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“ブリオーニ”のマスターテーラーが直接顧客と対話し、受注を行う「グランドツアー」が、この9月に開催される。継承され進化する最高峰のテーラリング技術に直に触れ、自身最上の一着を仕立てる絶好の機会といえる。
イタリアの“ブリオーニ”が、メンズファッションにおける「ファッションショー」の先駆者であるというのは、あまりに有名な逸話だ。1952年、フィレンツェのピッティ宮殿内「サラビアンカ」で開催されたのは、モデルがランウェイを歩く、現代のそれとほぼ同様のスタイルのショーだった。その他にも“ブリオーニ”はこれまで、服づくりから販売方法まで、テーラード・ウェアの世界を拡げ、先に進めるような取り組みをさまざま行ってきた。最近ならば、“ブリオーニ”の工房があるイタリア・ペンネに開校したテーラリングの学校「スクォーラ・ディ・アルタ・サルトリア・ナザレノ・フォンティコリ」なども、一例として挙がるだろう。

現在「トランクショー」は、服や靴などのオーダーメードにおいて、そのつくり手がサンプルなどをトランクに収め、さまざまな国や街を訪れて顧客に披露し受注する形態として一般化しているが、この方法も、もしかしたら“ブリオーニ”が先駆けかもしれない。1950年代、“ブリオーニ”の創業者のひとりであるガエターノ・サヴィーニ氏は、先述した「サラビアンカ」でのショーの成功を受けて、各地で同様のイベントを開催。現在も同社のアーカイブに残るトランクとともに40カ国以上を巡ったという(書籍『Brioni TAILORING LEGENDS』の記述より)。

2020年からは「グランドツアー」という名で、“ブリオーニ”はグローバルトランクショーを行っている。この「グランドツアー」では、チーフマスターテーラーを務めるアンジェロ・ペトルッチ氏が各地を巡り、顧客を迎えるという。アブルッツォ州ペンネ出身のペトルッチ氏は、13歳で同地にある“ブリオーニ”の工房に弟子入りし、1994年、23歳でAccademia Nazionale dei Sartoriの「イタリア最優秀テーラー、パターンメーカー、カッター」賞を受賞した。これまで多くの国家元首の採寸を手がけてきたというペトルッチ氏は、「ブリオーニの卓越したテーラリングには多くの秘密があり、さまざまなテクニックを使って、例えば背を高く見せたり、スリムに見せたりできます。着用者の外見をより魅力的に見せ、さらに印象的にすることができます」と、その高度な仕立て技術が実現する価値について語っている。

そして今回香港からスタートする「グランドツアー」が、9月の24日(木)から27日(日)まで、東京で開催される。ペトルッチ氏が来日し、リージョナルテーラーとともに顧客に対応する。今回はビスポーク(フルオーダー)のほか、より提案の幅が拡がったパーソナライゼーションサービス「ス・ミズーラ」も展開される。“ブリオーニ”の特徴のひとつといえる、限定ファブリックも含めた幅広い生地のバリエーションも大きな魅力だ。“ブリオーニ”が掲げている「スローラグジュアリー」、その価値観を最も端的に表現しているものがオーダーメードサービスであり、この「グランドツアー」は、“ブリオーニ”の真髄を味わうことができる機会といえるだろう。
AUTHOR
『エスクァイア日本版』(エスクァイア マガジン ジャパン)編集部を経て、『メンズプレシャス』(小学館)などでメンズファッションやデザインプロダクト、カルチャー等の企画を担当。それらの傍ら、紳士靴の雑誌『LAST(ラスト)』を創刊し編集長を務める。現在は『Advanced Time』本紙とオンラインのほか、さまざまなメディアにて、ファッションやライフスタイル分野でエディターまたはライターとして活動している。
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
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