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英国のラグジュアリーハウス“DUNHILL(ダンヒル)”が展開する「ヘリテージ・イン・モーション」キャンペーン。その第2章であるレザーグッズ「センチュリー」、第3章のフットウェア「デイヴィス」、そして第4章のドライビングジャケットは、いずれも130年以上にわたり受け継がれてきた“ダンヒル”の美意識を、更新するものといえる。

英国のメンズラグジュアリーハウスとして、アクセサリーからバッグなどのレザープロダクト、そしてメンズクロージングまで幅広く手がけている“DUNHILL(ダンヒル)”。日本では喫煙具などでその名が知られているが、同ブランドにおいてはライターなどは比較的新しいアイテムといえるかもしれない。20世紀初頭、アルフレッド・ダンヒルが着目したのは「モートリティーズ(Motorities)」、自動車が導くスタイルだった。それは乗馬に代わる紳士の新たなアクティヴィティまたはモビリティであり、そのための新たな装いやギアなど、さまざまなアイテムが生み出されたのだった。

そんな“ダンヒル”のレガシーは、100年の時を超え、「ヘリテージ・イン・モーション」というテーマのもと、各種アイテムとして具体化されている。今年の2月に発表された「アルフレッド」コレクションに続き、同テーマの第2章にあたる「センチュリー」と、第3章の「デイヴィス」が先日相次いでリリースされた。

「センチュリー」は1914年につくられた自動車用のトランクに着想を得たレザーグッズコレクション。収納力に優れたホールドオール「センチュリー 45」下部の曲線的なコーナー部分は、アーカイブに残る構造を受け継いだものという。この象徴的なデザインはホールドオールのほかにも、トートバッグやバレットトランク、キャリーバッグに至るまで「センチュリー」コレクション全体で採用されている。さらにハンドルにはクルマのステアリングホイールにも見られるクロスステッチの技法が使われ、各所にモートリティーズの美意識が感じられる。

その「センチュリー」に続いて「ヘリテージ・イン・モーション」の第三弾として展開されたのが、フットウェアのコレクション「デイヴィス」である。伝統的なドライビングシューズをベースとしたデザインの「デイヴィス」。シューレース部はストップリリース式のスピードレースクロージャーシステムを採用して、紐靴のフィッティングを実現しつつ着脱を簡便に、よりエフォートレスになっている。アンバーカラーのラバーソールは、インジェクション成形によりスマートな形状を実現。そしてインソールには足裏の形状に沿ったフットベッドを採用して、快適な履き心地を生み出している。アッパーには手作業でバーニッシュ加工を施したパティーナカーフとイタリアンスエードを使用。クラシックで上質な雰囲気をもたらしている。


さらに「ヘリテージ・イン・モーション」の第4章として展開されるアイテムが、「ドライビングジャケット」である。その着想源は、アルフレッド・ダンヒルが初期のモータリストのために開発した、1912年の自社カタログ「Maturities for Motorcyclists」に掲載されたタンカラーのレザージャケット。控えめな存在感のスタンドカラーやステッチ幅、ボタンのピッチなどはそのジャケットのデザインを範としているという。さらにフロントに採用されたパッチポケットは、ドライビングジャケット本来の機能美に現代的な実用性を付加している。使われているレザーはフレンチ・ラムスキンで、オイルや染料を浸透させたプランジュ加工がもたらす、美しい発色と滑らかさが特徴。さらにライニングにはベビーキャメルが使われ、暖かで柔らかな風合いをもたらしている。細部へ緻密なつくりがありつつ、削ぎ落としたようなミニマルなデザインは、良質のヴィンテージウエアにも似たタイムレス感がある。

ファッションとは感覚が優先されるもの、という認識がある一方で、とかく男性は身につけるものに理由を求める。ドレスコード、ラグジュアリー感、職人的技巧、最新のテクノロジーなどさまざまだが、その理由が装いへの自信、ひいては自分という存在への自信につながるとすれば、肯定的に捉えていいかもしれない。古き佳きモートリティーズを範としつつ、それを現代のライフスタイルにおいて再生させようとするこれらの「ヘリテージ・イン・モーション」、大人の男性が納得できる十分な理由を備えているといえまいか。
AUTHOR
『エスクァイア日本版』(エスクァイア マガジン ジャパン)編集部を経て、『メンズプレシャス』(小学館)などでメンズファッションやデザインプロダクト、カルチャー等の企画を担当。それらの傍ら、紳士靴の雑誌『LAST(ラスト)』を創刊し編集長を務める。現在は『Advanced Time』本紙とオンラインのほか、さまざまなメディアにて、ファッションやライフスタイル分野でエディターまたはライターとして活動している。
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Writer: Yukihiro Sugawara
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