2024年はまだ終わらない！秋の新作ウォッチ

新作時計は春の大規模展示会で終わりということではなく、夏以降も上海やジュネーブで開催された国際展示会や、もしくはリリースメールで個別に発表するなど、年間を通じて新作を見れるようになっている。逐次投入されることで、新作の鮮度を保つことができ、その都度注目を集めることもできるだろう。しかし、来年の新作発表まで販売期間が短いこともあって、限定モデルや生産本数が限られている場合が多く、気になったモデルがあったら、迷っている時間がないこともある。

そんな時計を買いそびれるということがないように、夏から秋にかけて発表された注目の時計を紹介していこう。

AUDEMARS PIGUET

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク オフショア」から渋いブラウンカラーのニューバージョンが登場。「ロイヤル オーク オフショア」といえば、スポーティでタフな素材やビビッドなカラーが印象的であるが、シガーにインスピレーションを得たブロンズカラーのメガタペストリーダイヤルで渋くまとめた。ダイヤルはインナーベゼルのブラックから始まって、中央に行くほどブラウンが明るくなるグラデーション仕上げとなっており、新品から数年使用したような風合いが表現されている。クロノグラフのインダイヤル、セミラック製のリューズやクロノグラフのプッシュボタンといったディテールはブラックで統一し、引き締まった印象をもたらす。ブラウンのアリゲーターストラップには、幾重にも色を重ねて染色し独特なムラ感やグラデーションを表現するパティーナ仕上げを施し、ダイヤルのデザイン性を細部にまで追求した。交換用ブラックストラップ付属。10気圧防水。自動巻き。ステンレススティールケース。ケース径43mm。

VACHERON CONSTANTIN

フィフティーシックス・オートマティック

フィフティーシックスは、レトロテイストの2018年に登場した新しいコレクション。1956年に発表された「Ref.6073」に範を垂れながら、「Ref.6073」にはなかったアラビア数字とバトンインデックスのセクターデザインを取り入れ、クラシックな魅力をプラスしている。新たに加わったのは、ピンクゴールドケースと相性のいいブラック文字盤バージョン。文字盤の中央部にはコレクション初となる微細な粒子で光沢を持たせたオパーリン仕上げで上質感を演出する。高級時計でよく見られる仕上げの手法だが、粒子の大きさで印象が左右するのでシルバーカラーなどとあわせるのが一般的で、ブラック文字盤だと粒子とはいえコントラストがつくので、美しく表現するには高い技術が必要だ。時分針やバトンインデックスには夜光を施し、アンスラサイトの本革ヌバックを使用したカーフストラップと合わせ、ほどよくスポーティで現代的に仕上げている。自動巻き。18Kピンクゴールドケース。ケース径40mm。

BLANCPAIN

フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダー

現代のダイバーズウォッチの基礎を築いたブランパンのフィフティ ファゾムス。その中で1956年モデルをルーツとする「バチスカーフ」はモダンさが特徴だ。そのスポーティな機能性に、曜日・月・日付表示とムーンフェイズを組み合わせたコンプリートカレンダーモデルは、グレード23チタン製や直近でレッドゴールド製のケース＆ブレスレットモデルがラインナップにあるが、新たにブランド初となるブラックセラミック製のブレスレットモデルが加わった。焼成で20%近くも縮むといわれるセミラックは、鍛造や切削による成型を行う金属素材とは異なる技術が求められるので、挑戦的な1本といえるだろう。とりわけコマを組み立てて作るブレスレットはリンクが横方向でピンが接続され、ギクシャクするとこもなく滑らかで手首にフィットするように仕上げた。グリーン文字盤は絶妙なグラデーションとサンレイ仕上げを組み合わせて高級感を演出。カレンダーはセキュリティシステムが搭載された日付機構が備わっており、禁止の操作時間帯がないのも便利で使いやすい。自動巻き。セラミックケース。ケース径43.6mm。

IWC

ポートフィノ・クロノグラフ 39

ポートフィノは、洗練されたデザインでカラー、サイズなどのバリエーションの豊富さが魅力のコレクション。8月に開催されたウォッチズ＆ワンダーズ上海では、新型ブレスレットを備えた「ポートフィノ・クロノグラフ 39」が発表された。新たに加わったのは、初の5リンク式となるステンレススティールブレスレットバージョン。これまでポートフィノ・クロノグラフでは42mmサイズでドレス感のあるミラネーゼブレスレット仕様をラインナップしているが、新たに投入された5リンク式でほんのりタフでスポーティな印象をプラス。それでいて小振りの39mmサイズと組み合わせることで、カジュアルになり過ぎない絶妙なさじ加減に仕上げた。クイックチェンジ・システムで、カーフレザーやアリゲーターなどの他のストラップと簡単に交換ができるので、選択肢もさらに広がった。自動巻き。ステンレススティールケース。ケース径39mm。

GRAND SEIKO

エレガンスコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル

独自機構のスプリングドライブを進化させ、2004年にグランドセイコー専用設計のスプリングドライブムーブメント、Cal.9R65を搭載したモデルを発表したグランドセイコー。今年はそのCal.9R系の誕生20周年。先行して春に20周年記念モデルが「スポーツコレクション」から登場したが、この秋には「エレガンスコレクション」からも搭載機が発表された。共通するのが、赤く染まった文字盤だ。これは朝方の穂高連峰の山相がモチーフで、いわゆる「モルゲンロート」を表現したもの。ドイツ語のモルゲン（朝）とロート（赤）を組み合わせた登山用語だ。スプリングドライブが製造される塩尻の工房には、相当な山好きがいるようだ。どこかの山荘に泊まって朝日を浴びる山に感動したに違いない。文字盤はカラーだけでなく、型打模様によって荒々しい山肌のような質感も表現している。パワーリザーブ約72時間。世界限定700本。手巻きスプリングドライブ。ステンレススティールケース。ケース径38.5mm。

※トップで使用している画像の時計は、グランドセイコーの「エレガンスコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル」です。