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堅苦しくなく、軽やかに、華やかに、そして何より自由に!今こそ、他者のためではなく自分のために「ネクタイの美しさを、自由に楽しむ」という発想の転換を。
ネクタイとは美しさを表すと同時に、他者への敬意を示すものだ。
女性にとってのハイヒール(#KuToo)が、男性にとってのネクタイなのだろうか。どちらもそれぞれの性を如実に表す着用物だ。むろん、このご時世、女性がネクタイを巻き、男性がハイヒールを履くことへ異論をはさむ余地がないことをみな知っている。
男性は#KuTooに先駆け、ネクタイから解放されたかのように見える。ネクタイをしないで済むようになったのは、2005年の小泉内閣時代に端を発すクールビズが由。夏場の軽装によりエアコンの温度設定を上げ、地球環境を保護しよう、というのがその狙いだった。クールビズの善し悪しはともかく、男性の装いにおいて自由度が増したことは事実だろう。
ならば今こそ、他者のためではなく自分のために「ネクタイの美しさを、自由に楽しむ」という発想の転換をしてみてはいかがだろうか。
そもそもネクタイとはなんぞや。ネクタイの起源は、諸説ある。紀元前2000年紀のヒッタイトの時代から人は首に何かを巻いていた。同1700年頃には古代エジプト人、同200年代には中国の兵馬俑も何かを巻いていた。そこから時代は流れ、17世紀のヨーロッパで起きた30年戦争時、クロアチアの軍人はスカーフを巻いていた。そのスタイルで彼らは傭兵としてフランスを訪れた。国王であるルイ14世がその美しさに目をとめて「あれは何だ?」と訊く。側近はスカーフではなくクロアチア兵士について尋ねられたと勘違いし「クラバット(cravat)です」と答えた。フランス語の「cravate(ネクタイ)」の語源とされる。それが英国王朝にわたり、世界に広がった。要約するとネクタイとは美しさを表すと同時に、階級や所属を示すものということ。
そこから男性は解放された、のだろうか。答えはわからない。しかし階級や所属を示す必要が無い現在、他者のためではなく自分のために、ぜひとも紳士諸兄にはネクタイの美しさを存分に楽しんでいただきたい。
仕事でネクタイをもっと結ぼう!という話ではない。休日にパートナーや家族と出かける際にサラリと自然に巻いてみてはいかがだろうか。堅苦しくなく、軽やかに、華やかに、そして何より自由に! もちろん、その場に即したネクタイ選びが肝要。クールビズで経験したように、往時のビジネスシャツのボタンを開ければ完成とはならず。まずは寛いだ雰囲気の、ニットタイがおすすめだ。春夏ならコットン、秋冬ならウールかカシミア。年中使えるのはシルク製のものだろう。
着こなしに必要なのはもちろん襟付きのシャツ。こちらもビジネス向けの襟に芯材が入ったかっちりしたものではなく、ボタンダウンなどやわらかいものを選びたい。生地も光沢のある高番手糸ではなく、ふんわりとやさしいものを。モールスキン、コーデュロイ、シャンブレー、デニム、オックスフォードがおすすめだ。タイドアップして品を出したから、ボトムはデニムで寛ぎを、アウターは紺ブレで品をさらに増すのもいい。ミリタリーやサファリジャケットで適度なラフさを加えて装いに深みを出すのも大いにありだ。「自由で軽やかで華やか」なネクタイで人生はもっと豊かになる。
カジュアルなシーンでこそネクタイをする、タイドアップが効果的だ。が、ビジネスでお使いのネクタイをそのまま使ってもチグハグになってしまう。こちらのようなシルク製のニットタイがおすすめ。結び目は軽快さを出すためにプレーンノットで。結び目は小さく、細長くを意識して。
初出:2019年09月23日発行『AdvancedTime』02号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photo: Shin Kimura
Styling: Akihiro Shikata
Editor: Takashi Ogiyama
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