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今年はグリーンダイヤルが大流行しているが、次なるトレンドカラーは何になるであろうか。今回はこれまでほとんど見ることのなかったパープルのダイヤルに注目しよう。
時計のトレンドに機構やケース素材がよく挙げられるが、もっとも多いのがダイヤルカラー。ダイヤルの色を変えるだけでガラッと印象が変わるし、個性を発揮できるからだ。近年はオールブラック、スポーティなブルーダイヤル、そしてグリーンダイヤルがはっきりとした流行色となった。これは塗装技術の発達に比例して、表現できる色合いの選択肢が増えたことが理由に挙げられる。では、次なるトレンドカラーは何だろうか。
トレンドカラーというからには、すでに定番化しているカラーを再びフォーカスするのでは面白くない。その点でいうと、これまで高級時計ではほとんど見られることのなかったパープルは面白い存在だ。今年になっていくつかのブランドで見られるようになってきた新鮮なカラーといえるだろう。
日本人にとっては、パープルは高貴なイメージを抱く色合い。遡ると、聖徳太子が定めた冠位十二階の制度で、紫は最上位の位を示す色であったし、江戸時代までは衣類を紫に染めるために貴重な紫草の根が大量に必要で実際にコストのかかる色味だった。また西洋でもpurpleの語源となった巻貝は分泌液が染料の材料として使用され、これまた希少だったためローマ帝国では高貴な身分の人だけしか身に着けることができない色だった。このようにパープルには東西で高貴という同じイメージが持たれている。
新作時計では、腕時計のトレンドセッターといえるウブロからパープルのクリスタルケースウォッチが登場。また近年の新作モデルでは、最初から多色展開することが多い。そのラインナップとして、ベーシックではないカラーの選択肢で、パープルが選ばれることが増えている。今後はますます増えていくだろうパープルダイヤルを、今年の新作の中から先取りしてご紹介しよう。
ウブロはケースが透き通り内部のムーブメントまで見えるサファイアクリスタルケースを発表してきた。クリアな色に留まらず、ブラック、レッド、ブルー、イエロー、オレンジと次々とカラークリスタルサファイアを開発し、ケース素材に採用。そして今年はパープルサファイアケースを発表した。ダイヤルは透明なサファイアクリスタルでムーブメントにもクリアなサファイア製ブリッジを多用しているが、インデックスなどのポイントにはパープルを使用して強調させている。さらに針やインデックスにはパープルの蛍光コーティング、ストラップにはパープルの透明ラバーを採用して、パープルの存在感を高めている。6時位置にはトゥールビヨンが配置され、12時位置には通常裏側にある自動巻きのマイクロローターを配し、上下で対称になるデザインに仕上げた。限定50本。自動巻き。サファイアクリスタルケース。ケース径44㎜。
モリッツ・グロスマンはドイツ時計学校の創設者で時計職人の名を冠したドイツのブランド。こちらは2021年に発表されたセンターセコンドモデルまたはセントラルセコンドに、パープルダイヤルの限定仕様が追加されたもの。もともとモリッツ・グロスマンは、針にブルースティールではなく、ブラウンバイオレットを採用することでも有名。針の独特な色合いを出すためには技術が必要で、ブラウンバイオレット針は、技術の象徴となっている。限定のパープルダイヤルはサンレイ仕上げが施され、光を受けるたびに美しく煌めく。このモデルにはブラウンバイオレット針ではなく、蓄光塗料を含むハイセラム樹脂を施した針を採用し、暗所でも視認性を高めている。世界限定25本。手巻き。ステンレススティールケース。ケース径41㎜。
今年レギュラーモデルとして復活を果たしたキングセイコー。1965年に発表された2代目キングセイコーを元に、多面カットを施した立体的なインデックスやボックス型の風防など、意匠を引き継いでいる。シルバーやブラウンダイヤルの展開の中で、外側に行くにしたがって色味が濃くなるグラデーションのパープルダイヤルもラインナップ。淡いパープルの色合いはとても上品に映える。セイコーブティックスペシャルエディション。自動巻き。ステンレススティールケース。ケース径37mm。
コンステレーションコレクションからケース径28㎜の新色が登場。コンステレーションを象徴するケース上下のハーフムーンデザインや6時位置の星ロゴ、ケースサイドの4つの爪のアイコニックなデザインは継承しつつ、アワーマーカーにはダイヤモンドをあしらった。コンステレーションには、4色のパステルカラーダイヤルがラインナップされる。そのなかでもバチュリブロッサム(パープルカラー)はとりわけエレガントだ。ベゼルにもパープルのニスを塗布したローマ数字が施され、統一感のあるデザインに仕上がった。クオーツ。ステンレススティールケース&ブレスレット。ケース径28㎜。
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STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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