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F1第3戦の日本グランプリレース(以下、日本GP)が、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催された。アルピーヌ・モータースポーツとパートナーシップを結ぶスイスの時計ブランド、H.モーザーとともに鈴鹿サーキットを訪れた。
H.モーザーは、“VERY RARE”をブランドコンセプトに掲げるスイスの独立系時計ブランド。ロゴすら省いたミニマルなデザインやグラデーションの美しい“フュメダイヤル”を特徴としながら、ムーブメント及びひげゼンマイまで自社製造するスイス屈指の技術力を誇る。時計業界に対する批評性やユーモアのあるモデルで注目を集め、伝統を重んじつつも、現代的な思想を盛り込んだ時計で一目置かれている。
とりわけ時計の心臓部といえるひげゼンマイを自製できるのは、スイスの時計ブランドでも数社しかない。そのボトルネックを押さえているH.モーザーは、今後も注目すべき時計ブランドのひとつといえる。
2024年には突如アルピーヌ・モータースポーツとの公式タイムキーピングパートナーを発表。F1に参戦する「BWTアルピーヌF1チーム」をサポートするとともに、製品開発など協業や両社の交流プログラムを通じエンジニアリングの相乗効果を狙っている。
そして今年もF1のシーズン開幕を記念した「ストリームライナー・アルピーヌ ドライバーズ&メカニック ピンク エディション」を発表した。本作は機械式時計とコネクテッドウォッチが2本セットとなっている。昨年のBWTアルピーヌF1のチームカラーであるブルーに続き、今年はBWTのコーポレートカラーである鮮烈なピンクを前面に出した。
セットのひとつである「ストリームライナー・アルピーヌ ドライバーズ ピンク エディション」は、文字盤をスケルトン仕上げにした機械式のクロノグラフ時計だ。ムーブメントを表と裏を反転させた特別設計で、自動巻きの回転ローターを文字盤側に配し、裏からはクロノグラフのコラムホイールやレバーの動きを楽しめる。秒針とフライバック仕様のクロノグラフ針はセンターの同軸にすることですっきりとしたデザインに仕上げた。インデックスや針、見返し部分、ストラップなどにピンクカラーを配して、アルピーヌらしい個性を際立たせている。
もうひとつは「ストリームライナー・アルピーヌ メカニック ピンク エディション」。独特なケースデザインにアナログ表示とデジタル表示を備えたコネクテッドウォッチで、iOSとAndroidに対応する。デジタル表示はGMT、スプリットクロノグラフ、パーペチュアルカレンダー、F1モードなどの機能を備えている。

3月27日、舞台となる鈴鹿サーキット内のパドッククラブでフリー走行を観戦した。午前と午後にそれぞれのチームのマシンの練習走行が行われるのだが、ピットの真上にある観客席から観戦するわれわれはピットからマシンが発進するたびにどよめき、ピットレーンの先にあるストレート通過時に空気を震わせる音圧に熱狂した。いつもより少し高音に感じたが、その理由はあとからわかった。

われわれは走行中にH.モーザーのインターナショナル セールス ディレクターであるニコラス・ホフマンに連れられて、写真はNG、マシンの撮影は正面のみという条件の下、ピット内に入ることを許された。ピット内はアルピーヌチームのマシンが2台収納でき、交代でマシンのタイヤ交換や機械の確認・調整がせわしなく行われていた。いくつものモニターが並び、ドライバーとの会話が聞こえるヘッドホンでクルーたちは状況を共有している。無駄のない動きとコンマ数秒の時間短縮に全身全霊を傾ける本番さながらの臨場感が伝わってきた。
その時に、アルピーヌチームのスタッフが今季のF1のレギュレーションの変更について教えてくれた。2026年のF1は「史上最大級のルール変更」と呼ばれ、マシンの中身や走り方も変わったという。マシンは小型・軽量化され、ストレートでの加速や挙動に変化が見られる。パワーユニットは電動化が一気に進み、Overtakeモード(追い抜き用)やBoostモード(攻防)が追加され、フリー走行ではまだ試行錯誤をしているように見えた。これまでのF1とは異なるサウンドに感じたのもパワーユニットの変更にあった。そしてアルピーヌチームとしては、エンジンを今シーズンからルノーからメルセデスに変更している。

午前と午後の走行の合間にはピットウォークや抽選によるサーキットトラックも行われた。もちろん、ラウンジでは軽食やドリンクを飲みながら、大画面モニターに映るプラクティスを観戦することもできる。パドッククラブでの高い水準のホスピタリティを楽しむことができた。
最後に、BWTアルピーヌF1チームのマネージングディレクターであるスティーブ・ニールセンから、H.モーザーとのパートナーシップについて話を聞いた。
「H.モーザーとのパートナーシップは、大きな意味があります。フォーミュラー・ワンは、サーキットでもファクトリーでもすべて『時間』によって成り立っています。そして設計、製造、レース現場はすべて時間と目標に基づいて進みます。だからこそ時間に対して非常に規律が求められます。そこではH.モーザーが不可欠な存在となっています。
ドライバーはもちろんチームスタッフみんな「ストリームライナー・アルピーヌ エディション」を着用していてレースに臨んでいます。それによって信頼され、期待されていることを感じることができます。われわれもそれに応えようとします。とてもよい関係性だと思います。
時計そのものとしては、表からも裏からも精密な機械構造が見えるところが気に入っています。F1では常に限界に挑戦していますが、H.モーザーの美しく設計された機能性からは同じ思想を感じますね」

日本GPの決勝戦の結果は、ピエール・ガスリーが7位で6ポイント獲得、フランコ・コラピントは16位となった。BWTアルピーヌF1チームとしては、手堅くポイントを積み重ねた。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Kyoko Seko
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