衝撃的かつ真っ当なフレンチ。新生ザ・リッツ・カールトン大阪で、いま味わうべき洗練の極み。

大阪の梅田周辺は、近年、大規模再開発が進んでおり、JR大阪駅周辺の商業施設「グランフロント大阪」「ルクア大阪」をはじめ、今年は「グラングリーン大阪」や「KITTE大阪」もオープン。東京よりも活気があり賑わっている。このエリアに27年前に開業したラグジュアリーホテルの先駆的存在、ザ・リッツ・カールトン大阪は、この秋、大規模な客室改装を完了。最高のフレンチを味わい、関西旅の拠点にしたい。

LIFESTYLE Dec 27,2024
衝撃的かつ真っ当なフレンチ。新生ザ・リッツ・カールトン大阪で、いま味わうべき洗練の極み。

より心安らぐ空間にリニューアルされた客室

ザ・リッツ・カールトン大阪の画像
象徴的な車寄せのあるエントランス。開業以来変わらぬ格調の高さ。

日本初のザ・リッツ・カールトンが大阪の真ん中に開業したのは、1997年(平成9年)5月だった。当時、大変な話題を呼び、開業からしばらくは宿泊しなくても一度見てみたいという人も殺到していた。筆者もその年の夏、真新しいザ・リッツ・カールトン大阪に、出張のついでに滞在したことがある。それまでに香港のザ・リッツ・カールトンへ行ったことがあったのだが、その落ち着いた欧風の雰囲気と高級感は共通していて、何よりホテルスタッフの完璧なまでのエレガントなサービスに舌を巻いた。それまでに日本にはなかったラグジュアリーホテルの誕生だったと言える。

あれから27年あまり。今年春から行われていた大規模な客室のリニューアルが完了し、ザ・リッツ・カールトン大阪は「承継と新生」というコンセプトのもと、リボーンした。

客室のリニューアルは、例えば、客室階の廊下のカーペットをロビー階の大理石の色を使用したりして、空間の連続性を持たせている。客室内も、開業当時からの花柄をモチーフにした彫刻風のパネルをヘッドボード上に取り付けたり、壁紙の色も温かみのある柔らかな色合いに変更したり。寝室には花柄をモチーフにしたカービングの装飾壁を採用したりと、より心地よく、安らぎをもたらす客室空間になっている。

ザ・リッツ・カールトン大阪のクラブスイートの画像
クラブスイートの寝室。明るい色合いで寛げる。
ザ・リッツ・カールトン大阪のスイートルームの画像
左/スイートルームの一例。開業当初からの調度品もある。 右/コーナールームの場合、このような眺望。照明の傘も開業当初より愛されてきたモチーフの花柄だ。

また、専任コンシェルジュが常駐する34階のクラブラウンジも、カーペットや家具を新調しリニューアル。クラブラウンジではアフタヌーンティーを含む5回のフードプレゼンテーションがあり、こちらに滞在すれば、食事のために外出する必要はほぼなくなりそうなほど充実している。

ザ・リッツ・カールトン大阪のクラブラウンジの画像
エレガントな空間のクラブラウンジ。

大阪が誇るフレンチの名店『ラ・ベ』

『ラ・ベ』の画像
左/格調高い『ラ・ベ』の内観。 右/着席してすぐの景色。余分な要素が排され、これから始まる世界に期待が膨らむ。

このザ・リッツ・カールトン大阪には、ダイニングとしてフランス料理の『ラ・ベ(La Baie)』がある。長年、料理長を務めているフランス・ブルターニュ出身のクリストフ・ジベールさんの卓越した技術とセンスにより、『ミシュランガイド京都・大阪』で7年連続13回目の一つ星を獲得している名店だ。今回、ランチタイムにこの『ラ・ベ』の「シニャチュール」コースを試食させてもらった。

