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ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブが開催される会場以外にもジュネーブの市中、郊外のホテルやシャトーを会場にして独自に開催するブランドがある。その中から特に注目した4ブランドをご紹介。
ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブは、ジュネーブ空港近くのパレクスポが会場となって開催される。開催期間に合わせて、市街の中心地ではDJブースやライブ会場が登場し、お祭り騒ぎとなる。同時に、ジュネーブの市中のホテルや、郊外のシャトーを会場にして独自開催する時計ブランド、ジュエリーブランドも多い。ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブは、多くのブランドが集まり、お互いに意識しながら切磋琢磨しているので、次なるトレンドも見つけやすい。一方で、独自開催するブランドは、トレンドを追うというよりも自分たちの理想を追求しているところが多いので、より個性的だ。会場ホッピングしながら、ジュネーブの時計ブティックの多さや名跡といった街の雰囲気に触れると時計文化の理解も深まる。
まずはブルガリの超絶薄型ウォッチから見ていこう。
ブルガリはジュネーブ市内の高級ホテルのフロア全体を貸し切り、新作を披露した。
ラグジュアリーの表現方法は、ジュエリーをふんだんに使った宝飾時計であったり、複雑時計をいくつも組み合わせたコンプリケーションウォッチだったりする。その中で、ブルガリが選んだのは、ケースの薄さを極めることだった。これまでさまざまなカテゴリーで世界最薄の時計を生み出してきて、2022年に発表したオクト フィニッシモ ウルトラではケース厚1.8mmで世界最薄を達成し、ケースの薄さもこれで極まったと思われたが、わずか数カ月後に他社がケース厚1.75mmの時計を発表し、記録を更新されてしまった。
今年はケース厚1.7mmの新作を発表し、世界最薄記録を奪取。しかも、公的機関が高精度を保証するCOSC認定まで取得した。ベゼルとガラスをギリギリまで削りこの薄さを実現しているが、ケース素材のチタンに加え、ケースバックとムーブメントのメインプレートにはより耐久性に優れたタングステンカーバイトを採用して、実用性な強度を確保する。ゼンマイが収まっている香箱上のホイールには、QRコードが刻まれ、個体情報とNFTデジタルアートワークが表示されるようになっている。
フランク ミュラーはジュネーブ郊外のウォッチランドと呼ばれる自社工房のあるシャトーで独自に開催する。新作で出色な出来栄えだったのが、「グランド カーベックス マスター ジャンパー」だ。一般的な針の指針による表示ではなく、開口部の上から時、分、日付の数字のディスクを備え、その数字はジャンプするように切り替わるジャンピングアワー機構を応用した複雑機構によって表示される。
ジャンピングアワーとは19世紀の懐中時計時代に生み出された時間表示スタイルのひとつ。この機械式のデジタル表示は、歯車の動きに合わせてゆっくりと回転ディスクを動かすのではなく、歯車のトルクをバネにためて、時間が来るとバネを解放してジャンプするかのように瞬時に数字が切り替わるという仕組みを採用。分と日付の表示は一の位と十の位で別々のディスクが備わっているため、合計で5つのディスクがジャンピングアワーで表示が切り替わるようになっている。この機構を完成させるために371個のパーツがウォッチランドマニュファクチュールで製造され、それらをマスターウォッチメーカーが組み上げた。
ケースはインナーケースを備える最新のグランド カーベックスを採用して立体的なフォルムを際立たせ、曲面に施されたクルー・ド・パリの古典的な装飾が3つの窓を引き立てている。
フランク ミュラーと同じくジュネーブ郊外のウォッチランドで新作の発表が行われたクストス。今年は人気の「チャレンジ シーライナー P-S オートマティック」に、ホワイトセミラックバージョンを追加。これまでにもステンレススティールにブルーPVD仕様やブラックPVD仕様を展開してきたが、ホワイトセミラックケースでいっそうスポーティな印象を強めた。耐久性に優れ、美しさをキープできるホワイトセミラックに、ブルーのミニッツトラックやスクリューを模したスモールセコンドを配しながら、ムーブメントには甲板に見立てた強靭な耐久性を持つチーク材を採用するなど、洋上におけるリッチなヨットの世界観が詰まっている。
トノー型のケースサイドには、舷窓をイメージした4つの開口部が取り付けられており、内部に浮かぶように取り付けられたムーブメントがのぞけるようになっている。
2024年に創業100周年を迎えたダミアーニ。ジュネーブ市内のホテルのブティックで、ジュエリーはもちろんウォッチの新作がお披露目された。
ウォッチはミモザの花をモチーフにしたアイコニックなコレクションから。エレガントなジュエリーウォッチはベゼルに小花に見立てたさまざまなサイズやカット方法の合計3.44カラットのダイヤモンドをはめ込み、ダイナミックにデザインに表現。ダイヤモンドをランダムにセッティングしているようにすることで、風で小花が揺れているかのような自然な情景を演出する。
文字盤はサンレイ仕上げが施され、文字盤と同じカラーをサテンストラップにも合わせ、コンテンポラリーなデザインに。ムーブメントはスイス製のクォーツムーブメントを搭載。ベーシックなブラック、チョコレート、ブルーから、ファイヤーレッド、ボトルグリーンといったトレンドを意識したカラーも用意される。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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