。日用品ではないが、高級時計の世界でも干支ウォッチは季節の便りとなっている。
近年はアジア市場の存在感の高まりを受けて、新年を迎えるとその年の干支をモチーフとしたゾディアックウォッチ(干支時計)を見かける機会が増えてきた。その中でも2024年の干支である竜・龍をモチーフにした時計は、例年になく多くのブランドから発表が相次いでいる。ドラゴンは古来より中国で権力の象徴とされて縁起が良く、十二支の動物の中で唯一の架空の生き物でもある。迫力のあるビジュアルであることもあり、腕時計の絶好のモチーフとなったようだ。
辰(竜)は、中国では9つの動物からなる空想上の生き物。角は鹿、身体は蛇、腹は蛤、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛で、長い髭を生やしている。その存在は権勢、高貴、栄誉を表し、幸運と成功をもたらすとされている。また皇帝のシンボルとなっていて、竜顔は帝王の顔、竜衣は帝王の衣服、竜影は帝王の姿といった表現が数多くあり、“最上級”という意味で竜が用いられている。腕時計でいうと、リュウズは“竜頭”と表記するので意外と縁も深い。
時計としては、ドラゴンの図案がハイライトとなるため、工芸的なモデルが多いのが特徴だ。鱗のひとつひとつを彫って立体的に表現した竜から、自動巻きローターを竜にあしらったモデルまで、芸術性の高い表情が豊かなモデルが揃う。顔立ちはいわゆる西洋的なドラゴンでなく、髭を生やした東洋的な竜が多いのも干支ウォッチらしい。メカニズムは竜の存在感にふさわしく、オートマタやトゥールビヨンなどの搭載するモデルもある。そんな2024年の運気をアップさせてくるドラゴンがモチーフになった干支時計を見ていこう。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』と『ホビット』三部作でイラストレーター兼コンセプトアーティストを担当したジョン・ハウとコラボレーションしたドラゴンモチーフウォッチ。もともと2022年に西洋のドラゴンをモチーフとして干支とは関係なく発表されたものだが、今作は干支ウォッチとして髭を蓄えた東洋の竜にアレンジした。背景は竜を象徴する炎を表した赤いキュプライトに雨雲をあしらって雰囲気たっぷりに仕上げた。このドラゴンは10秒から15秒間の間にオートマタ機構によって9つのパーツが動くのが最大の特徴だ。波打つ背と尻尾、開閉する目と顎、前後に動く舌、回転する球体を掴む爪など各パーツが精妙に動き、神秘的な存在感を放つ。受注生産モデルなので、ケース素材、ミドルケースの彫刻などカスタムが可能で、球体のレッドジャスパーも好みの天然石を選ぶことができる。自動巻き。18Kレッドゴールドケース。ケース径43㎜。
干支ウォッチを毎年発表しているショパールは、2013年の「巳年」から始まり、2024年の辰年で十二支すべてをコンプリートした。これらのタイムピースは100年の歴史を誇る日本の山田平安堂で熟練漆職人の小泉三教氏によって製作されたもの。ドラゴンは蒔絵技法で躍動感あふれる表情で描かれ、ブラックの背景には金粉を蒔くことでドラマティックなデザインに仕上げられている。ムーブメントはマイクロローターを採用した自社製を搭載し、腕にフィットする薄型ケースは極上のドレスウォッチとなった。二重になった香箱を積載し、65時間のパワーリザーブを確保する。88本限定。自動巻き。18Kエシカルローズゴールドケース。ケース径39.5㎜。
ユリス・ナルダンも干支ウォッチの常連ブランド。前回の辰年にはブランドが擁する名工房ドンツェ・カドランで、シャンルベとパイヨンという2つのエナメル技法でドラゴンを表現した。今回はゴールドの手彫りをし、赤、オレンジ、イエローのグラデーションでペイントした技術力と芸術性の高いドラゴンを文字盤に配置。ブラスト トゥールビヨンの特徴である“X”の構造に手を掛けたり、巻きついたりと豊かな表現力で仕上げた。ドラゴンの目線の先ある玉には真珠がセットされ、その下にはフライングトゥールビヨンが備わっている。12時位置に配置されたプラチナ製マイクロローターは約3日間のパワーリザーブを実現。ユリス・ナルダンが得意とする先進的なシリコン加工技術がムーブメントのパーツに採用されているので、耐磁性能にも優れ、実用性も高い。自動巻き。18Kローズゴールドケース。ケース径45㎜。
