元Apple社の重役が残りの人生をかけた和食に合う赤ワイン

「ザンダー・ソーレン・ワインズ」×「鮨門わき」

近年、欧米でもヘルシーな和食が流行り、それに合わせるワインも従来とは傾向が変わってきた。日本でも人気の赤ワイン用葡萄品種、ピノ・ノワールは、アメリカでも栽培されているが、今年、注目に値するエレガントなピノ・ノワールが日本に上陸した。鮨など日本料理に合う、新時代のカリフォルニアワインとは?

LIFESTYLE Dec 6,2023
元Apple社の重役が残りの人生をかけた和食に合う赤ワイン

子どもの頃から大の日本好きだったというザンダー・ソーレン氏。20年間、米国Apple社の重役として勤務する間に、何度となく日本を訪れ、日本の文化に造詣を深めてきた。その流れで敬愛する日本料理に合うエレガントなカリフォルニアの赤ワインを作りたいという想いが膨らむ。それを形にすべく、10年に渡って開発を続け、この春、遂にピノ・ノワール種を使ったワインがお披露目を果たした。11月には第二弾として、手に取りやすいセカンドラインも登場。いずれも日本以外では2024年まで発売されないというレアなアイテム。

この注目すべきワインを店のリストにいち早く載せているのが、銀座にある「鮨門わき」だ。渡米経験もあるベテランのご主人、門脇賢寿さんの作るつまみや、仕事を施した江戸前握りと共に、ザンダー氏が自らのワインとのペアリングを試した。

今回発表された「XANDER(ザンダー)(写真右)。エチケットにあるマークは家紋をイメージ。ザンダー(Xander)氏のXやフラセラという花、そしてザンダー氏の並々ならぬ音楽への情熱、日本の神社仏閣の屋根を表しているという。

「カリフォルニアの赤ワインといえば、力強くフルーティーなワインを思い浮かべる人も多いでしょう。でも、日本料理の繊細な味にしっくり寄り添えるのは、もっとエレガントな味だと思いました」とザンダー氏。

ブルゴーニュの赤ワイン用品種として有名なピノ・ノワールは、和食の中にある“旨み”の要素との相性がいいと言われ、美しい酸を持つ。フレンチオーク由来の繊細なニュアンスを備えながら、アルコールのボリュームを控えて造られたのが、ザンダー・ソーレン・ワインズだ。

備長炭で焼いた大きなナメコ。蒸した黒鮑とその肝のソースは、最後にご飯を入れてリゾット状にして食べる。みじん切りにした鱈の白子にはたっぷりと蟹肉を入れてカラスミをかける。
渡米経験もある門脇さんは英語も堪能。料理についての細かなところまでザンダー氏との会話が弾む。

早速、「鮨 門わき」のご主人、門脇賢寿さんがつまみをこしらえていく。炭火で焼いた巨大なナメコからは香ばしい醤油の香り。柔らかな蒸し鮑には肝のソースが添えられる。

「キノコとピノ・ノワールは最高の組み合わせ。香ばしい醤油がさらに相性を良くする。肝ソースからはほんのり柚子の香りがします。柑橘の香りとワインのベリーの香りが合わさると、相乗効果でそれぞれがおいしくなりますね。肝のビターな味と、ワインに潜んだアニスやリコリスの香りも合うね」とザンダー氏。

「カニクリームコロッケをイメージして作った」と門脇さんが言う、刻んだ鱈の白子と蟹肉、カラスミを合わせたひと皿には、ザンダー氏も驚き目を丸くする。

「白子は冬の日本でよく食べるけれど、こんな食べ方は初めて! 普段は日本酒を合わせるけれど、このワインの持つ酸がまろやかな白子の味に寄り添うね。大事に、ちびちび食べたい」

ザンダー氏は門脇さんと顔を見合わせて微笑んだ。

この日、門脇さんがワインに合わせて用意した握り鮨は3種。包丁を入れて醤油をなじませたイワシは、煮切り醤油を弾くほど脂がのっている。マグロの赤身の漬けは、「軽やか」とザンダー氏が評した。そして、熱した備長炭を押し当てて炙った大トロ。
店では炭火が大活躍。野菜やキノコを焼いたり、熱した備長炭を大トロに押し当てたりして、香りを楽しませ味に凝縮感を出す。それが赤ワインに合う要素となる。

続いて握りだ。最初はイワシ。

「光り物にこんなに自分のワインが合うなんて」と驚くザンダー氏に、「しっかり締めて寝かせることで、旨みを引き出しているからだと思います。生のままだと合わないです」と門脇さんがその理由を解き明かす。

マグロの赤身の漬けの伝統的な味わいは、このピノ・ノワールとボリュームのバランスが同じで、実にしっくり来るというザンダー氏。すると門脇さんは、「大トロもどうぞ。うちでは備長炭を押し当てて炙りにするので、ワインの樽の香りと共通すると思います」と薦める。「鮨 門わき」では羽釜を使って米を炊いていて、輪郭のはっきりしたハリのある酢飯にマグロが食い込んでいく握りは完成度が高い。ザンダー氏は大トロを口にして、自らのワインと和食とのさらなる可能性に目を輝かせた。

ザンダー・ソーレン・ワインズと和食。一度は試してみたい組み合わせである。

ザンダー・ソーレン氏。
門脇賢寿さん。

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■締め切り:2024年1月7日(日)23:59まで

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お問い合わせ先
鮨 門わき
住所
東京都中央区銀座7-4-6 CAN銀座7ビルディング6階
電話番号
050-5385-4750
営業時間
17時~22時(閉店)
定休日
日・祝
おまかせコース33,000円~、おまかせ握りコース25,000円~
いずれも(税込、サービス料10%別)
https://sushi-kadowaki.jp

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