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羽田空港から飛行機だと約1時間で到着する八丈島。本島から遠く離れた島でも、れっきとした東京都の一部だ。この離島で初冬のアクティビティを満喫した。
八丈島は本州から南方へ287キロメートル離れた伊豆諸島のひとつ。日本の国立公園の中の「富士箱根伊豆国立公園」に属す自然が豊かな島だ。東山と西山のふたつの火山がくっついたひょうたんのような地形の特徴で、海岸沿いの整備された道路を辿ると、島の外周は約60キロメートルに及ぶ。
東京から飛行機を使えば1時間ほどで到着するので、手軽にリゾート気分を味わえるのがいい。この離島が東京都の一部であることが信じられない。八丈島をはじめとした伊豆諸島は、八丈島から船やヘリコプターで行ける第2次離島の青ヶ島もあったりと、東京の離島は隠れたディープスポットといえる。
島旅と言えば、サマーシーズンのマリンアクティビティを思い浮かべるが、今回のトリップは火山が生み出した自然を堪能したいと思った。11月の中旬だというのに、暖流である黒潮の影響を受けて気候も穏やかで、深い緑を生み出している。沖縄のようなむせ返るほどの空気の密度でもなく、北海道の野付半島のような荒涼とした大地でもなく、心地よい気候だ。今年10月には2度にわたる台風が直撃し、断水や建物の倒壊で災害の爪痕が残るが、徐々に日常を取り戻しつつある。

八丈島で島の自然を堪能し、歴史・文化を理解しながら、八丈島のラグジュアリーステイを楽しむことが目的だ。またANA Pocketというアプリで、島での移動によってポイントを貯めANAのマイル獲得も同時に進行させた。

まずは八丈島の歴史・文化から。
最初に立ち寄ったのは、改修工事を終え、今年9月にリニューアルオープンしたばかりの八丈島歴史民俗資料館。近年注目を浴びている縄文時代の遺跡から、流刑地としての歴史や島の特産品である黄八丈の製法、織物のサンプルなどがわかりやすく展示されている。
八丈島について、多くの人が思い浮かべるのは流刑地としての歴史だろう。この資料館によると、八丈島に最初に流罪となったのが、豊臣五大老のひとり宇喜多秀家だった。1600年の関ヶ原の戦いで西軍の主要メンバーとして徳川家康と戦い、敗北した。九州まで逃れたが結局捕まって流罪となった。そこで八丈島に流されるわけだが、流刑地として罪の軽いものは大島・新島、その次が三宅島となるが、宇喜多秀家は最も重いとされる八丈島へと流された。面白いことに、島に到着して何か過酷な労働に従事させられることもなく、自由に暮らすことができたという。島に流されること自体が刑罰であったためだ。自然の牢獄ということであろうが、他の島民もいるから寂しくもないし、意外と島ライフを満喫していたのかもしれない。

食文化では島寿司が外せない。この郷土料理は島で獲れた魚の身を醤油漬けにして、ワサビの代わりにカラシを入れた寿司のこと。シャリが少なめの都会的な寿司ではなく、一口では食べきれないサイズで、6貫も食べればお腹いっぱいになる。滞在中に2回食べる機会があったが、そのうちのひとつである「あそこ寿司」でいただいた島寿司は、メダイやカンパチがネタとなっていた。白身魚と赤身魚や魚種にはあまりこだわりはなさそうで、島ではマグロやシイラも獲れる時期もあるそうだから、いつかそれも味わってみたい。ツーンとくる刺激はワサビと同じものの、カラシはやや強めの異なる刺激がくるという印象だ。カラシは肉料理と合わせるのが定番だが、生魚と合わせたのは初めてだった。味は意外とイケる。新しい発見と体験が旅の醍醐味だと強く感じた。


また八丈島には「黄八丈」という特産品がある。島の名称はこの黄八丈に由来している。島に自生する植物性の天然染料を使用していて、黄色、樺色、黒色に染めた生糸で織る絹織物だ。江戸時代には八丈島の痩せた土地では米が育たないため、黄八丈を年貢として納めていた。実際に機織りを体験してみると、これがなかなか難しい。リズミカルかつ芸術的な模様を表現するには、熟練の技が必要だ。染色は染色原料を大きな釜で煎じた汁を漬け込むのだが、天然由来のためお茶のように飲むこともできる。