一歩、足を踏み入れると、そのダイニング空間はヨーロッパの晩餐会が行われてもよさそうなくらいの格調の高さ、品の良さにこちらの姿勢も改まるほど。しかしテーブルに着くとしっとりと落ち着いて、安心感がある。決して緊張しすぎることのない、この独特の空気感、まさにグランメゾン。

かつてのミシュランの編集長は、評価は皿の上のみ、つまり料理だけで店内空間や設えは関係ないというようなことを発言していたが、長年、ヨーロッパへ行くたびに各国でミシュランを利用していた筆者からすると、評価されている名店は必ず店内の設えも素敵だった。一流の店は料理だけでなく、空間とサービスも素晴らしいはずだ。

ブルターニュのボルディエバターに唸らされる

最初に手でつまめる小さなアミューズが3品登場。これに続いて前菜は「オシェトラキャビア フェンネルのムース 繊細なブイヤベースジュレ」。最初からじつに繊細な味わい。かつてテレビドラマの「グランメゾン東京」で、最初の皿で客の心をつかまなければならないという話が出てきたが、まさにその通り。

料理の画像
キャビアを使った前菜だが、全くキャビアがイメージする“お約束”感がない新しい味わい。見た目も味わいもコントラストが際立つ。

続いて驚かされたのが、バター。近年、フレンチでもバターを出さない店が増えるなか、ここではしっかり供される。それもそのはず、シェフはバターで有名なブルターニュ出身。巨大な筒状の無塩と、海藻を練りこんだ有塩の2種類のボルディエバターがワゴンで運ばれてきた。暖かいパンとともに、ワインも進んでしまう、もうこれだけですっかり『ラ・ベ』の世界の虜だ。

料理の画像
ワゴンで運ばれてくるバター2種類はフランスから空輸されているという。単に濃厚というだけでなく、じつに豊かな風味を有する。

次の皿が「フォアグラカナールとのテリーヌ パンデピス根セロリのジュレ カシスペースト」、そして「帆立貝柱のマリネとブイヨン、食感の異なる蕪 柚子」と続く。いずれもストレートかつ伝統的なフランス料理をベースに、食材の食感の対比やソースの酸味とのバランスが絶妙で、軽やかに食べ進んでいける。

ここまで料理に合わせたワインは、アンリ・ジローのシャンパーニュ「エスプリ・ナチュール G」、アルザス・トリンバックのリースリング2015が供された。

料理の画像
左/鳩肉とフォアグラの絶妙な組み合わせと対比。セロリとカシスを使うことで、爽やかにいただける一品。こんな軽やかなフォアグラ料理は、他に記憶にない。 右/眼前でブイヨンが注がれる帆立貝柱のマリネ。下にはフランがしのばせてある。

圧倒的なオマールブルーの名物料理

料理の画像
海藻を敷き、コニャックで蒸されている。青い色をしていたオマールブルーも、熱が入ると赤く色が変わる。

いよいよメインの料理が登場する。『ラ・ベ』の名物「オマールブルーブランデーと海草のココット蒸しスパイスのきいたソース」だ。まずは、ココットごと蒸しあがったばかりのオマールブルーを見せてくれる。その姿のまあ立派なこと。

オマール海老の一種で、青みがかった色をした殻をもつことからオマールブルーと呼ばれるが、ここで使われているのは最高級とされるフランス・ブルターニュ産。厨房では生きたままオマールブルーを保管できる水槽を擁しており、最上の状態で調理されるのだ。

さあ、皿に美しく盛り付けられてオマールブルーが運ばれてきた。目の前でソースをかけて仕上げてくれる。ソースは2種類。いずれもビスクソースだが、色の薄い方はオマールブルーの海老味噌などをより多く使い、濃い方は様々なスパイスを効かせているという。

料理の画像
左/オマールブルーのメイン料理。左側に添えられているのは肉ではなく、紅芯大根を調理したもの。表面の黒い部分は海苔を使っているのだとか。 右/オマールブルーの爪の部分は、このように別皿で。スイーツを連想させるような甘やかな香りがほのかにただようザバイヨンソースもさすが。

