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『フェアレディZ』には、性や世代を超えて愛される魅力がある。昔を思い出しながら、最新型に乗り込んでみよう。忘れていた感動が蘇るだけでなく、ポジティブになった自分に気づくはずだ。
日本で一番有名なスポーツカーは、間違いなく『フェアレディZ』だ。1970年代にエキゾチックな欧州製スポーツカーの洗礼を受けた少年にとって、『フェアレディZ』はそれらにも負けない個性を放つ、日本代表ともいうべき憧れの存在だった。やがて、当時の少年(少女も)が自動車免許を取得する年代になり、道路交通網の発達や経済的な豊かさが進むにつれ、『フェアレディZ』も時代に合わせたアップデートを敢行。スピードへの情熱と都会的な洗練をまとう、ポップアイコンとして地位を保ち続けた。
ダッシュボードにサブメーターが連なるメカニカルなコクピットに身を沈め、フリーウェイで加速したときの高揚感。やがてたどりついた埠頭を渡る風に吹かれながら、街の灯りをみつめていたセンチメンタルな夜……。運転する立場であれ、助手席に座る立場であれ、『フェアレディZ』で青春の思い出を刻んだ方は多いのではないだろうか。
2022年1月に日本デビューを果たした新型『フェアレディZ』は、昔のようにパーソナルな乗り物としてクルマを愛することが少なくなった世代にも、まぶしく映るはずだ。1969年から続く名車の伝統を現代的な解釈で表現したデザインは、スポーツカーの普遍性を具現化した艶やかな魅力を放つ。全長4380㎜のボディは取り回しやすく、運転席からの見切りもいい。さらに、ダイナミックな走りを支える3ℓのV型6気筒エンジンを搭載し、トランスミッションは6速マニュアルと9速ATから選べるので、久しく運転から離れているドライバーにもやさしい。子育てが一段落し、自分の時間を大切にできるようになった今、『フェアレディZ』の2座席、流線形スタイルが、ライフスタイルにフィットする。昔、気負い気味でハンドルを握っていた方には、大排気量エンジンの余裕が心をクルージングへとシフトさせるだろうし、助手席中心だった方は、改めて自ら操る自由を満喫できるに違いない。
BGMのおすすめは、懐かしのニューミュージックやシティポップ。昭和~平成を駆け抜けた『フェアレディZ』の記憶と共に、これからを生きるためのメッセージとして、やさしく語りかけてくることだろう。
ロングノーズでボンネット中央がふくらんだデザインは、『フェアレディZ』が代々継承してきたもの。これに、初代に着想を得てデザインされたLEDヘッドライトを組み合わせることで、現代的なスポーツカーの〝顔〟を表現している。
『フェアレディZ』は、世代ごとに新しい個性を盛り込みながら進化してきた。完成されたデザインで普遍的な魅力を放つアクセサリーや小物同様、名車はその使い手を輝かせる。上から時計回りに、ナッパレザーとコットンニットの切り返しを採用し、フィット感と通気性に優れるグローブ。美しさと機能性を兼ね備えた〝ジャガー・ルクルト〟の不朽の名作時計『レベルソ・クラシック・デュエット』。手巻き。ピンクゴールドケース (ストラップも)。ケース34.2×21mm。モダンなデザインでどんな装いにも合わせやすいピアス『Mコレクション パールピアス』。スティーブ・マックイーンが愛用したことでも知られる、〝ペルソール〟のサングラス『649A』。
クルマと同様、普遍的かつアップデートした装いにこだわって気分を上げよう。アウターはスポーツカーと相性のいい〝バラクータ〟『G9』。〝マリネッラ〟の ソットブラッチョ(折りたたみブリーフケース)は、’80年代にはやったセカンドバッグを 今っぽく取り入れられる逸品。当時、助手席にエスコートした女性のことを 思い出しながら、「本当の恋人は『フェアレディZ』だったのかも……」と苦笑いして ひたすら走る。そんな時間が楽しい。
助手席専門だった学生時代、初めて塗った〝シャネル〟の『ルージュ ココ』。当時から好きだったなめらかで深いうるおい、みずみずしい輝きはいっそう効果を増し、手放せない存在に。自分でハンドルを握る勇気と経験を得た今は、『フェアレディZ』に負けない華やかさをまとうために、必ずポーチに入れておく。土曜日にひとりで出かけたあと、ルージュと片方のパールピアスを車内に置いていった。明日、パートナーの彼が乗ったときに、昔よく聴いた歌を思い出してくれるように祈って……。
流線形のデザインには、内装も含めて目を引くポイントが満載。
左上/ダックテールと呼ばれる、せりあがった後端部分のスポイラーは、初代のオーナーに人気だったアイテム。テールランプも、初代から引き継がれてきた造形をアップデートしたもの。
右上/伝統的なダッシュボードの3連メーター。
下/50年を超える歴史を通じて人々を魅了してきた、美しいルーフライン。 さらに、初代をほうふつさせる「Z」ロゴのバッジも付く。このように、歴代モデルの特徴を現代的に アップデートさせたのが、2022年の『フェアレディZ』スタイルだ。
主要諸元 | |
エンジン | 3ℓ V型6気筒ツインターボ |
最高出力 | 298kW(405PS)/6,400rpm |
最大トルク | 475Nm/1,600~5,600rpm |
全長×全幅×全高 | 4,380×1,845×1,315mm |
トランスミッション | 6速マニュアル/9速オートマチック |
車両本体価格 | ¥6,966,300(240台限定特別仕様車「Proto Spec」) ※「Proto Spec」の抽選応募期間は終了しています。 |
初出:2022年4月16日発行『AdvancedTime』11号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photos: Kazumi Ogata
Stylist: Hiroki Tsuchiya
Writer: Kaori Sakurai
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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