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沖縄の贅を尽くし、圧倒的な非日常の世界へとトリップさせてくれる「星のや沖縄」では今回、古くから沖縄に伝わる伝承野菜のもつ力に着目し、医食同源の知恵を取り入れ、「健やかな美」へと導いてくれるディナーコースを提供。沖縄の豊かな食材とイタリア料理の技法をかけ合わせた、今、ここでしかできない食の体験をリポート。
世の中に大人の愉しみは数あれど「おひとりさまホテルステイ」ともなると、その最高ランクに位置づけされるのではないだろうか。「ひとりホテルステイ」=最上級の「旅」。旅があるからこそ、また日常を大切にできる。日常があるからこそ、旅がまた楽しみになる。そんな大人の旅好きの間で、移動や観光のための旅ではなく、ある目的のためだけのホテルステイ=「目的」旅が主流になりつつあるのをご存じだろうか?
今回のその「目的」はこれ一択!沖縄ラグジュアリーの最高峰「星のや沖縄」にて、来年2026年2月いっぱいまでしか味わえない期間限定のフルコースディナー。今年の夏に訪れてからというもの、このレストランを訪れるためだけにまた沖縄に行きたい!と恋い焦がれてきたのが「琉球ガストロノミア~Bellezza(ベレッツァ)~」。そのコンセプトはなんと、沖縄の食文化とイタリアンの技を融合させ、食材のもつ力で「健やかな美」へ導くという、まさにここでしか味わえないもの。今回も期待感いっぱいでまずはチェックイン。
「海を眺めて暮らすように滞在する」がテーマの「星のや沖縄」は全室がオーシャンフロント。目の前には1kmもの自然海岸が見渡せ、遠浅の海のブルーと浜辺のサンドベージュがどこまでも広がり、季節を問わずいつでも海を肌で感じられる。荷物をほどいたら、早速プールエリアへ。こちらのインフィニティプールは加温式の通年型屋外プールで、冬期にはあちこちにランタンが配置され、星空を温かいプールサイドで眺められるホットプールに。沖縄といえども冬はさすがに日没も早く、満点の星を見上げながらアペリティフにいただく泡盛はまた格別。さて、そろそろいよいよお目当てのディナータイム。

ダイニングに一歩足を踏み入れるとまずその天井の高いこと!海と砂浜を思わせるブルーと白を基調とした内装は、すっと心が鎮まるような荘厳な雰囲気で、美食への期待感も最高潮に。すぐそこに海がありながらも窓全体をオーシャンフロントにしていないのは、海を感じながらもこの時間だけはテーブルの上に意識を集中し、食事を心ゆくまで堪能してほしいという思いから。

今回の秋冬限定スペシャルディナーは「沖縄の伝承野菜がイタリア料理と出会う」をテーマにした、全9品からなるコース。沖縄には古くからパパイヤや自然薯など、諸国との交易を通じて根付いてきた食材が存在し、こうした今も親しまれる伝承野菜に、イタリア料理の技法で新たな息吹を吹き込むというのが「琉球ガストロノミア~Bellezza~」ならではのチャレンジだ。

さてここで「クスイムン」という沖縄の言葉をご存じだろうか?「クスイムン」とは医食同源の意味で、古く琉球王朝時代の食医学書にその教えがあるという。今回の試みではこの「クスイムン」の考えと「Bellezza(ベレッツァ=イタリア語で美の意)」に着目し、「美」と「食」を見事に融合させている。

さて、ペアリングのワインとともにいよいよコースが始まり、サーブされたのがたとえばこの「青パパイヤのアッルンガータ」という一皿。18世紀に中国から台湾を経て沖縄に伝わったとされるパパイヤは、豊富なビタミンとタンパク質分解酵素を含み、美肌効果も大いに期待できる。その熟す前の青パパイヤのシャキシャキとした食感を生かしつつ、琉球王朝の宮廷料理でも珍重された高級食材・イラブー(ウミヘビ)のブロード(だし)にシークヮーサーを加えたチーズの風味で、ペアリングのロゼワインとも絶妙にマッチ。


お次は「クーガ芋のキタッラ 軟骨ソーキのラグー」。1000年以上前から沖縄で収穫されてきた「クーガ芋」は自然薯の一種で高い栄養価と強い粘り、甘みが特徴。その滋味深い自然薯を手打ちパスタに練り込み、イタリア中部の郷土料理「キタッラ」に。さらにそこに豚肉の軟骨ソーキのラグーソースを合わせ、ピパーチ(島胡椒)で香り付けし、沖縄食材を絶品イタリアンに仕上げている。










そのほかにも冬に旬を迎える沖縄伝承野菜のニンジンやシブイ(冬瓜)、古くから貴重な高タンパク源とされてきたヒージャー(ヤギ)を使った料理のかずかずは、島の生命力そのものをいただいているかのような、しみじみとした奥深さ。「ひと株食べると一日長生きする」とされるサクナ(長命草)や沖縄特有のやわらかなよもぎ「フーチバー」など、命草(ぬちぐさ)と呼ばれ、今も暮らしに根付いている島ハーブのほかに、ジーマーミ(落花生)やカラキ(琉球シナモン)など滋養と薬効にすぐれた貴重な沖縄食材を、ヘルシーでありながらひとくちごとに刺激にあふれた、どこまでもフレッシュなイタリアンに仕立てているのがなんとも心憎い。弾けるような沖縄の冬の恵みとパワーを心身ともにチャージしながら、一年の終わりを言祝ぎつつ、すでにして来年の再訪を固く心に誓っているのだった。
STAFF
Editor: Maki Ikame
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