A.ランゲ&ゾーネの完璧主義と再興の歴史

PR/A.ランゲ&ゾーネ

ドイツ製品は精密かつ頑強で実用的というパブリックイメージが強い。まさしく質実剛健という言葉に集約される。そして、その言葉に最もふさわしいブランドが、A.ランゲ&ゾーネだ。 歴史に翻弄されながら、愚直なまでにドイツ品質を維持し続けるその実力に迫る。

SPECIAL Jul 27,2023
A.ランゲ&ゾーネの完璧主義と再興の歴史

一度はブランドの歴史が途絶えながら、見事に復興を果たしたA.ランゲ&ゾーネ。現在ではドイツ国内の高級ブランドランキングで長年1位に君臨する高級時計ブランドだ。しかし、そこにたどり着くまでには困難な試練を乗り越えなければならなかった。

A.ランゲ&ゾーネというブランド名は「アドルフ・ランゲと息子たち」を意味する。フェルディナンド・アドルフ・ランゲが1845年にドイツ・グラスヒュッテで時計工房を創業し、その後、長男リヒャルト、次男エミールが加わったことが由来。アドルフは修業時代にはドレスデンのゼンパー歌劇場に五分時計を設置した名うての時計師として知られ、息子たちが加わる頃にはグラスヒュッテを時計産業の一大拠点に成長させた実業家でもあった。しかし、第二次世界大戦で本社を焼失、終戦後は東ドイツ政府に資産を接収され、ブランドは消滅を余儀なくされる。

デジタル表示の「五分時計」の画像
当時ヨーロッパ最大級のオペラ劇場だったドレスデンのゼンパー歌劇場に設置されたデジタル表示の「五分時計」。創業者アドルフと師匠で宮廷時計師のヨハン・フリードリッヒ・グートケスが共同製作したものだ。新生ランゲを象徴する独自機構のアウトサイズデイトのモチーフとなった。

転機が訪れたのは1989年11月、ベルリンの壁崩壊。その時、西ドイツで雌伏の時を過ごしていたアドルフの曽孫ウォルター・ランゲと、IWCのCEOであったギュンター・ブリュームラインが立ち上がり、東西ドイツが統一されるとすぐにA.ランゲ&ゾーネの再登記と商標登録を行った。そして1994年には復興コレクション第1弾として4モデルをリリースしたのである。

その中でブランド復興の象徴となったのが「ランゲ1」だ。非対称で黄金比に基づく均整の取れた文字盤デザイン、テンプ受けのハンドエングレービングの装飾、ムーブメントの堅牢性を保つ4分の3プレート、一度組み立てたムーブメントを分解して再度組み立てる二度組みなど、ウォルターの情熱が注がれた時計は世界中から称賛を浴びた。そして伝統を継承しながら、現在はその殻を打ち破る新機軸のステンレススティール製モデルを発表するなど着実かつ独自に歩みを進める。歴史の試練は長く苦しかったはずだ。しかしその空白期間にA.ランゲ&ゾーネの時計作りには、揺るぎのない哲学が醸成された。だからこそ、その時計は完璧で、迫力に満ちているのだ。

ハンドエングレービングの画像
職人の個性が出るハンドエングレービング。テンプ受けというパーツは、エングレーバーによって手作業の装飾が施される。装飾を手掛けるエングレーバーには、それぞれの作風があり、どの時計も一点ものとなる。
A.ランゲ&ゾーネを深く知るための
出来事と時計の独自性の画像
左/A.ランゲ&ゾーネは、すべての時計のムーブメントを一度組み立て、正常に機能するかをチェックすると分解してしまう。その後、装飾など施してから再度組む「二度組み方式」を採用する。それは完璧な時計を追求するためのこだわりとなっている。 右/1990年に復活を果たしたA.ランゲ&ゾーネは、1994年10月24日にドレスデン王宮を会場として、復興後初となるウォッチコレクションの4モデルを発表。一番左の「ランゲ1」のパネルの後ろに立つギュンター・ブリュームラインと、その右の「アーケード」のパネルの後ろに立つウォルター・ランゲが復興の立役者となった。

