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英仏の老舗シューズブランドが提案する新しい靴は、さまざまなシーンや着こなしで活躍しそうな存在感。それは若い層だけでなく、革靴に親しんだ人にとっても、魅力的に映る。
メンズファッションの一大見本市ピッティ・イマジネ・ウォモ、ミラノとパリのメンズファッションウィーク、またはテキスタイルの見本市であるミラノ・ウニカなど、1月はメンズファッション界隈にとって旅のシーズンといえる。そしてSNSなどで披露されている、服の達人たちの旅の装いを見ていると、改めてスマートな旅のスタイルとはどういうものか、と考えさせられる。
20世紀初頭の優雅な船旅ならいざ知らず、現代の旅においては、たとえジェットセッターであっても、携行品はなるべく最低限にして、動きやすいことが大切だろう。さらに旅先ではビジネスミーティングだけでなく、会食やパーティなど、さまざまなアクティビティにフットワーク軽く、気後れせず臨みたい。そのための装い、とくにフットウエア選びは難しい。軽快に移動するだけならスニーカーでいいかもしれないが、会食の場などもそれで通すのは少し抵抗がある。活動性とドレス性、そのバランスはなかなかとりづらい。

そうした二項対立的な、「旅での靴問題」の解決策となりそうなフットウエアの情報が、相次いで届いた。ひとつは、英国製高級既製靴の老舗として知られる“Church’s(チャーチ)”が発表した新しいコレクション「Roadrunner(ロードランナー)」だ。
その特徴は、“チャーチ”の定番的なモデルのアッパーに、スニーカーライクな軽量EVAソールを組み合わせた構造にある。こう書くと、そうしたハイブリッドな靴はこれまでも数々登場してきたと指摘されそうだが、この「ロードランナー」は、そのハイブリッド感が抑制的なのが、従来と異なるところといえる。アッパーのデザインやつくりは、例えば人気モデル「シャノン」などに基づいた、クラシックな革靴のそれ。その一方でボトム(靴の下部)には、高濃度の空気とゴムを混合した、超軽量で非常に柔軟なコンパウンドを使用したウェッジソールを、アッパーと一体感をもたせた形で配置している。

展開モデルは、クラシックなローファー「ペンブリー」から着想された「ロック フェリー」、同ブランドのアイコンともいえるプレーンダービー「シャノン」と同様のハンドステッチが配された「レッドルース」、ブローグダービー「グラフトン」がベースの「リングマー」、人気のチェルシーブーツ「アンバーリー」をモディファイした「ロザラム」の4モデル。路面状況が悪い時などに、愛用の定番モデルのリリーフとして選ぶのもいいかもしれない。

もうひとつは、フランスの高級既製靴ブランドとして知られる“J.M. WESTON(ジェイエムウエストン)”が発表した「WESTON&SONS(ウエストン&サンズ)」。「〜&サンズ」とは、英語圏の老舗企業名のようだが、その名称からは、“ジェイエムウエストン”の価値を、次世代にむけて継承・発展させるという意図が窺える。
「ウエストン&サンズ」として今回発表されたのは、シューズ(#292)とアンクルブーツ(#293)の2モデル。いずれも“ジェイエムウエストン”の定番モデル「ゴルフ #641」から着想された、ダービー(外羽根)で、エプロンフロント(Uチップ)のデザインだ。レースステイ基部の角型のステッチは「ゴルフ #641」と同様のディテールを採用する一方で、甲部のモカステッチは「ゴルフ #641」に比べて細かなピッチで縫われている。

アイレットは表ハトメを採用し、英国のカントリー系やワーク系の靴などに見られる4アイレット(シューズ)と7アイレット(ブーツ)の仕様。そしてストームウェルトと厚みがありながら軽量なノッチドラバーソールを採用した、ボリューム感があるボトムが「ゴルフ #641」と大きな違いといえるだろう。デザインにラギッドな要素を盛り込みつつ、よりシンプルな印象で、現代において幅広い装いやシーンで使える靴に仕上がっている。ちなみにアッパーの革はブラックソフトカーフ、このストイックな雰囲気もまた、現代のフットウエアに求められる資質のひとつといえる。
“チャーチ”の「ロードランナー」、“ジェイエムウエストン”の「ウエストン&サンズ」、いずれもトラベルシーンでの活躍に限らず、クラシックな装いからモードなアイテムとの着こなしまで、多彩な履き方ができるユニバーサルな存在感がある。そのキャラクターは、革靴にまだ親しんでいない若い層にアピールするものといえるが、実は成熟した感性の持ち主こそ、それらの真価がより深く理解できるのかもしれない。
AUTHOR
『エスクァイア日本版』(エスクァイア マガジン ジャパン)編集部を経て、『メンズプレシャス』(小学館)などでメンズファッションやデザインプロダクト、カルチャー等の企画を担当。それらの傍ら、紳士靴の雑誌『LAST(ラスト)』を創刊し編集長を務める。現在は『Advanced Time』本紙とオンラインのほか、さまざまなメディアにて、ファッションやライフスタイル分野でエディターまたはライターとして活動している。
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
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