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先日開催されたパリメンズファッションウィークにて発表された、各メゾン&ブランドのコレクションから、AdvancedTimeが注目すべき動向をピックアップ。次の秋冬の傾向を先んじて紹介する。
先の記事では2026年秋冬ミラノメンズファッションウィークから、Advanced Timeが注目するものとしていくつかピックアップして取り上げたが、今回はミラノの後で開催された2026年秋冬パリメンズファッションウィークから、いくつかのコレクションについてご紹介。こちらも記事の順番は、ファッションウィークの登場順に準じている。




プレゼンテーション形式で発表された“BERLUTI(ベルルッティ)”の2026年秋冬コレクション。「構成と技法」をテーマに、シューズ、メンズウエア、バッグやレザーグッズなどが提案された。1895年創業の、4世代続くブーツメーカーである“ベルルッティ”。その個性はやはりシューズによく表れている。今回のコレクションに登場したのはブーツ。バイカーブーツから着想されたという「ロンボ」は、陰影豊かな「ベネチアレザー」のアッパーとグッドイヤーウェルト製法によるソリッドなソールを組み合わせて、ラギッド感とエレガンスを巧みに共存させている。ウエアで注目はこれも同メゾンのアイコンである「フォレスティエール」。エフォートレスなエレガンスを表現するジャケットとして復活したこのアイテムは、カシミヤ生地を使った「フォレスティエール」にボルドーやブラウンのパンツなど、このシーズンではセットアップスタイルとして提案されている。またシアリングを配したレザーブルゾンは、ベストも登場。さらにバッグで注目なのは、これもアイコンモデルであるブリーフケース「アンジュール」を再構築した「アンジュール・ドゥ・プリュス」。グレイン加工された柔らかなセタレザーを使って、しなやかさを備えた、新たなメンズバッグの存在感を生み出している。




今回のパリメンズファッションウィークにおいて、最注目のメゾンのひとつが、ジョナサン・アンダーソンがクリエイティブ・ディレクターを務める“DIOR(ディオール)”。昨年のデビュー以来、“ディオール”のレガシーを意識しつつ、新鮮なスタイルを打ち出して話題となっている。その特徴は、テクスチャーの豊かさと、シルエットやディテールの巧みなミクスチャーにあるだろう。ショーに先駆けて公開された動画では、パリを彷徨う若者が、ポール・ポワレの名を見出したのちに、“ディオール”にたどり着くさまが描かれていた。先日まで三菱一号館美術館にて開催された『アール・デコとモード』展でも数多く展示されていたポール・ポワレの服は、オリエンタリズムや古代エジプト文化などが混淆したアール・デコという文化を、ファッションとして象徴していた存在だった。ショー冒頭のスパンコール&エンブロイダリーのトップスにブリーチしたスリムデニムのルック、金糸を使ったボタニカル柄の華やかなジャカード生地とダブルのチェスターフィールドコートの組み合わせなどは、ポール・ポワレのセンスを現代的にリミックスしたものといえるだろう。他方オーセンティックなメンズウエアのエレメントもさまざま散りばめられている。パープルカラーのドニガルツイードのスーツ、重心を高めにしたナローラペルのブリティッシュウォーム(ダブルコート)、シアリング付きのM51(モッズコート)調やキルティングインナー付きのM65調などのトップスなど。ただし組み合わせるアイテムはニットや鮮やかなプリントのパンツ、またはオブリークなシルエットのスリップオンやスニーカーなどで、その意外性が、大きな魅力である。