さっそく身を口にする。なんと軽やかな食感と甘み。かなりレアながらも絶妙な温かさとコニャックと海藻で蒸された風味が。ふたつのソースもそれぞれに身を包み込み、豊かな余韻を感じさせる。特に濃い色のソースは濃厚かつスパイシー、というものの辛いわけではなく、身の味わいを引き立て、香りの余韻が数十秒も鼻腔に漂う。

そしてオマールブルーの爪の部分は別皿で供される。同じくビスクソースだが、ザバイヨンソースがかけられていて、これがまた全く別世界の甘い香りを残す。火の通し方もしっかりしていて、同じオマールブルーでもその違いを存分に楽しめるメイン料理となっている。

しかも、この料理に添えられるワインは、ブルゴーニュの赤ワイン。しかも名手ジャン・タルディのオート・コート・ド・ニュイ2020。この濃密な組み合わせには脱帽した。

デザートは懐かしのクレープフランベ!

かなり満たされた気分で、最後のデザートに。事前に選んだのは「クレープフランベトラディショナル バニラアイスクリームと柑橘のヴェリーヌ」。そう、我々の世代なら、若いころによく出会ったあのクレープシュゼットのこと。ワゴンが運ばれてきて、目の前で調理して仕上げてくれるのだ。昔は適当な目分量でつくる店も多かったが、『ラ・ベ』では、このクレープフランベをつくる際のオレンジジュースや酒の分量をきっちり決めているという。

料理の画像
左/単なるパフォーマンスではなく、きっちり計算されたクレープフランベの調理に見惚れてしまう。 右/酸味とのバランスがよい軽やかな甘さのクレープフランベ。マダガスカルとタヒチのバニラを使ったアイスクリームが添えられる。※料理の内容は日によって変わることがあります。

できあがった温かいクレープフランベを口にすると、さらりとしながらコクがある軽やかな甘さ。NHK大阪局で制作された朝ドラ「カムカムエヴリバディ」では、人の心を安らかにするものとして甘味に大きな役割を与えていたが、『ラ・ベ』のクレープフランベは、心を和ませるだけでなく、ザ・リッツ・カールトン大阪のダイニングならではの大きな充足感をコース料理の締めとして調和させる稀有な存在となっていた。ここに来たら、ぜひクレープフランベを注文していただきたい(追加料金1400円)。

最後にプティフールとお茶なども用意されるが、あとはぜひ実際に足を運んで、『ラ・ベ』の素晴らしい世界を体験していただきたい。ちなみに筆者はこれだけのフルコースをいただいたが、全くお腹が持たれることもなく、一般的なフレンチとは食後感が物理的にも違ったことを一言申し添えておきたい。

まさに至高のフレンチ、大阪にあり。2025年は万博も開催される。このザ・リッツ・カールトン大阪を、関西旅の拠点にするのはいいかもしれない。

ザ・リッツ・カールトン大阪『ラ・ベ』の食事券をプレゼント

『ラ・ベ』の食事券(ランチ)をペアで1組様に抽選でプレゼントいたします。

※ランチは、この記事で紹介した内容と同じコースです。

◾️締め切り:2025年2月9日23:59まで

ご応募いただくには小学館IDへのログインが必要です。是非、小学館IDへ会員登録(無料)の上、ご応募ください。

応募はこちらから
お問い合わせ先
ザ・リッツ・カールトン大阪
大阪市北区梅田2丁目5-25
06-6343-7000
『ラ・ベ』
11:30~15:00、17:30~21:00 
不定休(2025年1月から3月は、月5回ほど休みになる予定。詳しくはお問い合わせください)
ランチ1万4500円~、ディナー2万7000円~。
https://labaie.ritzcarltonosaka.com/

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