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機能的でありながら優雅なジョルジオ アルマーニのジャケット。シンプルだからこそ、人の内面を映し出す、そんなジャケットを纏うのはかつてはバレリーナとして、現在は女優として、常に第一線で輝き続ける草刈民代さんです。
妥協を許さない、ストイックな人…というイメージを抱いていたが、意外にも「自分ではまったくストイックだと思っていないんですよ」
との答えが返ってきた。
「だって、周りにはそんな人ばかりでしたから。バレリーナってストイックじゃないと達成できないことばかりですし、上を目指してやってきたので、こうなるしかなかった」
とからりと笑う。自然体の人だ。
「それに、自分ってこういう人とか自分らしさって、本人は意識できないことなのかもしれないですよね。あの人はこういう人だって、周りが感じたり、言ったりすることで。でも、どうしてもこれが好きだとか、ここにいると安らぐとか、服はこれが着心地がいいとか、そういう自分が抵抗なく受け入れられるものの中に自分らしさって表れているような気がします」
アルマーニのジャケットといえば、「女性の社会進出を応援したい」とアルマーニ氏が思いを込めて、長年作り続けてきたもので、シンプルながらフォルムが美しく、袖を通すと着心地は抜群。マニッシュな中にもどこか女性らしさを感じさせる、ブランドの名品。
「アルマーニのジャケットはプライベートで着用したこともあります。実際に、アルマーニ氏とイタリア大使館でお会いしたこともあるんですよ。正統派ながら、その時代その時代のスピリットを表現されているお洋服が多いですよね。
若い頃は、洋服といえばブランドのイメージやネームバリューに憧れて、選んだ時期もありますが、その中でも長く愛用しているものや、今心惹かれるものは、作り手の意図と自分の好みやこだわりがフィットしているアイテム。今回のジャケットもインナーも、実にシンプルだけれど、形や素材、ディテールが同じ黒のワードローブでも、やはり『さすがアルマーニ』と思えるし、撮影ではそういうデザイナーの心意気を理解して、汲み取って着られることが多くなってきたように思います」
撮影の際にも、編集者の意図を汲み、自分の中で消化させてヘアメイクに入る、しっかりイメージを作ってからカメラの前に立つ。ディレクションに納得ができなければ「どうしてそれが必要?」「私はこう思う」と自分の考えをきっぱり口にする。その姿は潔くも格好がいい。そのひたむきさの原動力はどこにあるのだろう?
「一つ一つ、納得して全力を尽くすことが大切だと思っているんです。バレエの舞台でも、映画やドラマでも、見てくださる方はそのとき限りかもしれない。だから、自分のなるべくいいところを見てもらえるように努力したい。中途半端にやったら、それはすべて自分に返ってきますから」
現在、4月に行うファーストライブのために歌の特訓中だという。
「若い頃は踊るための体を作ってきました。歌うための体や筋肉ってまったく違うんです。声の表現は私にとっては一番弱い部分だから、人前で何か伝えるような歌にするためには様々なトレーニングが必要で、ハードルの高い挑戦です」
レッスンはいくらやっても全然足りないという。
「海外でミュージカルを見ると、本当にすごくて、あぁ、このレベルまで行けるんだって圧倒されますし、鍛錬しなくちゃと思います」
そうして、やるだけやっても、お客さんに「この人変わったね」と感じてもらえるのは難しい、劇的に変わらないと、周りの人は気づかない、と真剣な表情で続けた。
「だから、そのためにあらゆる努力をしたい。でも、それは面白いことです。新しいことを知って、理解して幅を広げていく。そこで、新たな発想が増えていく…。それでまたお芝居をすれば、演技のアプローチも変わりますし、そういうことがすごく楽しい。年を重ねると、その引き出しが多ければ多いほどいいと思いますし、そんな挑戦を続けていると精神的にも年を取らない気がします」
シルク100%のリュクスな黒のジャケットに、透けて覗く水彩模様がドラマティックなチュールパンツ。軽やかでトランスペアレントな質感のチュールプリーツが、正当派なジャケットを一気にモードにシフトさせる。
日本バレエ界のトッププリマとして活躍後、女優に転身。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した映画「Shall we ダンス?」や同優秀主演女優賞を受賞した「終の信託」他、「ドクターX」シリーズ、「大恋愛」など数多くの人気テレビドラマにも出演。来月には、コットンクラブにて初ライブを行う予定。
初出:2019年03月21日発行『AdvancedTime』01号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photo: Makoto Nakagawa(CUBISM)
Stylist: Akemi So
Hair&Make up: Emi Ojima
Text: Izumi Watanabe
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