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約200年前にシャンパーニュ地方で創設された「ボランジェ」。世界的なメゾンたる所以がそこにはあった。
日本のジェントルマンにとって、老舗メゾン「ボランジェ」のシャンパーニュの原風景は、「007」シリーズではないだろうか。1973年公開の『Live And Let Die』から、ジェームズ・ボンドの愛するシャンパーニュとしてスクリーンを飾り、現在も紳士のシャンパーニュたる威光は不変だ。オーク樽に寝かせる一次発酵やカーヴでの長期熟成といった伝統製法によって培われた高い品質により、1884年から途切れることなく英国王室御用達(ロイヤル・ワラント)の栄誉を与えられている。
「ボランジェ」の歴史は古く、創業者であるジャック・ボランジェによって、1829年、ピノ・ノワールの聖地といわれるシャンパーニュ地方のアイ村で創設された。
3代目当主のジャック・ボランジェが第二世界大戦中に他界すると、未亡人となった妻のエリザベス・“リリー”ボランジェはメゾンを守るため良質なブドウ畑を購入し、占領時代を懸命の努力のよって乗り越える。1951年にはニューヨークへと赴き、シャンパンの試飲会を開催しながらシャンパーニュ地方の魅力と味の良さを伝えるなど、大胆かつポジティブに活動を重ね、ボランジェを世界的なメゾンへと成長させた。
1967年、当時は熟成させたシャンパーニュを飲む習慣はなかったが、マダム・ボランジェの大胆な発想と完璧主義により、1952年のヴィンテージボトルを使い、出荷直前に、アロマを発達させるために澱を取り除くデゴルジュマンを行うことで、非常に低いドザージュ(1リットルあたりわずか3グラム)を使用するエクストラ・ブリュットとしてリリース。ブドウの自然な酸味によるフレッシュ感、エクストラ・ブリュットのドサージュに加え、優れたヴィンテージによる複雑なブーケとのコントラストをもたらし、まったく新しいテイスティングエクスペリエンスを生み出すことに成功した。
このヴィンテージ・シャンパーニは、「ごく最近デゴルジュマン(澱抜き)した」ボトルを意味する“Récemment Dégorgé(レサマン・デゴルジェ)” にちなみ「ボランジェR.D.」と命名。ラベルにはシャンパーニュ史上初となるデゴルジュマンされた日付が明記されている。ボランジェスタイルとして語られるだけではなく、シャンパーニュのカテゴリーとしても確立された。
「ボランジェ R.D.2008」は18のクリュで収穫されたぶどうがブレンドされ、アセンブリは、ピノ・ノワール71%、シャルドネ29%。長期に渡る瓶内熟成を経たR.D.2008は、リッチできめ細かい泡、ミラベルやマンゴーメロン、柑橘、ヘーゼルナッツ、蜂蜜などの複雑なブーケと味わいを持ち、長いフィニッシュへと導く。さらに原産地呼称法の定める2~3倍以上の贅沢な時間を費やすことで、極上のアロマを放ち続けている。発酵はすべてオーク樽で行われるなど、50年を経た現在もマダム・ボランジェによって構築された製法が継承されている。
国内での「ボランジェ R.D.2008」のお披露目に参加。食を楽しみながら、極めて新鮮なその味わいを体験した。今回のセパージュは先述のピノ・ノワール71%、シャルドネ29%でクリュは18。2008年豊作であったピノ・ノワールはアイとヴェルズネイ産が、シャルドネはル・メニル・シュール・オジェとクラマン産がメインであり、すべて樽発酵された一番搾りのみが用いられている。
躍動感のある味わいと、特徴であるという新鮮なヘーゼルナッツと塩分の香りが長い余韻へと誘う。複雑な構成と華やかで鮮烈な味は男性的といえるだろうか。かつてR.D.2004を体験したが、その時とは異なるヴィンテージなテイストを実感できた。さまざまな料理の味を引き立てることはいうまでもない。
名門を守り抜いたマダム・ボランジェのこだわりと慧眼に、そしてジェームズ・ボンドにいま一度感謝をしたくなる。
STAFF
Writer: Masahiro Ando
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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