隠し玉が続々！！見逃せない秋の新作時計 Part1

これまで新作時計が発表される季節といえば、年初や春先だった。それはSIHHやバーゼルワールドといったスイスで開催される大規模展示会があったからだ。一斉にその年の新作時計を見ることができ、トレンドや注目モデルを見つけることができる、まさしく時計の祭典であった。

しかし、ここ数年は、新作を一挙に発表するのではなく、数回に分けて随時発表されることが多くなってきた。トレンドなどの全体像を把握しづらいものの、年間を通じて新作を見れる楽しみが増えている。

そんな中で、秋は春に次ぐ新作時計の季節になりつつある。今年も多くのブランドから新作が発表された。春の新作は年を通じて売っていきたいフラッグシップモデルが多く、秋は時計愛好家に向けた嗜好性の高いモデルが多い印象だ。また毎年注目される時計界のアカデミー賞と言われるジュネーブウォッチグランプリは、その年の10月末までに商品化されたモデルのみエントリー資格があるので、賞レースにむけて秋口に駆け込みの“隠し玉”が増えたといえるかもしれない。

いずれにしろ、秋の新作時計も見応えのあるモデルが登場した。厳選してその注目モデルを紹介していこう。

PATEK PHILIPPE　ノーチラス Ref.5811/1

2021年にオリーブグリーンダイヤルを最後にして、ステンレススティール製ケースの生産を中止したノーチラス。その後継機として登場したのがホワイトゴール製ケースを纏った新生ノーチラスだ。しかし単純にケースをステンレススティールからホワイトゴールドにしただけではなかった。これまでのケースは3ピース構造だったが、今回から1976年発表のオリジナルモデルにも採用された、ケース本体とケースバック＆ベゼルの2ピース構造へと変更された。これによりサイズも横幅にやや拡大し、厚みもスリム化している。さらにブレスレットは片方で2mmずつ合計4mmの長さを伸ばせるロック可能な調整システムを新たに採用して装着感を高めた。ダイヤルには前作と同じ水平エンボス模様に、外側に向かって濃くなるブラック・グラデーションのブルー・ソレイユを配す。自動巻き。18KWGケース。ケース径41mm（10時から4時方向）。

AUDEMARS PIGUET　ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー 41mm

世界で初めて閏年表示のパーペチュアルカレンダーを発表したオーデマ ピゲ。アイコンのロイヤル オークでも、この複雑機構は搭載され、これまでステンレススティール、チタン、ゴールドといったさまざまなケース素材を採用し、バリエーションを広げてきた。そして新たに追加されたのは鮮やかなブルーセラミックだ。セラミックは酸化ジルコニウムパウダーを原料に焼結させてケースを製造するが、発色よく、色むらが出ないように均一に仕上げるのは高い技術を要する。そうして出来上がったケースをロイヤル オークのトレードマークであるサテン仕上げとポリッシュ仕上げを巧みに使い分けて美しく仕上げた。ダイヤルにもケースカラーに合わせて、エレクトリックブルーを施した。ブルー単色ながら、カレンダーの３つのサブダイヤルやムーンフェイズはバランスよく並び、アワーマーカーや針には蓄光処理が施されているので、読み取りやすいデザインとなっている。限定生産ではないものの、生産本数は限られているため入手は困難だ。自動巻き。セラミックケース。ケース径41mm。

BVLGARI　オクト フィニッシモ スケルトン エイトデイズ

今年で8度目のワールドレコード達成など、薄型ケースに挑戦し続けるブルガリのオクトシリーズ。この秋にロングパワーリザーブを備えた新たなバージョンが追加された。厚さ5.95mmの薄型ケースに約8日間のパワーリザーブを備えた機械式ムーブメントを収め、ダイヤルはスケルトン加工にすることでその薄さを感じさせない立体感を演出する。芸術性の高いスケルトンダイヤルに仕上げながら、アンスラサイト加工された地板にゴールド製のアワーマーカーや時分秒の針でコントラストをつけて視認性を高めている。地板の隙間からは12時位置にロングパワーリザーブの動力源となる大型の香箱や歯車の動きを見ることができる。また7〜8時位置にはスモールセコンドと、ゴールド製のパワーリザーブインジケーターを備える。手巻き。セラミックケース。ケース径40mm。

HUBLOT　ビッグ・バン ウニコ ブロンズ

アイコンモデルのビッグ・バンから日本限定のブロンズケースモデルが登場。ケースやベゼルにブロンズを採用し、独特の風合いを表現した。ダイヤルのインデックスやチタン製ビスはブラックの着色でデザインを引き締め、エイジング加工されたカーフストラップと組み合すことで、独特の質感を演出する。ウブロはケース素材にセラミックやチタンやサファイアといった、美しさが長く持続する素材を好んできた。それだけにエイジングが施され、さらに経年変化していくブロンズモデルは新鮮だ。ケースはワンクリックシステムで簡単にストラップを交換でき、交換用にブラックラバーストラップも付属する。ファッション感覚で楽しめる1本といえそうだ。日本限定77本。自動巻き。ブロンズケース。ケース径44mm。

BLANCPAIN　フィフティ ファゾムス バチスカーフ フライバッククロノグラフ

現代のダイバーズウォッチの基礎を築いたブランパンのフィフィティ ファゾムス。その中でも1956年モデルをルーツとする「バチスカーフ」はモダンさを特徴とする。新作ではチタン製のケース&ブレスレットの一体型スタイルに、自社製のフライバッククロノグラフを搭載。垂直クラッチ式を採用したコラムホイールで制御するクロノグラフで、時計の精度を司る心臓部にはシリコン製ヒゲゼンマイを採用する高性能ムーブメントだ。ケース＆ブレスレットに採用されるチタンは、グレード23チタンと呼ばれる、グレード5チタンの高純度バージョンとして医療用にも使われる最高級素材。サテン仕上げのチタン製で、セラミックインサートの回転ベゼルの目盛りにはリキッドメタルを採用し、長く美しさを楽しめる素材の魅力を際立たせている。自動巻き。チタンケース。ケース径43mm。