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“バレンシアガ”より、フランスの高級既製靴ブランド“ジェイエムウエストン”とコラボレーションしたシューズ『BALENCIAGA | J.M. WESTON』が登場した。高い製靴技術をベースに実現される独創性は、唯一無二の存在感といえる。
衝撃的で魅力的なコラボレーションが登場した。ピエールパオロ・ピッチョーリがクリエイティブディレクターに就任して2シーズン目を迎える“バレンシアガ”から展開されるのは、フランスの高級紳士靴メーカーとして名高い“ジェイエムウエストン”とのダブルネームシューズ『BALENCIAGA | J.M. WESTON(バレンシアガ | ジェイエムウエストン)』。クラシックなドレスシューズのスタイルを大胆にアレンジしたデザインは、“バレンシアガ”でなくては実現出来なかったものといえるだろう。

過去、自身がクリエイティブディレクターを務めるメゾンで、エレガンスとストリート感を巧みに配剤したクリエーションを行ってきたピッチョーリ。“バレンシアガ”の2026年ウィンターコレクションのランウェイショーは、HBOのヒットドラマ『ユーフォリア』の監督と協働し、「ClairObscur(明暗法)」というテーマで展開。メゾンらしさを感じさせる造形美と、レザーブルゾンなどのアクティブさを感じさせるアイテム、さらにグラフィックなモチーフなどが組み合わされていた。このコレクションのキーアイテムのひとつが、“ジェイエムウエストン”とのコラボレーションだった。

展開されるのは、ブローグ、ローファー、ドルセー(サイドがえぐれたような形状)、ミュールの4つのスタイル。ブローグとローファーはウィメンズも展開される。まず特筆すべきは、「Le City」スタッズをランダムに配したフルブローグ(ウィングチップ)モデル。切頭円錐形の武骨なスタッズが目を惹くが、ブローグ(穴飾り)を配したパーツが通常のウィングチップよりも多く配置され、より重層的な、手の込んだつくりになっている。もとは屋外で活動する際に履かれたといわれるブローグシューズ、そこにさらにスタッズを配することで、都市でタフに生きる足元を象徴しているのかもしれない。つま先のパーフォレーション(穴飾り)はダブルBのロゴになっている。

“ジェイエムウエストン”のアイコニックなモデルのひとつであるローファーは、一見そのままのデザインだが、タンの部分が二重になっていて、上のタンを裏返して“BALENCIAGA”と“J.M. WESTON”のロゴが現れているつくり。コラボレーションをウィットとともに表現した意匠といえる。

今回のコラボレーションにおいて、最もユニークな構造といえそうなのが、変形のドルセー。オーセンティックなフルブローグをもとに、ヴァンプライン(甲部の切り返しライン)から履き口までの意匠をインサイドにねじれたようなデザイン。そしてレースステイ部(靴ヒモの穴のある部分)にゴア(ゴムのパーツ)を配して、スリッポンのように着脱できるようになっている。内側のレースステイ部とヒールカップの曲線が、かろうじてドルセーのスタイルを表している。どこかアーティスティックな雰囲気もある、脱構築な一足だ。

もうひとつも一見フルブローグのスタイルをベースに、シューレースを無くし、レースステイ部分を裏返したようなデザイン。かかと部分は柔らかく、内側に折ってミュールとして履くことができるようになっている。長めのウイングキャップの上に小さめのウィングキャップが重なったようなディテールだったり、かかと周りのブローギング&ステッチがヒール脇まで伸びていたりと、細部にわたって独自のアレンジが加わっている。

これらの『バレンシアガ | ジェイエムウエストン』コラボレーションでは、いずれもしなやかなナッパカーフスキンを使用している。さらにレザーにラバーパーツを配したアウトソールで、ブレイク製法でつくられている。これらの素材や構造が生む軽快感も魅力のひとつだ。そしてインソールにはこのコラボレーションのために特別開発されたロゴが配置される。モードに通じた人はもちろん、普段クラシックな靴を愛好する人にとっても、オーセンティックな靴を巧みに翻案した個性と、その個性を実現するクラフツマンシップから、興味深い存在といえそうだ。これらの靴は世界各国の一部の“バレンシアガ”店舗および balenciaga.com にて展開されている。
AUTHOR
『エスクァイア日本版』(エスクァイア マガジン ジャパン)編集部を経て、『メンズプレシャス』(小学館)などでメンズファッションやデザインプロダクト、カルチャー等の企画を担当。それらの傍ら、紳士靴の雑誌『LAST(ラスト)』を創刊し編集長を務める。現在は『Advanced Time』本紙とオンラインのほか、さまざまなメディアにて、ファッションやライフスタイル分野でエディターまたはライターとして活動している。
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Writer: Yukihiro Sugawara
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