14歳から、ずっと「ギタリスト」

ギタリスト/プロデューサー/作詞・作曲家
布袋 寅泰

Advancedなスタイルを持つ人、その2人目として、フィーチャーするのは、日本を代表するギタリストである布袋寅泰さん。50歳にして英国に移住し日本と海外で精力的に活動する音楽家はティーンエイジャーから今日まで変わらぬ夢追い人でした。

LIFESTYLE Dec 4,2021
14歳から、ずっと「ギタリスト」

“突き抜けるような風やエネルギー、それがギター、そしてロックの力”

布袋寅泰さんの画像

布袋寅泰、その名を見聞きしただけで、心躍る40代、50代も多いに違いない。1980年代、日本のポップス&ロック史に燦然と輝くバンド、BOØWY(ボウイ)のギタリストとして脚光を浴び、BOØWYが人気絶頂期に解散した後は、吉川晃司とのユニットCOMPLEX(コンプレックス)などを経て、主にソロアーティストとして活躍。クエンティン・タランティーノ監督作品『キル・ビル』にも採用され世界中に知られた「新・仁義なき戦い。のテーマ(BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY)」を筆頭に、数多くのヒット曲やアルバムを世に送り出してきた。

そんな彼が5月にリリースした最新アルバム『GUITARHYTHM VI(ギタリズム・シックス)』。1988年の第1作以来、布袋の音楽的アイデンティティであるギター(GUITAR)と、音楽の核である「リズム(RHYTHM)」を組み合わせた造語「GUITARHYTHM」をタイトルとした作品群は、彼のディスコグラフィーにおいて重要なシリーズとなっている。

「今回、制作にとりかかった当初は、GUITARHYTHMというタイトルは浮かんでいませんでした。初めてのソロ作品『GUITARHYTHM』は、自分の原点であるアヴァンギャルドな志向を表現しています。音楽をつくるツールとしてはまだ使い勝手がよくなかった、時に暴走するコンピュータに、僕がギターで一筆書きのように合わせて、一発録りに近い形で仕上げました。

あれから30年、コンピュータというツールは便利どころか、我々をある意味で支配し始めています。一昨年、映画『ブレードランナー 2049』が公開された折、改めて最初の『ブレードランナー』を観直したのですが、作品の舞台設定が2019年なんですね。そこから〝あの日見た未来〟というキーワードが浮かびました。クルマこそまだ空を飛んでいませんが、レプリカントという存在は、AIやVRとして現実のものとなっています。僕らはあの作品が描いた未来に今いるわけで、そのことを、原点に返って変わらぬ自分のギターと肉体によって描いたらどうなるか、と考えたのが、今回のGUITARHYTHMの始まりでした」

2012年より、妻の今井美樹や娘とともに、生活と活動の拠点をロンドンに移した布袋。『GUITARHYTHM VI』の多くもロンドンで手がけられているが、収録曲は日本語の歌詞が中心となっている。

「日本語ゆえの表現の幅を重視しました。ロンドンに移って7年ですが、英国やヨーロッパでライブを繰り返していると、英語より日本語で歌ったほうが受けが良かったりするのです。音楽に気持ちが乗るというか、言葉にスピード感が出る。新作ではかつてのSFが描いたような状況に警鐘を鳴らすだけではなくて、混沌、絶望、未来、自由といった言葉をちりばめながら、さらに突き抜けるような風やエネルギーを生み出したい。それがギター、そしてロックの力だと思っています」

“いつか世界に、という夢を、今も追いかけている”

また、往年のファンにとっては、元BOØWYメンバーの松井常松や高橋まこととの共演も注目だ。

「彼らとはずっと交流がありましたが、一緒に音を出したのは、東京ドームでのBOØWY『LAST GIGS』以来で、31年ぶりです。ロンドンの小さなスタジオに集まって、せーの、で演奏を始めた瞬間から3人とも笑顔で。まるで旧知のテニス仲間が何十年ぶりかでラリーを交わすような清々しさがありました。おじちゃんになったけどみんな、少年のままで」

こう語る布袋に、こんな質問を投げかけてみた。実年齢とは別に、今、自分を何歳と感じるのか。

「14歳でしょうか。その歳に僕は音楽と出合いギターを始めて、今もそのままギタリストです。19歳でデビューしてからは、バンドの解散があったり、夢が叶ったり挫折したり、50になってロンドンに行ったり、いろんなことがあったわけですが、14歳の時に投げた、いつか世界に行きたいという夢のボールを、今も捕りに行っている感じがしています」

NEW ALBUM 『GUITARHYTHM VI』

NEW ALBUM 『GUITARHYTHM Ⅵ』の画像

GUITARHYTHM Ⅴ』から10年を経た最新の「ギタリズム」。今回はギターや作詞・作曲などとともに、レコーディング等エンジニアリング面も布袋自身が携わっている。MAN WITH A MISSIONやCorneliusなどコラボレーターも多彩で、ギターサウンドを軸に、より幅広い音楽性が追求されている。

PROFILE
ギタリスト/プロデューサー/作詞・作曲家 布袋 寅泰
ギタリスト/プロデューサー/作詞・作曲家
布袋 寅泰

日本のロックシーンに多大な影響を与えたBOØWYのギタリストとして活躍後、1988年に『GUITARHYTHM』でソロデビュー。プロデューサーや作詞・作曲家としても活動し、自身が音楽を手がけた映画『新・仁義なき戦い。』などでは俳優も務めている。2012年より家族とともに英国・ロンドンに移住。
その後は日本と海外双方で精力的に活動している。
現在『HOTEI Live In Japan 2019 〜GUITARHYTHM VI TOUR〜』を敢行中。

初出:2019年06月29日発行『AdvancedTime』Special Issue 01号。掲載内容は原則的に初出時のものです。

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