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さまざまな物語において、探偵または刑事の装いとして描かれたトレンチコート。着続けて、持ち主の身体や生活に馴染むことで、魅力は倍加する。そのトレンチコートづくりを長年にわたり続けてきた三陽商会。生地から縫製までメイド・イン・ジャパンの品質にこだわった「100年コート」は、まさに一生ものといえる存在感だ。
トレンチコートといえば、老若男女問わず、スタンダードなアイテムとしてよく知られた存在。もとは第一次世界大戦時の英国軍における軍服であり、塹壕(=トレンチ)戦で効果を発揮したことからその名がつけられた。そしてその認知度は、映画や小説などで登場人物が着用したことで一気に広がった。例えば『カサブランカ』ほかの出演作における、ハンフリー・ボガートのトレンチコート姿は、彼のパブリックイメージになった。特に映画『三つ数えろ』における、フィリップ・マーロウ役でのヨレヨレのトレンチコートは、探偵のアウトフィットとして、その後のミステリーの主人公たちに引き継がれていく。本紙の読者ならばよくご存じだろう。
ちなみに女性のトレンチコートの装いにおいても、映画は大きな役割を果たしてきた。例えば『シャレード』のオードリー・ヘプバーン、『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴ、『クレイマー、クレイマー』のメリル・ストリープ。いずれも劇中でトレンチコート姿を披露し、作品にとって重要なイメージとなっている。
そんなトレンチコートを、長年追求してきた三陽商会。同社のコートブランド“サンヨーコート”は70年を超える歴史を持ち、その高い品質で広く知られてきた。さらに2013年からは「100年愛されるものを」というミッションのもと、「100年コート」プロジェクトがスタート。中でも「極 KIWAMI」 は、アメリカの契約農場で育てられたオーガニックコットンを太く紡績した生地「アルティメイトピマ」を使い、世界的にも珍しいコート専業工場であるサンヨーソーイング 青森ファクトリーにて、熟練職人による手作業も交えた形でつくられている最上級モデルである。
トレンチコートを、あたかも第二の皮膚のように着こなした劇中のスターたち。私たちがその存在感に少しでも近づくためには、着る経験を重ねる時間が必要。そしてそのためには、エイジングに耐えうる強さが不可欠だ。細部までこだわり抜いた「100年コート」にはその品質が備わっている。いつかあの探偵のように、自分そのものといえる一着に到達するべく、この「100年コート 極KIWAMI」を選ぶのはいかがだろうか。
2013年に誕生した「100年コート」をモディファイした「100年コート 極KIWAMI」。アメリカ産オーガニックコットンを使った生地「アルティメイトピマ」を採用。「100年コート」のクラシックモデルの型紙を再考し、長めの丈でゆとりあるAラインのシルエットになっている。美しいドレープの一枚袖、職人の手仕事が実現する襟周りの曲線など、服づくりの高度な技術が反映されている。
「100年コート 極KIWAMI」のウィメンズモデル。Aラインのシルエットと長めの着丈が、クラシックでエレガントな雰囲気。メンズモデルと比べて、袖の位置やベルト位置が高めに設定され、よりスマートな印象に。
「100年コート 極」の各ディテール。上段左より、「根巻き」という方法で職人が手付けした本水牛の角を使ったボタン。チンストラップは襟裏にボタン&バックルで固定される独特なスタイル。ベルト部にはミリタリー由来の「Dリング」が配されている。下段左より、オーガニックコットンを太く紡績した糸を使った「アルティメイトピマ」のニュアンスある風合い。着脱可能なライニングの背中部分には青森産のダウンが配されている。裏地のチェック柄には歌舞伎の衣装に使われている「翁格子」を元にしたオリジナルの「三陽格子」を採用している。
江戸時代の着物のように、修理や手入れをしながらモノを長く使う文化を継承することを目指す「100年オーナープラン」。オンライン登録することで、メンテナンスサポートを受けたり、さまざまな相談をすることができる。また、3年ごとに定期診断を行うケアプログラムも提供している。詳しくは「100年オーナープラン」のサイトにて。
●掲載商品の価格はすべて、税込み価格です。
初出:2025年2月22日発行『AdvancedTime』25号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photos: Toru Oshima
Stylist: Tomohiro Saito
Writer,Editor: Yukihiro Sugawara
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