王者としての風格

全時計ブランドの頂点に君臨し続けるパテック フィリップ。 数々の革新的な機構を生み出してきた真のマニュファクチュールである。 その卓越した技術が詰まったコンプリケーションウォッチを知れば、王者たるその理由がわかるはずだ。

FASHION Dec 4,2021
王者としての風格

不変の価値をもたらす“パテック フィリップ”のコンプリケーション・ウォッチ

世界最高峰の時計ブランドとして称賛を浴びるパテックフィリップは、時計製造技術においていつの時代も革新性を貫いてきたマニュファクチュールである。調速に関わるジャイロマック・ステンプやシリコン製ガンギ車といった根本技術をはじめ、永久カレンダー機構やワールドタイム機構といった独自の複雑なメカニズム開発まで100以上の特許技術を創出してきた。

パテック フィリップでは基本的な時分秒を表示する機能を超えた複雑機構をコンプリケーションと呼ぶが、歴史に名を残す超複雑時計も含めてコンプリケーション・ウォッチは同社の独壇場となっている。その中でもクロノグラフは特別な存在だ。ワールドタイム、永久カレンダーといった異なる個性を持つ複雑機構と組み合わせによる相性が良く、さらなる複雑性が人々を魅了するからだ。個々のコンプリケーションでさえ、自社で開発製造することは非常に困難で、これらを組み合わせた時計を自社で完成させるメーカーは極めて稀である。

こうした技術的な複雑さとともに、デザイン性や仕上げによってシンプルで繊細な美しさを兼ね備えるのもパテックフィリップの特徴だ。美観も追求する絶妙な均衡が、不変的な価値をもたらすトップマニュファクチュールとしての矜持なのだ。

今年のサマーバカンスには上質なコンプリケーションが1本あればいい

手巻き。プラチナケース。ケース径41㎜。¥23,639,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)

永久カレンダー搭載クロノグラフ Ref.5270P

時計史にその名を刻み、パテック フィリップを象徴するモデルのひとつであるグランド・コンプリケーション。クロノグラフに永久カレンダーモジュールを組み込んだ自社製ムーブメントが搭載され、シリーズ初となるプラチナケースを採用したプレミアムウォッチ。高級感を高めるゴールドオパーリン文字盤は、12時位置に曜日と月を並べて窓表示してヴィンテージの趣を醸し出す。

パートナーと価値観を共有するクロノグラフのペアウォッチ

右/手巻き。18KWGケース。ケース径41㎜。¥9,009,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)
左/手巻き。18KRGケース。ケース径38㎜。¥10,329,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)

右/クロノグラフ Ref.5172

コラムホイール、水平クラッチという伝統的なクロノグラフの制御&駆動方式のメカニズムながら、クロノグラフ秒針の動きを滑らかにする歯車の歯形曲線の改良など6件の特許を保有する自社製キャリバーCH 29-535 PSを搭載。古典的な2つ目インダイヤルに、ラウンド型プッシャーや3段のラグでよりクラシカルな印象に。時分針には夜光塗料を塗布。

左/クロノグラフ Ref.7150/250

自社製クロノグラフ・キャリバーを搭載した、同社で唯一のレディス・クロノグラフ。先代機のクッション型からオーソドックスなラウンド型のケースに変更され、パルスメーター、ブレゲ針、ブレゲ数字といった伝統的なディテールを採用。ベゼルには72個、ピンバックルには27個のダイヤモンドがセッティングされ、機能性と煌びやかな美しさを兼ね備える。

ロイヤルブルーが物語る珠玉のコンプリケーション

上/自動巻き。プラチナケース。ケース径42㎜。¥10,054,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)
中央/ダイヤモンド合計4.45ct。自動巻き。プラチナケース。ケース径40.5㎜。¥18,755,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)
下/自動巻き。18KWGケース。ケース径39.5㎜。¥9,108,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)

