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紹介を持って訪(おとな)う、というのは、飲食店に限ったことではない。礼節を備えた人士であれば、当然の所作ともなろう。いずれの扉の奥にも、気の置けない空間が待っている。
東京・西麻布の交差点から1分。「鳥満」のロゴが控え目に配されたドアを開けると、洗練されていながらも、どこか懐かしい気持ちになる空間が広がる。「鳥満」は、現代アーティスト・杉本博司氏が、日本人の暮らしに焼き鳥が浸透していった昭和初期をテーマにデザインした、焼き鳥店だ。
2018年11月のオープン以来、完全紹介制で、アートコレクターを中心に親しまれてきた。「鳥満」で心安らぐひと時を過ごして頂きたいのと想いから、SNSへの投稿も不可。
コースは「鳥満コース」の一本のみ。紀州備長炭で丁寧に焼き上げた串は香ばしく、肉の旨味が溢れてくる。季節を感じさせてくれる野菜串も。
また、料理にも造詣の深い杉本博司氏が考案した「おでん・ド・ブラン」は、白だしの繊細な風味が身体にしみわたり、ホッとする美味しさだ。
ブルゴーニュを中心としたワインのコレクションも圧巻。ソムリエによるペアリングも愉しめる、とっておきの隠れ家だ。
東京・西麻布の路地に佇む建物にある、1日1組限定のプライベートレストラン。囲炉裏が配された円卓を囲んでゆっくりと、「徒然」なるままに、酒と食事が楽しめる。
ゲストの到着後に湯を沸かし始め、今日の食材の説明からスタート。シェフが囲炉裏で炭火を使いながら、蒸籠、串焼き、灰焼き、塊焼き、鍋などさまざまな調理法で火入れする。食材の香りや変化していく姿を五感で楽しむスタイルだ。
料理にはシェフが全国の産地を自ら訪れ厳選した食材を使う。そのため食材との出合いや生産の背景といったシェフの語りも魅力。炭火料理の間に小鉢や小皿料理を織り交ぜ、満足度の高いコースに。締めには釜炊きのご飯と、煎茶を囲炉裏で焙じる香り高い焙じ茶でほっこり。
専属ソムリエが常駐し、料理に合わせたボトルワインや日本酒の提案も。来店から食事終了まで約4時間。通常の倍以上の時間をかけて食事と酒を堪能しながら、ゆっくり過ごすという贅沢を親しい人とぜひ。
高級飲食店が立ち並ぶ、大阪・北新地。とあるオフィスビルのエントランスにあるフラワーショップ「曾根崎花壇」が目印だ。「花に誘われてやってきた“ミツバチ”を見つけた人だけが入ることができる」扉の先にある隠れ家である。
定員4名の個室カウンター席や、独立型の焼肉コンロが配された8名席など3タイプ・6つの個室は、グレージュを基調にしたモダンでスタイリッシュな空間。
日本屈指の但馬牛の目利きとされる神戸の「扇矢精肉店」から仕入れる良質で希少な肉を使うメニューがメイン。それぞれの個室に肉を極めた専属の焼き師が付き、肉を一番美味しい焼き加減で味わうことができる。
食事は約20品からなる、おまかせの1コース。焼肉に加えて、ブーケのように華やかな「mitsu8サラダ」やヒレ肉を餅皮で巻いた「“北京ダック風”牛ヒレドック」などの個性的なメニューも。
デートや親しい人との会食だけでなく、接待にも向いている。
初出:2025年4月5日発行『AdvancedTime』26号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photos: Atsuyuki kamiyama(toriman)
writer: Arisa Magoshi(toriman),Fukuko Hamada
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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