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先日のRakuten Fashion Week TOKYOに初参加した、“MIZEN(ミゼン)”。「きもの」という日本の伝統産業を基盤としながら、その枠組みに囚われない斬新なクリエーションは、ショーという形式によって、新たなステージへと進んだように映る。
3月下旬に開催された、Rakuten Fashion Week TOKYO 26A/W。近年はパリやミラノのファッションウィークにおいて日本のデザイナーたちの活躍が顕著だが、東京においても、多彩な個性がそれぞれのクリエイティヴィティを表現している。若い感性に訴求するものが多いが、今回のファッションウィークでは、意外なブランドがランウェイショーで作品を発表していた。


“MIZEN(ミゼン)”というブランド(担い手たちはプロジェクトと自称している)は、本メディアで何度か取り上げたこともあり、お馴染みの方が多いかもしれない。そこで展開されているのはきもの地、例えば大島や結城そして牛首といった紬、または久留米絣などに、螺鈿織やこぎん刺しといった技法も盛りこみ、つくられているラグジュアリーなウィメンズ&メンズウエアである。このように書いてしまうと、ジャポニズムを基調としたブランドのように捉えられるかもしれないが、デザイナーの寺西俊輔氏が追求しているのは、日本の伝統工芸を基盤としつつも、あくまで現代のライフスタイルや価値観にフィットする服である。それと同時に、高度な職人技術を維持するためのものづくりも、ブランドのミッションとしている。


設立4周年を迎え、Rakuten Fashion Week TOKYOに初めて参加した“ミゼン”。これまで直営店やポップアップなどでその世界観を丁寧に表現し、伝えてきた同ブランドだったが、今回はランウェイショー形式で発表を行った。そのテーマは「Slow Fashion」、ショーの後に発表されたリリースには、そのテーマを選んだ理由が、以下のように記載されていた。
現代のファッションは、スピードと瞬間的な刺激によって評価される世界。一方で、日本の伝統技術に代表される手仕事は、本来、時間をかけて向き合い、背景を知り、ゆっくりと理解を深めていくことで、その価値が立ち上がるものです。しかし今、その“時間”は見えにくくなり、すべてが同じ速度の中で扱われています。今回のランウェイでは、この相反する二つの時間軸をあえて同じ空間に置くことにより、お互いの輪郭を浮かび上がらせる試みを行いました。
ふたつの時間軸は、実際にはモデルの動きによって表現されていた。ランウェイ中央をゆっくり歩くモデルがいる一方で、その周囲を別のモデルが通常のランウェイショーのスピードで歩く。さりげない演出ではあるがその効果は大きく、同様の服やスタイリングでも見え方が大きく違うことが実感され、私たちの認識力がいかに表層的で固定化しているか、そして「スロー」の有効性を印象づけるものだった。


今回発表されたコレクションでは、和装の生地や技巧だけでなく、ダブルフェイスウールやコットンブロード、シルクデニムといったテキスタイルも使われていて、きもの地だけではない新たな姿勢を見せてもいる。あえてウールのダブルフェイスにこだわって海外著名ブランドに支持されている日本のメーカーの生地を使用するなど、吟味された日本製の素材が採用されている。
また、短幅の和装生地とニット素材を高度なリンキング技術で融合させた「KIMONOニット」を使った大判のケープ「KAMUI」にも、ダブルフェイスウールのバージョンが登場していた。“ミゼン”のアイコニックアイテムといえるこの「KAMUI」は、各所にボタンが配されて、さまざまな着方ができるようになっている。ランウェイでも多彩なスタイルが提案されていて、その存在感が際立っていた。


今回のRakuten Fashion Week TOKYO参加を機に、より幅広い層に“ミゼン”の存在と、日本のさまざまな手仕事と協働し追求している「スピードを緩めることによる豊かさ」を伝えていきたいと、デザイナーの寺西氏は語っている。さらに海外に可能性を感じているとも。伝統産業における職人の技巧が導く日本独自のラグジュアリーは、世界においてどのように映り、評価されるのだろうか。その動向に注目したい。
AUTHOR
『エスクァイア日本版』(エスクァイア マガジン ジャパン)編集部を経て、『メンズプレシャス』(小学館)などでメンズファッションやデザインプロダクト、カルチャー等の企画を担当。それらの傍ら、紳士靴の雑誌『LAST(ラスト)』を創刊し編集長を務める。現在は『Advanced Time』本紙とオンラインのほか、さまざまなメディアにて、ファッションやライフスタイル分野でエディターまたはライターとして活動している。
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
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