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日本にいながらにして日常と隔絶された気分になるのが、離島への旅。今回、訪れた長崎・五島列島の福江島も魅力的なデスティネーションのひとつだ。島内ドライブを楽しみ、歴史を想い自然に触れ、クラフトジンを味わって、リゾートゴルフを楽しむ…。島に浸る旅を計画しよう。
長崎港から西へ約100キロに位置し、大小140余りの島々からなる五島列島。古くは遣唐使船の日本最後の寄港地として大陸との交流拠点として栄えた。そして江戸時代には、キリスト教徒が厳しい弾圧を逃れて移住し、信仰を守り続けたという歴史もある。
今回の旅は、五島列島・福江島。長崎空港(あるいは福岡空港)から空路で、五島福江空港(五島つばき空港)へ。長崎港や博多港から船という方法もある。
名所は島内に点在する。公共交通機関で行けるところは少なく、ツアーに参加するのもいいが、風光明媚なスポットも多いからレンタカーでドライブして巡るのが楽しい。
まずは、夕日のスポットとして知られる「大瀬崎灯台」へ。福江港から約1時間のドライブだ。
断崖絶壁の上に建ち、東シナ海を臨む白亜の灯台。訪れた日は、真っ青な空、煌めく海をバックに実に美しい姿であった。駐車場から灯台まで散策することもでき、行きは下りで20分、登りは40分ほどかかる。眺めるなら灯台の周辺にある「灯台を見るための展望所」にて。日中でもこの美しさ、東シナ海に沈む夕景は絶景であろう。
日本有数の美しさを誇ると言われる、白砂のビーチ「高浜ビーチ(高浜海水浴場)」も高台から眺めた。
このように、島内各所で青い空と海、白い雲を堪能できるのを知った。そして、世界文化遺産を含む、カトリックの教会堂(下五島エリアで20の教会群)も点在する。
島内ドライブを堪能した後は、今回の旅の拠点にした、全室オーシャンビューのラグジュアリーホテル「五島リトリート ray by 温故知新」へチェックイン。
大手酒類メーカーを早期退職した3人が移住し、五島のボタニカルでジンを作っていると聞きつけて訪れたのが「五島つばき蒸溜所」だ。
彼らが選んだのは、半泊(はんとまり)という、5世帯だけが住む小さな集落。福江島の中でも、「この先にほんとうにあるのだろうか…?」と、不安になるような細い山道を抜けると、ようやく小さな入り江にたどり着く。かつては信仰を守るために潜伏キリシタンの方々が密かに住んでいた場所だという。
入り江からすぐの半泊教会に隣接する「五島つばき蒸溜所」。ここで、蒸溜家の門田クニヒコさん、ディスティラー/ブレンダーの鬼頭英明さん、マーケティングディレクターの小元俊祐さんの3人だけでジンを造っている。
これまで多くの人たちに愛されるヒット商品を造ってきた彼らが、この地で目指したのは、風景のアロマが香るジン。「GOTOGIN(ゴトジン)」は、印象派の絵画のようなハーモニーの酒だ。
ジンはジュニパーベリーを使うこと以外は製法や使う原料などに決まりがなく自由度が高い酒。風味と、五島ならではの素材ということもありキーボタニカルは五島産の椿のタネにした。ほかに、つばき茶、椿油の搾り粕など五島産の植物のほか、ジュニパーベリー、紅茶や柚子、カルダモンなど17種類のボタニカルを個別に蒸溜しブレンドしている。
「GOTOGIN」は、オンラインストアで購入できるが、口コミなどでその魅力が伝わり、今では3か月以上待ちという人気だ。ボトルは機能美に優れていることが評価され、日本ガラスびん協会主催の「第19回ガラスびんアワード2023」にて最優秀賞を受賞している。
また、2023年は年6回、宮崎駿氏の作品の多くに美術監督として参加している、山本二三氏とコラボレーション。ラベルに合わせ、それぞれ特別な味わいのGOTOGINを限定販売した。
取材には応じてくれたが、3人だけで製造から瓶詰め、ラベル張りや発送作業まですべて行っているため、現在、蒸溜所見学は行っていない。だが、訪れた際に手が空いているときは快く対応してくれる。
取材中、3人が実に楽しそうなのが印象に残った。進化し続ける「五島つばき蒸溜所」、いつかまた訪れたい。
そして、旅の途中に「GOTOGIN」を味わうなら、今回、滞在した「五島リトリートray by 温故知新」のバーへ。島の自然を感じながら、ゆっくりと楽しむことができる。
STAFF
Writer: Fukuko Hamada
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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