復活を象徴するアシンメトリーデザイン

ランゲ1

ランゲ1の画像
手巻き。ケース径38.5㎜。18Kホワイトゴールドケース。¥6,105,000。

オフセンターに配置された2つのインダイヤルに、パワーリザーブ表示とアウトサイズデイトを備えるデザインは、機能が独立していて視認性も高い。シースルーバックからは手作業で丹念に仕上げられたムーブメントが見られる。

創業者の誕生年を冠したドレスモデル

1815 アップ/ダウン

1815 アップ/ダウンの画像
手巻き。ケース径39㎜。18Kホワイトゴールドケース。¥4,939,000。

1815とはアドルフ・ランゲの生誕年にちなんでおり、アラビア数字やレイルウェイでクラシックにまとめた。8時位置には特許を取得したパワーリザーブ表示のAUF/ABを配置。72時間パワーリザーブ。

一切無駄を省いた究極の薄型2針時計

サクソニア・フラッハ

サクソニア・フラッハの画像
手巻き。ケース径37㎜。18Kピンクゴールドケース。¥3,366,000。

ケースの厚みは5.9㎜とブランドの中で最も薄い。バーインデックスと2針のみのシンプルなデザインで、究極のドレスウォッチに仕上げた。パワーリザーブは72時間も備え、実用性が高い。

2代目にちなんだ高精度ウォッチ

リヒャルト・ランゲ

リヒャルト・ランゲの画像
手巻き。ケース径40.5㎜。18Kピンクゴールドケース。価格は要問い合わせ。ブティック限定。

科学者で発明家でもあった2代目リヒャルトの名を冠する。科学観測用のデッキウォッチがモチーフで、長い秒針や自社製ヒゲゼンマイが高精度を象徴する。

A.ランゲ&ゾーネ年表

1815年

創業者フェルディナント・アドルフ・ランゲがドイツ・ドレスデンに誕生。

1830年

アドルフが宮廷付き時計職人となるヨハン・フリードリッヒ・グートケスの元に徒弟奉公に出る。

1837年

徒弟奉公を終えてパリへ赴き、クロノメーター製造技術を持つ時計師の工房を訪ね歩く。

1841年

ドレスデンに戻り、グートケスと共同でドレスデンのゼンパー歌劇場のために「五分時計」を製作。

1845年

グラスヒュッテに移住し、“A.Lange&Cie”という名で創業。

1864年

ムーブメントの安全性を高めるために、4分の3プレートを開発。

1868年

息子のリヒャルト・ランゲや3年後に加わる弟エミールも経営に参画し、社名を「A.Lange&Söhne(ランゲと息子たち)」に変更。

1882年

動力伝達機構にチェーンフュジーを使ったクロノメーター懐中時計を発表。

1898年

ドイツ帝国皇帝ヴィルヘルム2世がコンスタンチノープルを公式訪問した際にA.ランゲ&ゾーネの懐中時計を贈呈。

1924年

アドルフ・ランゲの曽孫にあたるウォルター・ランゲが誕生。

1945年

終戦前日のソ連軍の空襲でランゲの本社工場が焼失。

1948年

東ドイツ政府により会社が接収され、グラスヒュッテ国営時計会社に統合される。ウォルターは西ドイツへ脱出。

1990年

東西ドイツ統一後、ウォルターはグラスヒュッテに戻る。12月7日には会社を設立して、A.ランゲ&ゾーネを再び商標として登録。

1994年

ドレスデンの王宮で復活コレクションとして4モデルを発表。

1997年

新生ランゲ初の自動巻きムーブメントを搭載したランゲマティックを発表。

1999年

最高精度の機械式クロノグラフと称されるダトグラフを発表。

2001年

昔の本社工場を買い戻し、再び時計が製造されるようになる。復興後初の永久カレンダーモデルを発表。

2010年

「F・A・ランゲに捧げる165年」と題した記念モデルを発表。

2015年

地熱発電機を備えた新工場が完成。

2019年

初のステンレス製のレギュラーモデル「オデュッセウス」を発表。

2020年

創業175年を記念したアニバーサリーモデルを発表。

お問い合わせ先
A.ランゲ&ゾーネ ブティック 銀座
03-3573-7788

●掲載商品の価格はすべて、税込み価格です。

初出:2023年7月1日発行『AdvancedTime』17号。掲載内容は原則的に初出時のものです。

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