ドリス・ヴァン・ノッテンがクリエイティブ・ディレクターを退任した後、同職に就任したジュリアン・クラウスナーによる2シーズン目の“DRIES VAN NOTEN(ドリス ヴァン ノッテン)”2026〜’27年秋冬メンズコレクション。それは「特定の服への愛着と、それを自然に身にまとう方法について考えた」結果、導かれたものという。父親のコートや母親が着ていたフローラル柄、愛着あるセーターや、成長して着られなくなったスクールジャケットなど、そうした自己探求の結果見出されたアイテムが、このコレクションのベースにあるとクラウスナーは説明している。そしてそれらのエレメントは折衷的に、巧みなバランス感で構成されている。特にニットの表現が目をひく。フェアアイルニットをあしらったロングペンシルコート、キルトとローゲージニット、タイドアップとニットのロングジョン(股引)のスタイリング。キルトとケープなどのクラシックなアイテムは、チェック柄や編み柄などとの組み合わせで、カジュアルな感覚で提案されていた。花柄も交えた華やかなパターンや色のレイヤードは、比較的ミニマルまたはストイックな傾向が強い中で、オーガニックな豊かさで際立っている。さらにショーの音楽として使われた浅川マキ「夜が明けたら」は、コレクションにノスタルジアと親密さを付加していた。



37年の長きにわたり、“HERMÈS(エルメス)”メンズコレクションのアーティスティック・ディレクターを務めてきた、ヴェロニク・ニシャニアンが手がける最後のシーズン。エクリュ、ベージュ、グレー、トープ、カーキ、ブラウン、ネイビーそしてブラック。それぞれのルックにおけるグラデーションとともに、コレクション全体がゆっくりと移り変わっていくような色あいの中、印象に残ったのはレザーの存在感。コート、ブルゾン、コンビネゾン、パンツそしてシャツ、さまざまなアイテムに使われている上質なレザーが、柔和な一方でタフネスも感じさせる“エルメス”の男性像を形成している。一例を挙げると、ネイビーにグレーのチョークストライプスーツに、ネイビーのレザーシャツというルックは、ストライプスーツのオーセンティックな雰囲気を、スマートかつ男性的な色気を感じさせるスタイルに変換している。ラストに登場したネイビーのクロコダイルレザーを使ったコートのルックは、チャコールグレーのニット、サテン調のフォーマル感あるブラックのトラウザーズにブラックレザーのブーツとの組み合わせ。そのノンシャランな感覚のラグジュアリーは、ニシャニアンのコレクションを象徴しているようにも感じられた。




今回のパリメンズファッションウィークの時期から少し後に発表された、 “SAINT LAURENT BY ANTHONY VACCARELLO(サンローラン)”の2026年冬のメンズコレクション。クリエイティブ・ディレクターを務めるアンソニー・ヴァカレロがこのコレクションを構想するにあたって出発点としたのは、黒人作家ジェイムズ・ボールドウィンが1956年に発表した小説『ジョヴァンニの部屋』だったという。自身も同性愛者だったボールドウィンが描いた、セクシャリティとアイデンティティに関する葛藤の物語において、ヴァカレロの心を捉えたのは、主人公デイヴィッドが恋人であるジョヴァンニの部屋を早朝に出ていくシーンだった。Vゾーンから素肌が覗くスーツの着こなしは、そんな訣別の朝を連想させるような、親密さと凛々しさが同居したものといえる。今回のコレクションでは、構築的な肩と胴回りのドレープが美しい、テーラードなジャケットやスーツ、コートが数多く提案されていた。それらはクラシックでオーセンティックなものといえるが、“サンローラン”のコレクションにおいては、男性的な色気、存在感を表現する役割を担っているようだ。さらにグレー、ネイビー、ダークブラウンそしてブラックなどのストイックな色あいが、フォルムのダイナミズムを際立たせている。そんな中、エナメルのニーハイブーツとショートパンツの組み合わせが、新鮮な印象を与えていた。
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『エスクァイア日本版』(エスクァイア マガジン ジャパン)編集部を経て、『メンズプレシャス』(小学館)などでメンズファッションやデザインプロダクト、カルチャー等の企画を担当。それらの傍ら、紳士靴の雑誌『LAST(ラスト)』を創刊し編集長を務める。現在は『Advanced Time』本紙とオンラインのほか、さまざまなメディアにて、ファッションやライフスタイル分野でエディターまたはライターとして活動している。
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