スケルトン文字盤にすることで、空を飛んでいるかのようにドラゴンを表現したロジェ・デュブイ。顔立ちをモダンなスタイルに仕上げたドラゴンは、27のピンクゴールドフィニッシュのパーツを組み合わせて、文字盤いっぱいに躍動感を表現。それぞれのパーツの表面はピンクゴールドでコーティングしてからポリッシュ仕上げを施し、側面は艶やかなブラックラッカーを施して立体感を演出した。7時位置にはブリッジが見えないフライングトゥールビヨンを備えるが、東洋の竜は中空を飛行して雨や雲を起こすという伝説を思わせる渦(トゥールビヨン)を備えてストーリー性のあるデザインに仕上がっている。トゥールビヨンを備えたムーブメントは権威ある認証であるジュネーブシールを取得している。パワーリザーブは72時間を誇る。28本限定。手巻き。18Kピンクゴールドケース。ケース径42㎜。
十二支からなる干支ウォッチをコンプリートさせ、2度目の辰年を迎えるブランパン。中国の伝統的な暦とグレゴリオ暦を組み合わせた複雑なカレンダーウォッチの新しい辰年バージョン。3時位置に十干と五行の表示、12時位置に2時間ごと進む時辰表示と今年の干支であるドラゴンの小窓、9時位置には伝統的な太陰暦の月と日付の表示と閏月の小窓を備え、文字盤外周にはグレゴリオ暦に基づく日付が表示される。文字盤はブランド初のグリーンエナメルを採用し、重厚さを演出。レッドゴールド製ローターにはドラゴンのエングレービングと一粒のレッドルビーが配され、2024年の六十干支を示す「甲辰」が刻まれる。世界限定50本。自動巻き。18Kレッドゴールドケース。ケース径45.2㎜。
月夜に黄金の竜が飛翔する様子を表現した干支ウォッチ。月、竜、雲と多層構造に仕上げた文字盤は、竜の存在感を際立たせ、躍動感を与えている。厚さ8mmのサファイアクリスタルを採用したドーム型風防は、レンズのような役割を果たし、見る角度によって竜が拡大・縮小し、浮かび上がってくるかのような視覚効果をもたらす。リアルな月面を表現した月には、マザー・オブ・パールを採用。世界限定88本。自動巻き。ステンレススティールケース。ケース径47㎜。
IWCのフラッグシップモデルであるポルトギーゼ・クロノグラフからの干支バージョン。文字盤は中国の伝統色であり、幸運と長寿を象徴するバーガンディカラーを採用。時分針やアップライトインデックスなどのディテールをゴールドで統一し、運気がアップするようなデザインに仕上げた。シースルーのケースバックには、ドラゴンを描いた金メッキローターを備え、玉に見立てたローター芯を掴み取ろうとするドラゴンの表情が見どころだ。ストラップはブラックのカーフスキンに加え、文字盤からと同じバーガンディのラバーストラップを付属する。1000本。自動巻き。ステンレススティールケース。ケース径41㎜。
リビエラ ボーマティック ムーンフェイズ デイトをアレンジしたボーム&メルシエの干支ウォッチ。ムーンフェイズ部分に、中国の伝統色であるレッドを配し、ドラゴンを描いた。ムーンを東洋のドラゴンが抱く玉に見立てて、5本爪で掴んだ情景を表現。デイト表示にはドラコンの髭をイメージしたサーペント針を採用する。シースルーのケースバックには迫力のあるゴールドドラゴンがプリントされる。そのドラゴンモチーフの下には120時間のパワーリザーブを誇る自社製自動巻きのボーマティックムーブメントの動きを見ることができる。世界限定150本。自動巻き。ステンレススティールケース。ケース径43㎜。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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