八丈島では自然に没入できるアクティビティは外せない。
まずは一年中楽しめる定番アクティビティのフィッシングに挑戦。参加人数14名を3チームに分け、漁港でお互い少し離れた場所に陣取りして釣りをスタート。エサに似せた疑似餌針をいくつも連ねたサビキ仕掛けと撒き餌を使って効率的に釣る作戦で、アジ、サバ、イワシなどがターゲットだ。
しばらく撒き餌をしていると魚は寄ってくるが、なかなか食いつかない。偏光サングラス越しに海中を見ると魚は深場にいるようだった。そこで底近くに仕掛けを送り込みしばらくすると、ウキが勢いよく沈んだ。思い切り合わせて針を喰い込ませてから、暴れる魚の引きを楽しみながら巻き上げると、鮮やかな赤い魚体の約25cmの「オジサン」が釣れた。下顎に付いた2本のヒゲが人間の老人のように見えることが名前の由来らしい。とりあえずノーフィッシュは免れて安心した。
この勢いをそのままに同じポイントに投げ続けると、またヒット。今度はさらに引きが強烈だ。八丈島の魚は黒潮にもまれて育っているため魚の引きが強いらしいが、これは大物の予感がした。暴れる魚が疲れて上がってきたのは、体長30cmほどの高級魚、シマアジだった。この日釣りあげた2匹は夕食の会場となる居酒屋に持ち込まれ、刺身で美味しくいただいた。

翌朝は4時30分に起床し、八丈富士への登山に向かった。
ホテルから登山口までは8㎞ほど離れていたので、ホテルに設置された電動アシスト自転車をレンタルした。おかげで八丈富士からの朝日に間に合った。登山口に到着すると、八丈富士の火口まで少々荒れた登山道を一気に登る。10月に襲来した台風の影響で登山道は一時閉鎖されていたが、2日前に解除されたばかりだった。


階段となった登山道を登っている途中に日の出を迎え、上り階段が終わる頃ようやく火口の上部に日が差してきた。八丈島の地形が朝日によって美しい陰影を生みだし、8の字を描いたような島の地形が浮き彫りにしていく。
火口から望む360度のパノラマは息を飲む絶景だった。その後、お鉢巡りをする前に、火口内を下って浅間(せんげん)神社に立ち寄ることに。火口の内側を降りていくとコケ・シダ類がジャングルのように生い茂り、がらりと風景が変わった。奥に進むと鳥居が現れ、その近くにかつては元服するときにお供えする風習があったというカラフルな玉石が置かれていた。

火口まで戻って時計回りにお鉢巡りをスタート。地面は硬い玄武岩で、ところどころに亀裂や穴があって足場はあまりよくない。高度感のある岩の瘦せ尾根が続くので、強風の日には苦労しそうだ。少し進むと最高地点を示す山頂の石碑が現れる。854.3mの地点からは雄大な八丈島全体を一望でき、しばし絶景を堪能した。昨今の旅では「体験」がキーワードとなっているように、自分の足で登るしかたどり着けない絶景に出合えたことは、ラグジュアリーな体験となったといえるだろう。その後30分ほどで元の地点に戻り、無事に下山して、シャワーで汗を流してもホテルの朝食に余裕で間に合った。

2日間に渡って八丈島の名所を巡った。
その間に「ANA Pocket」という移動するだけでポイントが貯まるアプリをダウンロードしておいた。飛行機だけでなく、徒歩、自転車、自動車、電車といった移動手段は、速度と距離に応じてポイントが貯まるシステムで、日常はもちろん特に行動の多い旅行では予想以上のポイントが貯まる。今回のツアーでは2時間ほど八丈富士登山をした2日目には多くのポイントが獲得できた。貯まったポイントは、アプリ内の「ガチャ」でANAのマイルなどと交換できるので、旅の楽しみも倍増する。

今回の旅でいえば八丈富士の登山中に登る朝日が感動的だったことを考えると、山頂までの道中が楽しかった。その意味では、移動の楽しみをより増やしてくれる「ANA Pocket」は目から鱗のアプリといえよう。
また八丈島に行く機会があったら、今度は海水をタッチしてから八丈富士の山頂を目指す「SEA TO SUMMIT」に挑戦してみたい。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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