1_年次カレンダー搭載クロノグラフ Ref.5905P

同じ年次カレンダー搭載クロノグラフをよりエレガントに進化させたのがこのモデル。6時位置の積算計は60分計のみにし、ロゴ上のパワーリザーブ表示も省いて、すっきりしたデザインに。ベゼルやラグにはくぼみに彫り込んだ曲面が複雑な表情をもたらし、仕上げの技術の高さが光る。6時位置下のワンポイントのダイヤモンドは、同社でプラチナケースであることを示す。

2_年次カレンダー搭載クロノグラフ Ref.5961P

完全自社製の自動巻きクロノグラフに、実用複雑機構の年次カレンダーを組み合わせたコンプリケーション。ベゼルとインデックスにバゲットカットのダイヤモンドを備えたプラチナケースを採用し、この上なくゴージャスに仕上げた。6時位置には2回転の計測による60分積算計と12時間積算計を同軸にレイアウトした画期的なクロノグラフを備える。

3_ワールドタイム・クロノグラフ Ref.5930

針飛びしにくいコラムホイール制御&垂直クラッチ式の動力伝達機構を備える自社製自動巻きクロノグラフにワールドタイム機構を統合。ワールドタイム機構とは世界の主要24都市名を時差に沿って並べたリングと24時間リングを組み合わせ、長短針だけで各都市の時間を確認できるメカニズム。ダイヤル中央には同心円状にギヨシェ装飾を施してブルーに深みを与えている。

永久カレンダーの先駆者としての自負

自動巻き。18KWGケース。ケース径40㎜。¥10,604,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)

パテック フィリップは年次カレンダー搭載モデルやカラトラバ・ウィークリー・カレンダーをはじめとしたカレンダー・ウォッチの名手である。その開発の先駆けとなったのが永久カレンダーだ。1889年の懐中時計用永久カレンダーの特許取得や、1925年に腕時計で史上初となる永久カレンダー搭載モデルの発表をきっかけに、それ以後も永久カレンダー搭載の多彩なバリエーションを輩出してきた。そして現在では永久カレンダーは同社のグランド・コンプリケーションの根幹を成す重要な機構に位置づけられている。

永久カレンダーとは複雑な暦をメカニズムによって忠実に再現するものだ。一般的な時計は日付表示を31日として設定しているため31日以外の月は手動で調整の必要がある。しかし、永久カレンダーでは1461日(4年)のサイクルで一周する機構を搭載することで、30日や28日、閏年の29日の月も調整不要とした。非常に精密な構造であることから、これを製造できるのはごく一部のメーカーだけだ。さらにパテック フィリップでは100年に一度やってくる非閏年や、400年に一度やってくる閏年に対応した超絶な永久カレンダーも発表している。400年に一度しか作動しないパーツを組み込むなど、想像をはるかに超える。こうした傑出した技術力があるからこそ、パテック フィリップの永久カレンダーは別格なのである。

永久カレンダー Ref.5320

1942年登場のパテック フィリップ初のシリーズ生産による永久カレンダー、1526モデルのデザインを踏襲。幾層にも塗り重ねた淡いクリーム色のラック文字盤がエナメルにも似た質感を浮かべ、長短針や植字のインデックスにはすべて夜光塗料を施して、ヴィンテージ風に仕上げた。ベゼルには2段、ラグには3段のステップを持つケースのフォルムがエレガント。曜日・月を並べて窓表示するキャリバー324 S Qはこのモデルのために開発されたものだ。

世界初となる腕時計永久カレンダー

1925年、パテック フィリップによる世界初の永久カレンダー腕時計No.97 975。1899年に製作された婦人用ペンダント・ウォッチ用手巻きムーブメントを搭載。直径34.4㎜のケースは美しい手彫金が施されたラグなど、装飾性に富んでいる。

お問い合わせ先
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
03-3255-8109

初出:2021年07月03日発行『AdvancedTime』08号。掲載内容は原則的に初出時のものです。

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